更新日:2020年3月5日(木)
FRBは今週末発表予定の米2月雇用統計の情報を先行入手していて、これも考慮した上で3日の緊急利下げに踏み切ったのではないか?との思惑まで一部では囁かれていましたが、この日発表されたADP雇用リポートとISM非製造業景況指数の結果などを見る限りは、そうでもなさそうです。
2月のADP雇用者数の伸びは1月からは2.6万人低下しましたが、3ヵ月平均では+18.6万人となり、3ヵ月続伸で2018年4月(21.9)以来、1年10ヵ月ぶりの高水準となっています。
ISM景況指数では、製造業はやや低調で2月に50.1となって再び節目50割れも意識される状況となり、雇用指数は7ヵ月連続で節目50割れ。それでも2ヵ月続伸となった46.9は4ヵ月ぶりの高水準。
この日のISM非製造業景況指数は2月に市場予想を上回る57.3となり、3ヵ月続伸で1年ぶりの高水準。雇用指数も55.6となって昨年7月(56.2)以来、7ヵ月ぶりの高水準となっています。
雇用統計のNFPは1月分までの3ヵ月平均では+21.1万人。この半年間は+20万人前後での推移が続いています。この好調を示す水準に、ADPの数字もようやく追いつきつつある状態です。
また、リッチモンド連銀とダラス連銀の賃金指数はいずれも2019年前半にピークをつけてやや低下傾向にはなっていますが、2月はいずれも反発し、ダラス連銀では続伸で半年ぶり高水準。
雇用統計での平均時給の伸びも2019年前半でピークアウトして鈍化傾向となっており、2月は前年比+3.0%程度の予想となっています。2018年8月から今年1月まで18ヵ月連続で前年比+3.0%以上となっており、2月に3.0%を多少割り込んだとしても、それほど極端な低下とならなければ、比較的高水準を維持する状態、とは言えそうです。
ただし、雇用統計では「予想外の結果」にも、しばしば遭遇します。
4日のNY金は-1.4ドル、0.09%の小幅安で3日ぶりの反落。前日の急騰からの一服、前日NY引け後に1654ドルまで上昇したのが高値となり、株価の反発とともに軟調推移となって欧州時間朝には1632ドルまで調整。NY市場では1640ドルをはさんでのもみ合い推移。スーパーチューズデーで中道派のバイデン前副大統領が躍進したことなどが好感されて米株が急反発。ダウは過去最大の上昇幅となった2日の1293ドルに次ぐ1173ドルの大幅上昇となり、米10年債利回りも史上最低の1%割れから1.0%台を回復。それでも3月FOMCでの追加利下げを見込む向きもあり、NY金は下げ渋る状態に。今年最高値から2月末安値1564ドルまでの61.8%戻し(1642.9)付近で落ち着き始めた状態、1650ドル台が目先の抵抗水準となりつつあり、1630ドルから50%戻し(1627.9)辺りまでがサポート候補。
NYプラチナは+5.9ドル、0.68%の続伸。株高に連れて上値トライの流れとなった時間外につけたこの日の高値は890ドルに届かず、NY午前の安値では860ドル台後半まで、NY引け後には870ドル台半ば。2月末の今年安値846.2ドルを底値として下値を徐々に切り上げる形はこの日も続き、880ドル台で上値が押さえられる状態も続いて小さな三角保ち合いを形成。上方向には890ドルから900ドルの大台ラインが徐々に重くなる状況、三角保ち合いが下方向に崩れるようだと8月安値圏840ドル近辺までが下値目安に。
ドル円は42銭、0.39%のドル高円安となって反発。米株の軟調推移が続いた東京朝には一時106円80銭台まで下落して折返し。米株の反発と日経平均の上昇とともに円安方向への流れが急速に強まり、東京午前のうちに107円50銭台を回復。短期下値目安107円近辺までしっかり下げた達成感もあり、スーパーチューズデーの開票状況が伝わるに連れて、サンダース・ショック回避に向けて市場の安心感も広がり、米株をサポートし、米長期金利も反発。しかし、ドル円は追加利下げの思惑が重しにもなり、上値も限定的に。欧州・NY時間にかけては107円台半ばでのもみ合い推移。107円から200日移動平均線(108.37)までが当面の主要レンジとなり、上抜けることができれば12月保ち合い上限、109円半ばまでが上値目標に。下方向へと抜け出すようなら10月安値106円半ばから前半までが下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/4終値とチャート
5日の国内金価格は-22円、0.35%安で3日ぶりの反落。今年高値6397円から3月2日の6017円までの急落幅の半値戻し(6207)でいったん上値を押さえられた状態となり、38.2%戻し(6162)から21日移動平均線(6145)辺りまでがサポート候補。半値戻しを突破できれば61.8%戻し(6252)から6260円台辺りまでが上値目標水準に。
プラチナ価格は-12円、0.36%安で3日ぶりの反落。半年ぶり安値からの反発も限定的となり、ゆるやかな上昇軌道となっていた90日移動平均線(3576)もわずかに下降し始め、これを下抜けて急降下する9日移動平均線(3488)に引っ張られて21日移動平均線(3627)もこのまま行けば週明けにでも90日線をデッドクロスし、弱気相場のパーフェクトオーダーを形成する可能性も。3320円を上抜けることができれば12月安値3380円台までが上値目標に、半年ぶり安値を更新してしまうと3200円付近を目指すような展開にも。
※参考:金プラチナ国内価格3/5とチャート
2020年3月5日(木)時点の相場
国内金:6,182 円 3/5(木) ▼22(0.35%)
国内プラチナ:3,308 円 3/5(木) ▼12(0.36%)
NY金:1,643.0 ドル 3/4(水) ▼1.4(0.09%)
NYプラチナ:875.2 ドル 3/4(水) ▲5.9(0.68%)
ドル円:107.54 円 3/4(水) ▲0.42(0.39%)
Copyright(C) Let's GOLD