更新日:2019年11月8日(金)
NY連銀が今週発表した10月の消費者調査で、1年先のインフレ期待値は2.33%。これまで調査開始の2013年6月以降で最低だった8月の2.41%をさらに大きく下回り、過去6年余りで最低。
3年先のインフレ期待値は過去最低となった9月の2.37%から2.38%へとわずかに0.01%の上昇、これもほぼ過去最低水準での横ばい。
消費者感覚としては、当面の物価上昇率については今年、減速感が強まりつつあり、遂に過去最低レベルの物価上昇しか見込まない状態となってきたようです。
なお、項目別では医療費が昨年末の9%台から低下が続き、10月には6.25%で過去最低。金価格については2%台での推移が続いていましたが、9月には3.4%へと跳ね上がり、10月には2.85%へと反落しています。
商務省が発表する消費者物価指数(CPI)の項目別で、医療用品が昨年前半には前年比+2%台から減速基調となり、今年に入って前年割れとなっている状況とも一致し、金価格も9月に高値をつけて10月にはピークアウト感が強まっている状況が反映されているようです。
シカゴ連銀のエバンズ総裁は今週、金利の方向性を判断する上で「インフレ率の動向」が重要になるとの見方を示しました。NY連銀のウィリアムズ総裁は、物価が過度に減速するリスクについて警戒感を強める発言をしています。
昨年後半以降、PCEインフレは2%に満たない状態が続き、今年に入ってさらに減速傾向となり、消費者感覚でも物価上昇圧力が弱まる状況では、利下げがストップしても、利上げについては当面見通しがたたない状況も続きそうです。
CMEフェドウォッチでも、12月には現状維持が90%超となり、当面のFF金利据え置きが予想される状態となっています。
追加利下げについては来年6月に30%超、来年末には500%超という状況になってはいますが、利上げ再開については来年末でも0%の状態です。
この状況が、急落した金価格の今後当面のサポート材料になりそうです。
7日のNY金相場は-26.7ドル、1.79%の大幅反落。下げ幅としては5日(-27.4ドル、1.81%)に続き今年5番目の大幅安。なお、上位5日はすべて今年高値となった9月4日以降のピークアウト局面。水準としては8月2日(1457.5)以来、3カ月ぶりの安値。3会合連続利下げがスタートした7月末FOMC直後の水準まで戻したことになり、短期的には保ち合い下限1480ドルを割れたことに伴う下値目安1460ドル台までしっかり到達。
中国商務省が米中協議において「追加関税を段階的に撤廃することに同意」したと発表したことで東京午後、欧州早朝の時間帯に株高・ドル高、長期金利上昇の流れが急速に進行してNY金は1490ドル割れ、NY時間に入ると米政府関係者からも米中第1段階合意の一部には「追加関税の段階的撤回が含まれる」との発言が伝えられてリスク選考の流れが加速。米株はダウとS&Pが最高値更新となり、NY金は1480ドルを割れると1460ドル台前半まで急落。米10年債利回りは7月31日(2.0%台)以来3カ月ぶり高水準となる1.9%台へと急騰し、これも7月末FOMC直後の水準まで戻したことに。
NYプラチナは-17.7ドル、1.9%の大幅反落。NY時間からの金の急落に追随、930ドルを割れると一気に水準を切り下げて一時910ドル割れ。NY午後には若干の反発もレンジ下限となっていた910ドル半ばが超えられず、逆に抵抗水準に切り替わってしまった感も。前日の十字線に近い足型は反発の可能性を示唆するものではなく、流れが再加速することを示唆するものだった様子も。910ドル台後半以上へと戻し切れなければ、もう一段安の可能性。10月初旬の保ち合い水準890ドル台までが目先の下値目安に。
ドル円は40銭弱のドル高円安となって反発、5月30日(109.61)以来5カ月ぶりの高値水準。東京時間には108円60銭台まで下押し、下げ渋る状態から中国当局の一報をトリガーに109円10銭台へと急反発。欧州・NY時間にかけても株高と金利上昇の流れとともにドル高円安の流れが進行し、NY午後には一時109円40銭台まで上昇。200日移動平均線(109.02)との攻防を経て前日のロウソク足の実体部をカバー、一般的には強い買いシグナルとされる包み線を形成。今後も米中合意に向けたヘッドラインに一喜一憂する展開も見込まれるものの、短期的には上値トライへの流れが強まる可能性も。今年の高値から安値までの76.4%戻し、110円半ばまでが当面の上値目標。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/7終値とチャート
8日の国内金価格は-64円、1.12%の大幅反落。9月26日(-64円、1.13%)以来1カ月半ぶりで今年2番めタイの下げ幅となり、10月8日(5606)以来1カ月ぶりの安値水準に。ここまでの上昇トレンドをサポートしてきた21日移動平均線(5673)を大きく割り込み、10月末安値水準5660円台もスルーしてトレンド転換も意識させる急反落。短期的にはNY金の下落一服感に下支えされる可能性もあるものの、下値目安5600円付近までもう少しの下げ余地も。
週間ベースでは-94円、1.64%の大幅安となり、4週ぶりの反落。下げ幅としては昨年8月13日からの週(-154円、3.32%)以来、1年3カ月ぶり。今週の下げ幅は今回の上昇トレンドスタート後、最大。
プラチナ価格は-53円、1.5%の大幅安で3日続落。10月23日(3397)以来、半月ぶりの安値水準。今回も4年越しの下降チャネル上限ラインとの攻防に敗れる形となって急反落の兆し。10月末水準3480円台ではサポートされなかったことにより、もう一段安の可能性。NYプラチナが一段安へと向かえばこれに追随する展開となり、下値目安は9月末安値水準3420円台まで。
週間ベースでは-35円、1%の続落。
※参考:金プラチナ国内価格11/8とチャート
2019年11月8日(金)時点の相場
国内金:5,626 円 11/8(金) ▼64(1.12%)
国内プラチナ:3,474 円 11/8(金) ▼53(1.50%)
NY金:1,466.4 ドル 11/7(木) ▼26.7(1.79%)
NYプラチナ:914.0 ドル 11/7(木) ▼17.7(1.90%)
ドル円:109.32 円 11/7(木) ▲0.36(0.33%)
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