更新日:2020年12月31日(木)
BIS(国際決済銀行)発表の実質実効為替レート(世界主要61カ国を対象に算出、主要貿易相手国との為替レートを貿易額に応じて加重平均、物価調整を含めて指数化)でも、ドル安の流れは続いています。
11月時点でのドル指数は115.18。今年4月には123.92まで上昇し、2002年12月(124.86)以来17年4ヵ月ぶりのドル高水準となっていましたが、その後は7ヵ月連続の低下で2018年6月(115.02)以来、2年5ヵ月ぶりのドル安水準となっています。
今年、コロナ後は円安基調も続いています。円指数は今年5月に80.32となり、2016年11月(80.86)以来3年半ぶりの円高水準となった後、6ヵ月連続の低下で11月は77.2。
ドル安・円安基調が今年後半にかけて同時進行したことにより、ドル円相場の膠着状態が続いています。
ただし、10年平均との乖離率を比較すると、状況は異なります。
日本円の10年移動平均はゆるやかに下降する円安基調が続いています。ドル円相場が1ドル=120円台まで上昇した2015年半ばには、実質実効為替レートでは10年平均からの乖離率は-24%台まで拡大していましたが、今年10月時点で-5.0%まで縮小、11月も-5.0%で横ばい推移。
これに対して、米ドルの10年移動平均はゆるやかに上昇するドル高基調が続きます。10年平均からの乖離率は11月時点で+6.8%。今年4月時点では+16.0%まで拡大し、2017年1月以来3年3ヵ月ぶりの拡大水準となっていましたが、11月には2018年4月(+5.5%)以来、2年7ヵ月ぶりの水準まで縮小。
長期的には、依然として米ドルは割高、日本円は割安の状態が続いています。来年は、バイデン新政権となって円安牽制発言も警戒されます。
なお、NY金価格(月間平均)は11月時点で10年平均との乖離率は+33.4%、最高値を更新した8月の+43.0%からはかなり縮小しましたが、それでも長期的には相当な割高水準。ただし、足下で進行中のドル安基調がもう一段続くことになれば、割高に見える金価格を下支えすることになるかもしれません。
30日のNY金相場は+10.5ドル、0.56%の続伸。終値ベースでは11月6日(1951.7)以降の約2ヵ月で最高値。英国ではアストラゼネカとオックスフォード大の共同開発ワクチンが世界で初めて承認され、その英国発のコロナ変異種は米国でも検出され、NY市では陽性率が週平均で8%にも届きそうな勢い。欧米でのコロナとの厳しい戦いはまだまだ続きそうな状況での年末年始休暇前、金融緩和長期化を念頭にドル安基調は続いてユーロドルは2年8ヵ月ぶり高値を、ドルインデックスは2年8ヵ月ぶり安値を更新。0.9%台での揉み合い状態が続く米10年債利回りはこの日、欧州時間に0.95%付近まで小幅に上昇後、NY市場では0.92%台までコンスタントに低下。この流れにサポートされる形でNY金は時間外に1880ドル付近から1890ドルまで上昇していったんは反落も、NY市場では再度1890ドルの節目トライ。NY引けにかけてもジリジリと水準を切り上げる展開で1900ドルの大台トライへ。日足レベルでは90日移動平均線(1895.4)に上値を押さえられた形となってはいるものの、2020年NY最終日を目前にこれを上抜け。このまま90日線以上の水準を維持できれば短期上値目標12月高値(1912.0)前後までは年内に、もしくは年明け早々にでも届きそうな状況にも。
NYプラチナは+15.9ドル、1.5%の大幅高で5日続伸。5日続伸は12月4日以来、4週間ぶりで今月2度め、今年6度め。終値ベースでは12月4日(1072.8)を上回り、2016年9月8日(1084.7)以来、ほぼ4年4ヵ月ぶり高値。12月4日につけた今年最高値1093.1ドルにはまだ届かない状態ながら、この水準を目標とする短期上値トライの流れは着実に進行中。NY市場での金の堅調推移に追随して1060ドル台から1070ドル台へと水準を切り上げた後、引け後には1080ドル台へと上昇中。なお、2011年8月高値(1912.0)から今年3月安値(562.0)までの38.2%戻し(1077.7)を上抜け、長期トレンド転換にらみで新年入りへも。
ドル円は40銭ほどのドル安円高、0.38%の続落。2日連続で20日移動平均線(103.73)に上値を押さえられて上値トライに失敗した前日の流れを受け継ぐ形で今度は下値トライへの展開に。ドル安の流れはドル円にも波及、東京朝の時点で短期保ち合いレンジ下限となる103円50銭を割り込んでの軟調推移となり、東京午後から欧州朝にかけては103円30銭近辺でいったん下げ渋るも、NY朝にかけての一段安で103円割れ。短期下値目安102円台後半に対しては一歩足を踏み入れた程度に。目先は102円80銭前後まで、もう一段下値を試す可能性も。103円80銭が当面の抵抗水準に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/30終値とチャート
2020年12月31日(木)時点の相場
国内金:6,831 円 12/25(金) ▲20(0.29%)
国内プラチナ:3,703 円 12/25(金) ▲32(0.87%)
NY金:1,893.4 ドル 12/30(水) ▲10.5(0.56%)
NYプラチナ:1,078.5 ドル 12/30(水) ▲15.9(1.50%)
ドル円:103.18 円 12/30(水) ▼0.39(0.38%)
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