更新日:2019年10月11日(金)
米労働省が発表した9月の消費者物価指数(CPI)は、CPI、コアCPIともに前月比では市場予想を下回り、前年比でもCPIは市場予想の+1.8%を下回る+1.7%となり、低調というイメージで市場ではスルーされた格好に。
ただし、ネガティブ・レベルの低調でもなく、コアCPIは前年比で高水準を維持しています。
小数点以下2桁で見るとコアCPIは前年比+2.36%となり、2008年9月(2.47%)以来10年11カ月ぶり低水準となった8月(2.39%)から小幅低下となりましたが、リーマン・ショック後の11年間では2番目の高水準、ということになります。
セクター別ではエネルギー価格が2カ月連続の低下で前年比-4.8%となって7カ月ぶり低水準へと落ち込んだことに対し、エネルギー関連を除くサービス価格は前年比+2.9%での横ばい推移、高水準での安定推移が続く状態でもあり、CPIの低調とコアCPIの高水準を裏付けます。
詳細項目別では、健康保険(ウェイト1.21%)は13カ月連続上昇で前年比+18.8%の高水準となり、医療サービス(ウェイト7.05%)も3カ月連続上昇で前年比+4.4%の高水準。
中古車価格(ウェイト2.44%)も4カ月連続上昇で+2.6%、航空運賃(ウェイト0.68%)も5カ月連続で前年比プラスを維持し、2カ月連続上昇で+1.9%と上昇傾向を維持するなど、コアCPIの高水準を支えています。
その一方で携帯電話サービス(ウェイト1.62%)は13カ月、女性用アパレル(ウェイト1.19%)は15カ月連続の前年割れ、ガソリン(ウェイト3.96%)は5カ月連続の前年割れで7カ月ぶり低水準など、CPIを下押しする品目の低迷状態も続きます。
コアCPIと似通った推移となっているコアPCEが8月時点で前年比+1.77%にとどまっていることを考慮すれば、10月の追加利下げもありそうですが、今後はコアPCEもコアCPIの高水準に追随していくことも想定されそうです。
10日のNY金相場は-11.9ドル、0.79%の反落。2カ月半ぶりに閣僚級での米中貿易協議が行われたことを素直に好感した市場はリスク選好の流れへ。時間外には1510ドル台前半での小幅揉み合い推移となったNY金はNY朝から株高ドル高、長期金利上昇、円安の流れに連れて1500ドル割れへと急落。NY午後にかけては1500ドルをはさんでの揉み合いとなって下げ渋る状態にもなったものの、引け後には1500ドルを維持できず1495ドル付近へ。閣僚級協議は11日も再開されることも伝えられ、トランプ大統領は初日の協議について「非常にうまくいった」とし、11日には劉鶴副首相とワシントンで会うことなどもツイートして株価をサポート。11日の協議の結果でまたもどんでん返し、とならずある程度の妥協でまとまり、15日からの関税引き上げ(2500億ドル相当を25%から30%)予定を見送り、もしくは延期となればリスク選好の流れがさらに加速することにも。NY金は1500ドルを回復できない限りは調整局面拡大の流れへ、5月安値から9月高値までの38.2%戻し(1452.0)付近までが当面の下値目安に。
NYプラチナは+11.2ドル、1.25%高で4日続伸。NY市場では米中閣僚協議進展期待で一段高となった株価に追随する展開となり、何度も跳ね返された900ドルの攻防ラインを突破。2週間ぶり高値となって一時910ドル手前まで上昇し、NY引け後も900ドル台を維持。11日の協議がちゃぶ台返しとならなければ、株高の流れと金の下落との板挟みとなりながらも920ドル付近までもう一段の上昇余地はありか。
ドル円はこの日も40銭程のドル高円安となって続伸。9月30日以来、2週間ぶりのドル高円安水準に。東京時間朝には米中協議を巡って情報が錯綜、中国側が10日にも帰国などの誤報道もあり107円付近まで急落する場面もあったものの午前中のうちに107円70銭台まで反発。欧州時間には107円台半ばから30銭台までの小幅レンジで小康状態となった後、NY朝からはドル高円安の流れが加速。トランプ大統領が11日に中国の劉鶴副首相と会うとツイートしたことから閣僚協議の進展期待が急速に高まったことがリスク選好の流れにつながり、米10年債利回りが1.58%台から1.67%台まで急上昇した流れにも追随する形でドル円は107円40銭近辺から108円付近まで急騰。108円の抵抗水準ではいったん上値を押さえられた形にもなり、11日の協議結果待ちへ。決裂しなければ108円の上限を突破して短期トレンドも好転方向へ、そうなれば当面の上値目標は8月高値超え、109円半ば辺りまで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/10終値とチャート
11日の国内金価格は-31円、0.55%安で3日ぶりの反落。米中協議の行方を巡っては結果的に閣僚協議1日めを無事に終え、ある程度合意方向へ向かっているのではないかとの思惑からリスク選好の流れとなったことにより、一段高へと向かう可能性もあった流れは巻き戻し。本日の協議結果も踏まえ、流れは下方向となる可能性のほうが優勢に。5674円が当面の「近年最高値」となる可能性が高まり、目先の下値は5600円の大台ラインにサポートされるかどうか。サポートされない場合には9月安値5520円台辺りまでが次の下値目安に。可能性は低下したように見える「決裂」などの事態となって高値再更新の際の次の上値目標は5780円近辺まで。
週間ベースでは-9円、0.16%の小幅安で3週ぶりの反落。
プラチナ価格は+63円、1.89%の大幅反発。NYプラチナの攻防ライン900ドル突破によって国内価格の重石も剥落、短期上値目標3380円台を早速クリア。短期的な流れとしては一服感が生じやすいところも、米中協議進展は中国景気へのプラス材料となって自動車やジュエリーなどプラチナ需要にもプラス材料、円安効果と合わせて国内プラチナ価格の押し上げ効果も倍増。3300円付近から3400円ラインまでが真空地帯となってきた過去の経緯も踏まえると、まさかの決裂とならなければ一段高となって3400円の節目超えも。結果次第では次週、9月の高値保ち合い水準3450円前後まで上値を伸ばすような展開にも。
週間ベースでは+76円、2.29%高となって4週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ国内価格10/11とチャート
2019年10月11日(金)時点の相場
国内金:5,643 円 10/11(金) ▼31(0.55%)
国内プラチナ:3,395 円 10/11(金) ▲63(1.89%)
NY金:1,500.9 ドル 10/10(木) ▼11.9(0.79%)
NYプラチナ:907.9 ドル 10/10(木) ▲11.2(1.25%)
ドル円:107.87 円 10/10(木) ▲0.41(0.38%)
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