更新日:2021年6月26日(土)
米商務省が発表した個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は4月の前年比+3.62%から5月は前年比+3.91%へと一段と上昇。市場予想どおりで6ヵ月続伸となり、2008年8月(3.98)以来、12年9ヵ月ぶりの高水準。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCEは5月に前年比+3.39%。ほぼ市場予想どおりで4月の+3.11%からも一段と上昇、3ヵ月続伸で1992年4月(3.42)以来、29年1ヵ月ぶりの高水準。
一時的かどうかの見方がFOMC内でも分かれるなか、前年比インフレ率は2ヵ月連続の高騰状態となっています。
なお、内訳としてはサービス価格が前年比+3.1%で4月からは横ばい推移(3月の+2.3%からは上昇)となったのに対し、商品価格は6ヵ月続伸で3月の前年比+2.6%から4月に+4.7%、5月は+5.4%と急騰局面を形成中。また、エネルギー関連サービス価格は3月の前年比+13.0%から4月に+24.8%へと急騰、5月は+27.4%と高止まり。
FOMC以降、タカ派発言が目立つ連銀総裁のうちの一人で「テーパリングをすぐにでも開始することを支持」と表明したカプラン総裁のダラス連銀が発表したトリム平均PCEは、5月に前年比+1.85%。4月の+1.79%からも上昇し、5ヵ月続伸となってはいますが、昨年9月(1.92)以来8ヵ月ぶりの高水準にとどまっています。
PCE構成品目のうち上位31%と下位24%までを除いて算出されるトリム平均PCEでは、コロナ前の2020年2月の前年比+2.11%から、3月には+1.98%、4月に1.87%へと低下幅が限定的となっていたこともあってベース効果があまりないことも一因ではあります。
過去にはタカ派と見られていたこともあったものの、FOMC後には「支援策を解除する段階ではない」とハト派姿勢を示したメスター総裁のクリーブランド連銀が発表したメディアンPCEは、5月に前年比+2.02%。4ヵ月ぶり高水準となった4月の+2.03%からわずかながら低下しています。
PCE構成品目の価格分布の中央部分、50%台の品目のみで算出するメディアンPCEは、コロナ前の2020年2月の前年比+2.61%から3月は2.56%、4月は+2.41%とやはり低下幅が限定的となってベース効果がほぼないことも今年春に急騰していない要因の一つにはなっているものと思われます。
ただし、過去にコアPCEインフレが安定的に2%台前半で推移していた時には変動の大きい部分を取り除いたトリム平均PCEはコアPCEを上回る水準で推移し、変動の大きい部分をさらに取り除いたメディアンPCEはさらに高インフレとなっていました・・・。
25日のNY金相場は+1.1ドル、0.06%の小反発。時間外序盤に1773.6ドルの安値をつけ、過去3日間の安値圏で反発するとユーロ高ドル安優勢の流れにも連れ、ロンドン市場までに1780ドル台へ。NY朝には米5月PCEインフレが前月比で市場予想を下回ったことを受けてドル安急進、ユーロドル上昇とともに1790ドルまで小幅に急騰。その後は米10年債利回りが1.5%台へと小幅急上昇したことを受けてドル買いへと巻き戻され、ユーロドルも金も前日の再現となって急反落、3日連続の上に行って来い。小幅保ち合い下限1770ドルから上限1790ドルまでをこの3日間で3往復し、週末NY引け後には小反発、レンジ半ば1780ドルを回復して終了。小幅保ち合いを維持したまま月末月初の雇用指標待ちへ。レンジ上抜けなら1820ドル近辺、下抜けなら1740ドル台へ。
週間では+8.8ドル、0.5%の小幅高となって4週ぶりの反発。
NYプラチナは+9.7ドル、0.89%高で5日続伸。5日続伸以上は今年高値に向けた急騰局面となった2月以来、4ヵ月ぶりで今年2度め。時間外序盤に1091.3ドルの安値をつけて堅調推移、ユーロ高ドル安と株高、金買いの流れにも連れて1100ドルの大台をロンドン市場で突破するとNY市場でつけた高値は1111ドルまで。その後の反動安でも一時1100ドルをわずかに割れただけ、この水準がサポートに切り替わった可能性も残してNY引け後には1108ドルまで反発。1100ドルがサポートラインとなれば5月高値から6月安値の38.2%戻し(1120.9)が次の節目。この水準は年初から2月急騰前までの保ち合い上限付近にも相当し、抵抗水準にもなりやすいところ。超えることができれば50%戻し(1151.6)も視野に。
週間では+62.6ドル、6.01%の大幅高となって4週ぶりの反発。上げ幅は3月8日からの週(+72.0ドル、6.38%)以来3ヵ月ぶりで今年3番めの大幅上昇。
ドル円は9銭程のドル安円高、0.08%の小幅続落。東京朝に110円90銭台まで小幅に上昇したのがこの日の高値となり、2日連続111円10銭台の今年高値をつけた翌日は111円ラインへと上値を切り下げる形に。ゆるやかなドル安の流れとなって欧州時間には110円70銭台まで水準を切り下げると、NY朝のPCEインフレの結果を受けてインフレ懸念緩和となり、110円40銭台まで下落。ただしこの流れも続かず、米10年債利回りの上昇にも連れてNY午後にかけて110円80銭台まで買い戻し。高値圏での小さな十字線形成後の反落も巻き戻され、再度十字線を形成して方向感喪失気味に。111円近辺で上値を押さえられる状態が続くようなら、昨年3月高値111円70銭近辺を目標とした上値トライも腰折れとなって反落警戒感が高まる状況にも。
週間では+57銭、0.52%高で3週続伸。3週続伸は3月以来、3ヵ月半ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/25終値とチャート
2021年6月26日(土)時点の相場
国内金:6,915 円 6/25(金) ▼21(0.30%)
国内プラチナ:4,263 円 6/25(金) ▲22(0.52%)
NY金:1,777.8 ドル 6/25(金) ▲1.1(0.06%)
NYプラチナ:1,103.6 ドル 6/25(金) ▲9.7(0.89%)
ドル円:110.78 円 6/25(金) ▼0.09(0.08%)
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