更新日:2021年4月17日(土)
市場が予想するインフレ見通しは高騰が続き、この3月から4月にかけては一段と加速しています。
ミシガン大の1年期待インフレは4月速報値で3.7%となり、3月の3.1%からは急加速、2012年3月(3.9%)以来、9年1ヵ月ぶりの高水準。3ヵ月平均でも3.4%となり、3月の3.1%からは急騰、4ヵ月続伸となって2012年5月(3.4)以来、ほぼ9年ぶりの高水準。
インフレ上昇予想がより顕著に、鮮明となっています。
今週発表された3月のNY連銀消費者調査では、1年期待インフレ率は3.24%。2月の3.09%からは急上昇、5ヵ月続伸となって2014年4月(3.30)以来、6年11ヵ月ぶりの高水準となっていました。3年期待インフレでも3.09%となって2014年8月(3.09)以来、6年7ヵ月ぶり高水準。
商品別のインフレ予想では、ガソリン価格が9.86%となって6ヵ月続伸、1月の6%台から2月に9%台へと跳ね上がって3月もさらに上昇。2013年以降の調査結果では過去最高。
同様に家賃も1月の6%台から2月に9.04%へと急騰、3月には9.26%となって4ヵ月続伸、これも過去最高を更新。食品や医療品、教育費なども高水準での推移が続いています。
米10年債利回りが上昇してきたこれまでの流れを受けて、消費者意識としてもインフレ加速への思惑が強まっています。とりわけ米10年債利回りが1%を超え、バイデン政権がスタートし、ワクチン接種も拡大してきた年明け以降はこの傾向が急加速してきたようです。
ただし、足下では米10年債利回りは3月末に1.74%台まで上昇してピークアウトの兆し、今週は1.6%割れまで低下してきました。これに連動するように期待インフレ率(BEI)も3月末の2.37%でいったんピークアウトした可能性を示し、足下では2.3%台前半での推移が続きます。
この結果、実質金利も3月後半の-0.56%でいったん頭打ち。今週には-0.7%台まで戻しての推移。これが足下のNY金のサポート要因にもなっています。
この傾向、この状況が続くことになれば、やがて市場のインフレ加速予想も徐々に冷めてくることにもなりそうです。
16日のNY金相場は+13.4ドル、0.76%の続伸で2月24日(1797.9)以来、およそ2ヵ月ぶりの高値。時間外に1760ドル、浅めの押し目を形成してロンドン時間からユーロ高ドル安の流れにも連れて押し目買い、NY朝には1780ドル台半ばまで上昇。下げ渋った米長期金利も1.6%を回復できず、NY金の上値抑制も限定的に。年初の今年高値(1962.5)から3月上旬の今年安値(1673.3)までの38.2%戻し(1783.8)を達成し、1750ドルの節目超えに伴う短期上値目標1780ドル近辺にもきっかり到達。短期的には一服感も、ダブルボトム完成後の上値トライ継続となれば90日移動平均線(1802.5)も推移する1800ドルの大台近辺が意識される可能性も。ただし米長期金利の下げ渋りと材料不足感が足枷、短期サポート候補としては過去の上下限、節目が集中する1760ドル近辺。
週間ベースでは+35.4ドル、2.03%の続伸。続伸は3月半ばに続いて今年2度め。
NYプラチナは+8.5ドル、0.71%高で3日続伸。4月9日(1209.3)以来、1週間ぶり高値。前日の1200ドルの大台回復で反発基調一服、大台をはさんでの小幅揉み合い推移となって足場固めの様相にも。下値はロンドン・NY市場でつけた1190ドル台前半、横ばい推移の20日移動平均線(1193.1)にもサポートされ、上値は欧州時間の1205ドル近辺からNYでは1210ドル台前半へと切り上げるも、徐々に失速して1200ドル台半ばへ。この日の変動値幅は20.6ドルにとどまり、今年の平均43.7ドルの半分以下で今年2番めの小動き。4月高値から安値の半値戻し(1204.1)を回復し、水準的にも方向感もほぼ中立状態を回復。目先はこの日の高値水準でもある61.8%戻し(1212.5)超へと水準を切り上げることができれば堅調推移継続へ、この日の安値水準にも相当する38.2%戻し(1192.6)割れへと向かえば下値トライ再開へ。
週間ベースでは-0.6ドル、0.05%安で3週ぶりの小反落。
ドル円は6銭のドル高円安、0.06%の小幅高で5日ぶりの反発。前日の軟調な流れのまま東京朝には108円60銭近辺まで下げてこの日の安値、3月24日(108.46)以来3週間ぶりの安値をつけて反発すると108円90銭台まで小幅に急騰。ほぼこの日の高値付近まで上昇すると、前日同様109円ラインと切り下がる5日移動平均線(108.99)にも上値を押さえられる形で欧州時間まで108円70銭台を下限に小幅保ち合い推移。NY時間にかけてはさらにレンジを縮小し、108円80銭近辺に収束。引き続き109円を回復できなければ下げ止まりを確認できず、軟調推移優勢の展開で108円近辺の下値目標を目指す流れ継続へ。
週間では-86銭、0.78%の続落。続落は1月以来、3ヵ月ぶりで今年2度め。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/16終値とチャート
2021年4月17日(土)時点の相場
国内金:6,718 円 4/16(金) ▲80(1.21%)
国内プラチナ:4,559 円 4/16(金) ▲77(1.72%)
NY金:1,780.2 ドル 4/16(金) ▲13.4(0.76%)
NYプラチナ:1,208.7 ドル 4/16(金) ▲8.5(0.71%)
ドル円:108.81 円 4/16(金) ▲0.06(0.06%)
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