更新日:2021年5月20日(木)
米雇用統計で発表される平均時給の賃金上昇率は、2020年3月の前年比+3.53%から、コロナショックを経て4月には+8.17%へと急騰、その後は前年比+4%台までのレンジで乱高下、今年4月には前年比+0.33%へと急減速。
コロナ対応のロックダウンによって低賃金層の雇用が吹き飛んだ状態からの回復基調が徐々に進行し、1年後の今年春にはワクチン効果もあって急回復。低賃金層の大量復帰によって平均時給を押し下げたようです。平均時給で見る賃金上昇率は、過去最大の急騰となった1年後には過去最低の小幅上昇という乱高下状態となっています。
これを3ヵ月移動平均で見ると、2020年3月の前年比+3.19%から翌4月には4.90%へと急騰、6月の前年比+6.60%でピークアウトすると、今年4月には1年1ヵ月ぶり低水準となる+3.27%まで低下。
アトランタ連銀が今週発表した賃金上昇トラッカーでは、個人時給の中央値の前年比が3ヵ月移動平均で示され、今年4月は+3.2%。2018年6月(3.2)以来、2年10ヵ月ぶりの低水準。
2020年3月の+3.5%から、小幅上下動をはさんで7月の+3.9%でピークアウト。その後は低下傾向が続きます。
平均時給の3ヵ月平均と比較すると変動幅は大きく違うものの、方向性がようやく一致し始めたようにも見えます。
リーマンショック直後にも平均時給は上昇し、翌2009年序盤から賃金上昇トラッカーと連動するように低下し始めました。ゆるやかな回復基調がスタートしたのは2010年でした。
4月時点で980万人の失業者が今後復帰してくるに連れ、賃金上昇率はもう少し低下することも想定されますが、どこまで低下するのか、あるいは限定的にとどまるのかはわかりません。
ただし、中央値でも平均時給でも、方向性はもう少し明確になってくるのではないかと思われます。
4月FOMC議事要旨では、債券購入規模縮小について「いずれかの時点で」協議するとの言及も伝えられていますが、現状はこの賃金上昇率などの指標のノイズ剥落待ちの状況かもしれません。
19日のNY金相場は+13.5ドル、0.72%高となって5日続伸。5日続伸は年を跨いだ1月5日まで以来、4ヵ月半ぶり。1月7日(1913.6)以来、4ヵ月ぶり高値圏での一段高。時間外は米長期金利の反発とユーロドルの反落などに連れてようやく調整へ、ロンドン時間には1850ドル台前半まで下落。しかしNY朝にはビットコイン急落を受けての米株安、長期金利反落にドル安の流れを受けて切り返すと1890ドル台まで40ドルの急騰。行き過ぎ目安とした最高値から3月安値の半値戻し(1881.3)近辺まで戻してNY引け後、FOMC議事要旨では「複数の参加者が経済回復進展なら、いずれ資産購入ペース調整に関する協議」に言及したことが判明、当たり前の事ながら実際に明記されていたこが伝わると米長期金利は1.67%台へと急反発、ドル高も急進となって1860ドル台へと一段安。目先は調整となりやすく、200日移動平均線(1852.5)から1840ドル近辺までがサポート候補。
NYプラチナは-23.7ドル、1.93%の続落で4月29日(1197.6)以来、3週間ぶりの安値。ロンドン時間から軟調な流れとなって1200ドル近辺へと水準を切り下げ、金が反発したNY朝には乱高下の展開となって1200ドルをはさんでの攻防状態。徐々に上値を切り下げる形となってNY引け後には一時1190ドル割れ。その後は反発の動きも見られるものの、1200ドルの大台回復には至らず。このまま1200ドルの節目がサポートから抵抗水準へと切り替わるようならもう一段下値を試す流れへ、下値目安は4月安値1150ドル台まで。
ドル円は30銭程のドル高円安、0.27%高となって5日ぶりの反発。109円ラインが重い状態は欧州時間に抜け出し、米長期金利上昇の流れとユーロドルの反落にも連れて109円30銭台まで上昇。しかしNY序盤にかけてはビットコイン急落と米株安、米10年債利回りも低下したことにも連れてリスク回避の円高の流れ。1週間ぶり安値で節目となる108円50銭台でサポートされると108円90銭台まで反発し、FOMC議事要旨の発表を受けて109円20銭台へと急騰。下ヒゲを残して20日移動平均線(108.90)にもサポートされる形となり、目先の下値サポートも108円90銭に切り上げ、あらためてこれを割り込むようだと5月安値108円30銭台までが短期下値目安に。上方向には109円70銭の節目を超えると110円台前半が上値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/19終値とチャート
20日の国内金価格は+18円、0.25%の反発。かなり控えめな調整後の反発で高値圏での小幅保ち合いを形成。RSIは92.0まで上昇し、最高値となった昨年8月7日(89.5)を上回り、少なくとも10年余りで最高となった2020年1月8日(99.6)以来、1年4ヵ月ぶりの高水準。7120円の節目を割れると調整幅拡大へ、最高値から3月安値の半値戻し(7045)近辺、7050円近辺までが下値目安に。万が一7150円超へと高値更新の場合、短期上値目標は最高値から3月安値の61.8%戻し(7194)。
プラチナ価格は-76円、1.64%の続落で4月23日(4534)以来、ほぼ1ヵ月ぶりの安値。4630円のサポート水準で踏みとどまり切れずに一段安、下値目安4540円程度まで若干の下げ余地も。時間外序盤に下げ渋っているNYプラチナが一段安へと向かうようなら、さらにもう一段の下げも見込まれ、4450円近辺までが次の下値目安に。
金との価格差は3日前の2300円台から2583円まで急拡大、2月5日(2631)以来3ヵ月半ぶりの水準。
※参考:金プラチナ国内価格5/20とチャート
2021年5月20日(木)時点の相場
国内金:7,141 円 5/20(木) ▲18(0.25%)
国内プラチナ:4,558 円 5/20(木) ▼76(1.64%)
NY金:1,881.5 ドル 5/19(水) ▲13.5(0.72%)
NYプラチナ:1,201.6 ドル 5/19(水) ▼23.7(1.93%)
ドル円:109.19 円 5/19(水) ▲0.29(0.27%)
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