更新日:2019年11月16日(土)
今週発表された中国の10月鉱工業生産は前年比+4.7%で8月の+4.4%に次いで17年間で2番めの低水準となっていました。同時に発表された小売売上高も記録的低調となり、中国景気の減速があらためて警戒されることにもなりました。
パウエルFRB議長を始め、複数のFRB関係者が金融政策の正当性とともに米国経済の好調ぶりを主張するなか、米国の鉱工業生産も10月は低調な結果となっています。
FRBが発表した10月の鉱工業生産は前月比で-0.8%。市場予想の-0.4%を大幅に下回り、9月の-0.3%からも更に急低下。2018年5月(-0.8%)と並び、1年5カ月ぶりの低水準。それ以前では2016年3月にも前月比-0.8%を記録し、近年では3度め。さらに遡ると2009年5月の-1.0%以来、リーマンショック後の最低水準タイとなる急低下となったようです。
6カ月移動平均で見ると10月は-0.05%となり、それほど極端な悪化ではありませんが、2月から7月までマイナス圏推移が続き、8月に+0.05へとプラス圏回復した翌9月には再び-0.02%へと反落、と低迷状態からは抜け出せない状態。
米国と中国の鉱工業生産の本格的な回復に向けては、当面の米中貿易協議での第1段階合意も必須なのかもしれません。
また、10月の設備稼働率は76.7%。これも市場予想の77%を下回り、2017年9月(76.1)以来2年1カ月ぶりの低水準。昨年末に79%台後半でピークアウトした後の低下基調は続いています。こちらは物価上昇圧力にはつながらず、低インフレ要因の一つにもなっているようです。
そして、設備稼働率の推移としてはダブルトップ形成への警戒感も続きます。
15日のNY金相場は-4.9ドル、0.33%安で3日ぶりの反落。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長の「中国との通商協議は合意に近づいている」発言を受けて東京朝の時間帯からリスク選考優勢の流れ、軟調推移となって1470ドルを割れて欧州時間には1460ドル台前半まで下落。NY市場ではやや低調となった米経済指標にも米株主要3指数は揃って過去最高値更新など流れは変わらず、逆にロス米商務長官も米中通商協議での「第1段階合意の可能性は高い」発言などもリスクオンをサポート。下げ渋ったNY金も1470ドルを回復できず、1460ドル台後半での揉み合いに。反発局面一服の現状、下値は1450ドルラインが当面のサポートとなる可能性が高まり、上値は1490ドル台の上限にどこまで近づけるか、という状況に。
週間ベースでは+5.6ドル、0.38%の小幅反発。
NYプラチナは+11.7ドル、1.33%高となって3日続伸。11月7日(914.0)以来、1週間ぶりの高値。NY朝には反発の勢いを増して890ドル台を回復も、やはり900ドルの大台ラインにはまだ抵抗感も。ゆるやかに上昇する200日移動平均線(865.9)にサポートされての反発局面は、上昇軌道を維持する90日移動平均線(897.2)にいったん上値を押さえられた形にもなり、このラインとの攻防が目先のポイントに。
週間ベースでは+1.4ドル、0.16%の小反発。
ドル円は30銭超のドル高円安となって6日ぶりの反発。東京・欧州時間にかけて相次いだ米高官による米中合意への楽観見通し発言を好感し、株高・円安の流れがコンスタントに継続。11月のNY連銀製造業景気指数と10月の自動車を除く小売売上高、鉱工業生産などがいずれも予想を下回る低調な結果となったこととドル安の流れが重石にもなったものの、今年の高安半値戻し(108.42)付近でサポートされ、ほぼ水平状態の20日移動平均線(108.76)付近まで戻した状態。中立状態の目先、主要レンジは50%ラインの108円40銭から61.8%戻しの109円40銭近辺まで。抜け出した方向へトレンドが発生する可能性もあり、上方向なら76.4%戻し(110.52)も超えて年末にかけて111円台を目指す流れにも。下方向なら38.2%戻し(107.48)も超えて106円台を目指す流れにも。
週間ベースでは-0.49円、0.45%の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/15終値とチャート
2019年11月16日(土)時点の相場
国内金:5,597 円 11/15(金) ▲1(0.02%)
国内プラチナ:3,355 円 11/15(金) ▲13(0.39%)
NY金:1,468.5 ドル 11/15(金) ▼4.9(0.33%)
NYプラチナ:894.5 ドル 11/15(金) ▲11.7(1.33%)
ドル円:108.75 円 11/15(金) ▲0.35(0.32%)
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