更新日:2020年12月3日(木)
ADP雇用リポートでは、11月の全米雇用者数は前月比+30.7万人にとどまり、市場予想を10万人超下回って7月以来4ヵ月ぶりの低水準。コロナ後の回復基調が進行するなかでは2番めの低水準。各地での新型コロナ感染急拡大に伴う一部行動制限措置によって、回復ペースの鈍化を余儀なくされたようです。
ADPの数値では、3-4月に1971.1万人の雇用が失われ、その後の急回復で6月には失業者1188.5万人まで縮小。夏以降はペースが鈍化し、10月時点では1002.9万人。11月にはようやく1000万人の大台を割り込んで失職者は972.2万人。3-4月で失った雇用の回復率では、6月に39.7%まで急回復、その後は10月の49.1%まで40%台が4ヵ月続き、11月に50.7%。
コロナショックで失った雇用の半分を回復した状況です。
雇用統計での数値では、4月の2216万人から10月には1002.9万人まで縮小、回復率では54.5%となっています。
パウエルFRB議長はこの日、下院金融委員会の公聴会で「いまだに1000万人が失職していることを忘れてはならない」との発言。米国の雇用回復への道は半ばであり、苦境に陥っている人がまだまだ多数存在していることに言及。今後、新型コロナ危機がさらに深まることにも備え、失業者支援などを含め、追加景気対策法案の必要性にも言及。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁もこの日、「感染拡大や財政支援の細りで、米経済の成長は頭打ち。成長が再加速しても雇用の完全な回復は期待できない」との懸念を示しました。
また、NY連銀のウィリアムズ総裁は感染再拡大やこの先の財政支援の内容、ワクチン効果の不確実性などを指摘し、「非常に不確実性の高い時期がまだ若干ある」との認識。
この日公表されたベージュブックでは「経済の拡大ペースはほとんどの地区で緩慢ないし緩やか」と表現され、12地区のうち4地区では実質ゼロ成長との認識も示されています。
2日のNY金相場は+11.3ドル、0.62%の続伸で11月23日(1837.8)以来、10日ぶりの高値。ドル安にサポートされて今年安値から高値までの半値戻しで反発した流れが継続。時間外での下押しは1810ドルまでにとどまり、ロンドンでは1830ドル台半ばまで一段高。反発一服となって1820ドル割れへと調整したNY朝にはADP雇用の下振れを受けてのドル安再開で1830ドル台へと再浮上。下落局面での上値抵抗線となっていた9日移動平均線(1822.2)を上抜けての一服感もあり、雇用統計待ちへ。8月最高値(2089.2)から11月末安値(1767.2)までの23.6%戻し(1843.2)が目先の抵抗線候補、その上には直近高値1870ドル台の節目、雇用統計の結果次第では12月FOMCでの追加緩和観測も高まることになって一段高へも。
NYプラチナは+8.2ドル、0.82%高で3日続伸。8月6日(1013.9)以来4ヵ月ぶり高値水準での一段高。時間外は大台を維持し切れず、やはり、という印象で990ドル割れへと反落。しかし、これが押し目となってロンドン市場では金の一段高の流れに追随、大台を回復すると前日高値も上抜けて1020ドル台まで急騰。NY市場では1023.5ドルの高値をつけて1010ドル台での小幅保ち合いに収束。過熱感は一段と高まり、多少の調整も必要となる状況にも。2015年以降、特に2017年以降は1000ドルの大台超えはいずれも短命に終わっており、今回も大台維持が当面の課題。
ドル円は10銭のドル高円安、0.1%の上昇。ユーロドルが1.2110ドル台へと2018年4月末以来2年7ヵ月ぶり高値で一段高となり、ドル安の流れが続くなかでもリスクオンの円安の勢いが若干優勢となっての小幅高。欧州時間からNY朝にかけては104円30銭台から70銭台まで堅調推移となったものの、ADP雇用の低調な結果を受けて104円40銭台まで急落。中期的には緩やかな下落基調が続く90日移動平均線(105.3)に上値を押さえられてドル安円高優勢の流れも、短期的には反発に転じた9日移動平均線(104.3)にもサポートされて上値トライへの可能性も。104円半ばの節目を上抜けると11月高値105円70銭近辺を上値目標に短期上昇トレンド形成へ。ただし雇用統計次第、という状況にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/2終値とチャート
3日の国内金価格は+71円、1.07%高で3日続伸。11月24日(6730)以来の水準を回復し、急降下中の9日移動平均線(6640)を上抜け、上昇軌道を維持する200日移動平均線(6700)も11月24日以来、7営業日ぶりに上抜け。目先しばらくは価格が上昇しない限り再び200日線を下抜ける形にもなり、この関係性を維持できるかどうかがポイントにも。8月最高値(7676)から11月末安値(6512)までの23.6%戻し(6787)が次に意識される節目。
プラチナ価格は+58円、1.62%の大幅高で4日続伸。8月7日(3655)以来4ヵ月ぶりの高値水準となり、霞んでいた8月高値3650円台が目前に。中長期トレンド転換をかけた重要な攻防ライン、2013年2月高値(5445)から今年3月安値(2422)までの38.2%戻し(3577)を超えての一段高となり、この水準を維持できればいずれ今年高値(3921)を目指すような流れへとつながる可能性も。ただし過熱感はNYプラチナを上回り、短期的には急反落警戒感も高まる状況にも。雇用統計の結果がネガティブとなった場合には金とは逆行、株安の流れに連れて急反落、といった展開も。
※参考:金プラチナ国内価格12/3とチャート
2020年12月3日(木)時点の相場
国内金:6,704 円 12/3(木) ▲71(1.07%)
国内プラチナ:3,647 円 12/3(木) ▲58(1.62%)
NY金:1,830.2 ドル 12/2(水) ▲11.3(0.62%)
NYプラチナ:1,012.1 ドル 12/2(水) ▲8.2(0.82%)
ドル円:104.42 円 12/2(水) ▲0.10(0.10%)
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