更新日:2021年7月28日(水)
IMF(国際通貨基金)が発表した7月時点での世界経済見通しによれば、2021年の世界経済成の長率予測は前年比+6.0%。前回4月時点から変わらず、過去40年で最大の伸びが予想されています。そのなかで中国(前回8.4%→今回8.1%)やインド(12.5→9.5)など高成長新興国の見通しが引き下げられたのに対して、G7では日本(3.3→2.8)以外は見通し引き上げ。米国は前回の6.4%から今回は7.0%へと上方改定され、ワクチン接種の進行状況が反映された形にもなり、好調持続が予想されています。
これを反映するように、この日発表されたコンファレンスボードの7月消費者信頼感指数は市場予想の124.0を大幅に上回る129.1となり、7ヵ月続伸で急騰局面を形成、2020年2月(132.6)以来、1年5ヵ月ぶり高水準となり、ほぼコロナ前の水準を回復した格好です。
また、同時刻に発表されたリッチモンド連銀製造業指数も7月は27.0となり、市場予想の20.0を大幅に上回って5ヵ月続伸、2004年3月(28.0)以来17年4ヵ月ぶりの高水準となっています。なお、調査開始の1993年11月以降のデータでは2番めの高水準。地区連銀の景況感指数では、NY連銀も7月に過去最高となっていました。
その一方で、フィラデルフィア連銀の指数は7月に7ヵ月ぶり低水準へと急低下、ダラス連銀の指数でも5ヵ月ぶり低水準へと急失速。
地区連銀の景況感は7月に強弱混在となり、好調持続か、失速かの分岐点に差し掛かってきたようにも解釈できそうです。
なお、米疾病対策センター(CDC)ではワクチン接種完了に伴い、マスク着用の必要なしとしてきた2ヵ月程の方針をここに来て軌道修正、デルタ株による感染再拡大に対応する為に再びマスク着用指針を厳格化するようです。
コロナ収束方向への流れも一方的に、順調に進行し続けるとも限らないことを象徴しているようです。
米国の消費者信頼感でも、ミシガン大発表の指数では7月速報で80.8と5ヵ月ぶり低水準へと減速し、そもそもコロナ前の90台後半から大きく下方乖離した水準での推移が続いています。
回復途上、収束途上を示す指標もまだまだ存在します。
27日のNY金相場は+0.6ドル、0.03%の小幅高で3日ぶりの反発。3週間ぶり安値圏で実質横ばい推移となったこの日に変動値幅は12.6ドル。今年の平均26.7ドルの半分以下で今年6番めの小動き。1790ドル台後半を主要レンジに小幅揉み合い推移が続き、ロンドン序盤につけた安値は1792.8ドル、NY朝に6月耐久財受注が下振れて長期金利低下とドル安が進行した場面では1800ドル台へと小幅急騰も高値は1805.4ドルまで。その後7月消費者信頼感指数が上振れて米株反発の場面では1790ドル台半ばへと急反落。落ち着かない展開でNY午後には1800ドルをはさんでの小幅保ち合いへ。FOMC待ちで方向感としては中立に近い状況ながら、短期的な流れは下値トライへと半歩踏み出したような状態にも。引き続き1800ドル割れに伴う下値目安1780ドル前後までを試しに行く可能性。
NYプラチナは-20.5ドル、1.92%の反落で6月18日(1041.0)以来、5週間ぶりの安値。時間外に1060ドルの下値サポートを割れるとロンドン市場にかけて1050ドル割れへと小幅に急落、NY朝には金に追随する形で一時1070ドル手前まで急反発も、その後の反落局面では25ドル程の急落となって1044ドルの安値。その後の戻りでも1050ドル台前半まで。1060ドルの節目割れに伴う短期下値目安1030ドル近辺まで、もう少しの下値余地を残す状態に。上方向には1070ドルが当面の抵抗水準、上抜けできれば1110ドル近辺までの反発局面形成へも。
ドル円は60銭のドル安円高、0.54%の続落で7月19日(109.45)以来、1週間ぶりの安値。米10年債利回りの1.3%付近から1.2%台半ばへの低下基調に連れ、東京朝の110円30銭台から欧州時間にかけて110円割れ。110円を挟んでの揉み合いとなってしばらくは下げ渋る展開も、NY朝には耐久財受注の下振れなどをきっかけに米10年債利回りが1.2%台前半へと一段安となったことにも連れて一時109円50銭台まで下落。ただし、下方向への節目109円40銭手前で下げ渋ると109円80銭台まで反発。円安方向へと傾斜しつつあった流れは巻き戻され、若干の下値警戒感も高まる状態にも。109円40銭の節目を下回るようだと一段安の展開へ、4月安値圏108円前後までが下値目安に。上方向には110円60銭が当面の抵抗水準に、超えると今年高値更新トライへの可能性も再浮上。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/27終値とチャート
28日の国内金価格は-21円、0.3%の続落で7月1日(6894)以来、4週間ぶりの安値。FOMC直前でNY金の下げ渋りに対して円高進行による下押し圧力を受けて6960円の下値サポート割れ。NY金も為替も節目付近での攻防となり、FOMC後にどちらかが一段安なら他方は反発へという展開も想定され、国内価格の下値トライへの流れもやや緩和される可能性も。それでも短期下値目安は6900円前後まで。
プラチナ価格は-59円、1.43%の反落で6月21日(4034)以来、5週間ぶりの安値。9日移動平均線(4209)が21日移動平均線(4227)を下抜けて再び弱気のパーフェクトオーダーを完成。前回、前々回は保ち合い推移中の形成となったことで一時的に終わったが・・・。地合い回復に向けては少なくとも9日線が低下して来る4200円近辺まで戻す必要も。NYプラチナが一段安となった場合には4000円の大台近辺までが意識される可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格7/28とチャート
2021年7月28日(水)時点の相場
国内金:6,944 円 7/28(水) ▼21(0.30%)
国内プラチナ:4,063 円 7/28(水) ▼59(1.43%)
NY金:1,799.8 ドル 7/27(火) ▲0.6(0.03%)
NYプラチナ:1,049.5 ドル 7/27(火) ▼20.5(1.92%)
ドル円:109.78 円 7/27(火) ▼0.60(0.54%)
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