更新日:2021年7月15日(木)
前日の消費者物価(CPI)に続き、生産者物価(PPI)も想定以上に上振れ、インフレ急騰状態となりました。
米労働省が発表した6月の生産者物価指数(PPI)は前年比+7.31%。市場予想の+6.7%を大幅に上回り、5月の+6.56%からも一段と上昇。6ヵ月続伸となり、調査開始の2010年以降での最高を3ヵ月連続で更新。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数(コアPPI)では、前年比+5.58%。市場予想の+5.1%を上回り、5月の+4.83%からも急騰。これも6ヵ月続伸となり、調査開始の2011年以降の最高を4ヵ月連続で更新。
食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数(コアPPI2)では前年比+5.51%。2020年5月(-0.18%)を大底に13ヵ月続伸となり、調査開始の2014年以降での最高を4ヵ月連続で更新。
しかし、図ったように同じタイミングで公表されたパウエルFRB議長の議会証言原稿では「インフレ高騰は一過性」との従来からの認識を改めて示し、「向こう数カ月は高い水準が続いた後、鈍化する可能性が高い」との見方も。
前日のCPI上振れ後には若干のドル高の流れが急速に進行したものの、この日はFRB議長の見解を素直に信用する格好となり、前日1.4%台を回復していた米10年債利回りが1.4%割れへと急反落、前日上昇分を巻き戻す形でのドル安も急速に進行。前日には乱高下となったNY金も堅調推移の展開に。
なお、パウエルFRB議長はこの日の議会証言で米経済の回復状況としては、緩和縮小の条件となる「一段の著しい進展」には「程遠い」との見解も改めて主張。
市場でくすぶる早期テーパリングへの警戒感は一定程度は緩和される形となったようです。
これに伴い、NY金の一段安への警戒感先送りと多少の上昇余地確保へ、という状況にも。
14日のNY金相場は+15.1ドル、0.83%の続伸で6月16日(1861.4)以来、1ヵ月ぶりの高値。時間外序盤の1800ドル台半ばがこの日の安値、大台を維持しての小幅押し目形成後は堅調な展開へ。ロンドン市場では1810ドル台で揉み合い、NY朝には前日の米6月CPIに続いてPPIも上振れ、しかし同タイミングで公表されたパウエルFRB議長の議会証言原稿が今回もしっかりハト派的だったことから米10年債利回り低下とドル安の流れが急進。これを受けて1810ドル近辺の抵抗水準を上抜けると15ドル余りの急騰、一時1830ドル台まで上昇し、1810ドル超えに伴う短期上値目標1830ドル近辺にも即到達。目標到達とともに200日移動平均線(1829.5)に上値を押さえられる形にもなり、上昇一服となって1820ドル台での揉み合い状態に。目先は200日線が抵抗線にもなって一服状態も、これを超えるようなら短期的にはやや行き過ぎトライとなって5月前半高値圏1840ドル台が意識される可能性も。下方向には1800ドルに切り上げたサポートを割れるようなら1780ドルまでを目安に一段安も。
NYプラチナは+16.9ドル、1.52%の反発で6月16日(1141.9)以来、1ヵ月ぶりの高値。金の堅調推移に追随する展開となり、時間外序盤に1101ドルの安値をつけて反発。1100ドルでのサポートを確認するとロンドン市場では1100ドル台から1120ドル超へと急騰局面を形成、新たな抵抗線となりつつあった1120ドル台をなんなく突破するとNY朝には一時1130ドル台半ばまで上昇。1120ドル台の上限超えに伴う短期上値目標1140ドル台には少し届かず失速も、1120ドル台後半から1130ドル近辺で揉み合う形で高止まり。1110ドルが目先のサポートとなり、1140ドル台の短期上値目標まで若干の上昇余地を残す状態。サポート割れの場合には1080ドル台まで逆戻り。
ドル円は70銭弱のドル安円高、0.62%安となって4日ぶりの反落。東京・欧州時間は110円50銭台を中心に小幅揉み合い推移、NY市場では前日のCPIに続いてPPIの上振れも一時的とする従来からの見方を頑として変えないパウエルFRB議長の議会証言原稿などを受け、長期金利低下とともにドル安の流れが急速に進行。110円近辺まで50銭余りの急落後も反発力には乏しく、ズルズルと110円割れ、今朝の東京市場では109円90銭割れをうかがう展開にも。日足レベルでは20日移動平均線(110.59)超えに失敗した形となり、下げ三法寄りの展開となっての急反落。109円70銭の保ち合い下限を割れるようだと一段安へ、5月後半安値圏108円80銭近辺までが下値目安に。上方向には110円70銭が当面の上限ライン、これを上抜けるようなら今年高値更新へ、111円80銭程度までが上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/14終値とチャート
15日の国内金価格は+25円、0.36%高で4日続伸。6月17日(7050)以来、1ヵ月ぶりの高値。4日合計でも+78円、1.1%と上げ幅はかなり控えめ。7010円の節目上抜けに伴う短期上値目標7050円台を目前にスローペースでの上値トライが継続。流れとしては堅調な状態が続きながらも、下げ止まらない21日移動平均線(6949)の傾きと目標水準到達後のNY金の失速状態、加えて円高圧力が強まり始める状態も重石に。
プラチナ価格は+64円、1.49%の反発で6月17日(4363)以来、1ヵ月ぶりの高値。ゆるやかに上昇する9日移動平均線(4267)にサポートされて4330円台の節目を突破、上値トライ再開へ。一度は失敗した4380円近辺の短期上値目標再トライへ。下方向には4290円が当面のサポート、これを割り込むようだと反発基調腰折れ、下落基調が続く21日移動平均線(4234)付近までが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格7/15とチャート
2021年7月15日(木)時点の相場
国内金:7,039 円 7/15(木) ▲25(0.36%)
国内プラチナ:4,360 円 7/15(木) ▲64(1.49%)
NY金:1,825.0 ドル 7/14(水) ▲15.1(0.83%)
NYプラチナ:1,128.1 ドル 7/14(水) ▲16.9(1.52%)
ドル円:109.94 円 7/14(水) ▼0.69(0.62%)
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