更新日:2020年1月22日(水)
SPDRゴールド・シェアーズの金ETF保有高は昨年秋には920トンまで増加、3年ぶりの高水準となっていましたが、その後はNY金の調整局面とともに減少。年初の乱高下を経て900トン付近で落ち着こうかという状態に。
この水準は、ETF保有高の90日移動平均にも一致し、中期的な中立水準でもあり、落ち着きやすいところ。
NY金は中東の地政学リスクを背景に年初に急騰、現在も1550ドル台の高値圏での推移が続きます。
昨年秋に1560ドルの高値をつけた後の調整局面では、90日移動平均線も下回る水準まで下落しましたが、年末にこれを上抜けて反発局面を形成、一段高となって現在1500ドルちょうど付近で水平移動する90日移動平均線とは大幅上方乖離の状態。
今のところはETFの買いも追随する動きにはなっていません。地政学リスクが現時点でのNY金の主な急騰要因となったこと、さらなる事態の悪化が喫緊には予想されないことなどから、ETF残高が居心地の良い90日移動平均から大きく上方乖離するような動きも目先は想定し難い状況です。
ETFのサポートが望み難い状況のNY金は、90日移動平均線の引力に逆らう可能性よりも、引っ張られる可能性のほうが高まる状態にもなりそうです。
3連休明け、21日のNY金相場は-2.4ドル、0.15%の小幅反落。東京時間午前、新型コロナウイルスの感染拡大懸念も背景と思われるリスク回避の流れが急速に進行。日経平均が急落し、円高も急進した流れに呼応するようにNY金は1560ドル付近から1570ドル手前まで小幅に急騰。しかし、終値ベースでの今年高値圏1570ドル台へとさらに上値を伸ばすような勢いはなく、むしろ高値圏での戻り売り圧力のほうが勝る展開に。欧州時間に入ると売り戻しから、元の水準も下回って1550ドル台前半へ。ドイツの1月ZEW景況感指数が4年半ぶり高水準となったことを好感したユーロ買い主導のドル安で一時的には下げ渋るも、NY朝にはもう一段の調整で一時1540ドル台半ばまで下落。この日、ダボス会議に臨んだトランプ米大統領は会見でEUとの貿易交渉に関する意気込みなどにも言及し、自動車関税賦課をチラつかせるなど今後の米欧貿易摩擦への警戒感も。さらに新型コロナウイルスの感染が米国でも報告されるなどして株安の流れが強まって金は下げ渋り、NY引け後には1550ドル台半ば。
小幅保ち合い上限1560ドルでの上値の重さとともに、保ち合い下限となる1540ドル台での底堅さも確認。保ち合い上抜けとなれば1590ドル台を目標に上値トライ再開へ、下抜けの場合には調整局面拡大へ、11月安値から1月高値までの61.8%戻し(1510.0)近辺までが下値目安にも。
NYプラチナは-17.3ドル、1.69%の大幅反落。時間外は1030ドル台にワンタッチ後、金に連れて軟調推移。欧州時間に1000ドル付近まで下落、NY朝には1020ドル付近まで反発後に1000ドルの大台割れ。乱高下状態でNY引けにかけては大台回復も、引け後には再び大台付近で軟調気味。乱高下の展開は日足レベルでも同様で、大幅高と大幅安を交互に繰り返す鯨幕相場を形成。方向感喪失状態での売り買い交錯で1000ドルから1030ドルまでの高値保ち合いを形成。上方向へと抜け出すことになれば高値更新トライで1050ドル台が上値目標に、下方向へと抜け出した場合には11月安値867.8ドルから1月高値1046.7ドルまでの38.2%戻し(978.4)付近、970ドル台までが下値目安に。
ドル円は30銭余りのドル安円高となって反落、4日ぶりの110円割れ。新型コロナウイルスの感染拡大懸念を口実とした仕掛け的な売りか、とも思われるような突然の急落で東京午前に110円20銭台から109円90銭近辺へ。しかし、この近辺では底堅く、欧州時間にかけては110円10銭台へと反発。NY時間には新型コロナウイルスによる肺炎患者が米国内でも確認されたことで米株が急落、米10年債利回りも低下した流れに連れて再び110円割れ、一時109円70銭台まで下落。今朝の東京時間には109円90銭台へと下げ渋る状況ながら、上海株が続落スタートとなるなどコロナウイルスへの警戒感も続く状況。短期上値目標110円60銭台辺りを目指した流れは110円20銭台で上値を押さえられ続けて腰折れ、この水準が当面の上値抵抗となり、108円までの広めのレンジ内で保ち合い形成へ。あらためて110円20銭台の抵抗水準を突破できれば110円60銭台の上値目標再トライへ。下値は109円半ばがサポート候補。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/21終値とチャート
22日の国内金価格は-33円、0.55%安となって3日ぶりの反落で6000円の大台割れ。高値圏でのゆるやかな上昇基調は円安の調整とNY金の小幅調整によって腰折れ。短期サイクル的にも上昇基調一服の気配も。広めの保ち合いレンジの上3分の1を削り、レンジ上限を6020円まで縮小。切り返してこの上限を上抜けできれば上値トライ再開で高値更新と6100円近辺を目指す展開にも。調整継続で5940円台でサポートされない場合には5880円台辺りまでの下値余地拡大も。
プラチナ価格は-94円、2.4%の大幅安で3日ぶりの反落。NYプラチナは大幅下落でも高値保ち合いを維持、しかしこれに円高が加わって国内価格は高値保ち合いを維持できず。2年10ヵ月半ぶり高値からの急降下で3850円台の高値保ち合い下限割れ。調整局面はもう一段継続しやすくなり、3800円前後までが短期的な下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格1/22とチャート
2020年1月22日(水)時点の相場
国内金:5,987 円 1/22(水) ▼33(0.55%)
国内プラチナ:3,827 円 1/22(水) ▼94(2.40%)
NY金:1,557.9 ドル 1/21(火) ▼2.4(0.15%)
NYプラチナ:1,007.5 ドル 1/21(火) ▼17.3(1.69%)
ドル円:109.86 円 1/21(火) ▼0.33(0.30%)
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