更新日:2021年10月12日(火)
BIS(国際決済銀行)が公表している実質実効為替レート(世界主要60カ国を対象に主要貿易相手国との為替レートを貿易額に応じて加重平均、物価調整を含めて指数化。2010年平均を100とした月間平均)では、円安ピークに近づきつつあるようです。
2015年夏、量的・質的緩和で円安政策が推進された時のピーク水準、ドル円レートでは1ドル=125円80銭台のドル高円安水準となった時に黒田日銀総裁が「実質実効為替レートではこれ以上の円安は想定し難い」として黒田シーリングとも呼ばれた水準。
当時、2015年6月の実質実効為替レートの月間平均は67.63。7月の68.33と合わせて69ポイント割れ、円安の大底を形成しました。そして、その後は黒田総裁の指摘どおり、実質実効為替レートは円高方向へと推移して行きます。やや口先介入の感もありながら、80ポイント台半ばまで急騰、その後も昨年まではほぼ70ポイン台後半での円高水準での推移が続きました。
しかし、今年2月に75ポイントを割れると5月には70ポイント台まで低下。8月には71ポイント台へとわずかに上昇も、2015年の大底が意識される水準での推移が続きます。
実質実効為替レートでは相対的に高水準での推移が続く米ドルも、足下ではドル高傾向。行き過ぎた円安へのクレームが飛び出してもおかしくはなさそうな関係性にもなりつつあります。
ドル円レートでは2015年夏の水準にははるかに及びませんが、実質実効為替レートでの円安水準としては黒田シーリングに接近し、米ドルとの関係性においては2015年夏以上に、その差は拡大しています。
そろそろ、円安を警戒すべき水準に達している可能性もありそうです。
11日のNY金相場は-1.7ドル、0.1%の小幅安で3営業日続落。9月29日(1722.9)以来の安値。雇用統計後の一服とコロンブスデーの祝日でNY債券市場が休場となったこともあり、値動きは限定的。時間外での高値1761.1ドルからNY朝の安値1749.9ドルまで、ほぼ1750ドル台での保ち合いに終始。変動値幅11.2ドルは今年の平均26.0ドルの4割強、今年5番めの小動き。NY引け後も1750ドル台半ばで方向感も喪失気味。1720ドルから1770ドルまでの広めのレンジを上半分に縮小しつつある一方、右肩下がりの20日移動平均線(1761.4)に上値を押さえられ続ける状態。目先は米インフレ動向などが警戒指標となり、やや上値の重い展開となりやすい状況にも。
NYプラチナは-21.3ドル、2.07%の大幅安となって4営業日ぶりの反落。先週末の40ドル超の大幅高の半値戻しとなり、短期上値目標1000ドル台を突き抜けての一段高から目標水準まで戻してきた格好にも。時間外からロンドン市場にかけては1020ドル台後半から上値再トライの動きも1030ドル台半ばでは何度も上値を押さえられ、NY午後には株安の流れにも連れて1020ドルを割れると一段安、NY引けにかけて1000ドルの大台割れはなんとか回避した格好にも。9月安値(892.6)から10月高値(1041.7)までの23.6%戻し(1006.5)を達成した状態となり、目先は1000ドルの大台を維持できるかどうか、維持できれば1030ドルの上限までのレンジで上値再トライのチャンスをうかがう展開にも、上限超えなら1050ドル近辺までが短期上値目標に。大台割れなら38.2%戻し(984.7)から980ドル近辺までが次の下値サポート候補。
ドル円は1円10銭のドル高円安、0.98%の大幅高となって3日続伸。2018年12月14日(113.38)以来、2年10ヵ月ぶりの高値水準。上昇率ではインフレ懸念で急騰した5月12日(+1.06円、0.98%)以来5ヵ月ぶり、上げ幅としてはファイザーのワクチン効果報道によるリスクオンとなった昨年11月9日(+1.97円、1.91%)以来、11ヵ月ぶりの大幅高。この日は雇用統計の結果への好意的な見方によって年内テーパリング着手に向けた動きを肯定する認識が拡大するのに同調し、雇用統計後のドル高円安の流れが継続。週明け東京朝の112円20銭前後がこの日の安値となり、ゆるやかに、しかしコンスタントに水準を切り上げる展開となり、東京午後には112円70銭台、欧州時間には113円ラインの攻防状態となり、NY朝にこれを突破するとNY午後には一時113円40銭台まで上昇。今朝の東京市場では一時113円50銭付近まで上昇して上値トライ一服の兆しにも。短期的には112円の節目超えに伴う上値目標112円台半ばを突き抜け、多少の行き過ぎによる想定水準113円前後にも到達してなお一段高。過熱感も高まり、さらなる行き過ぎ警戒感も抱えながらも112円台半ば辺りまでの調整余地も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/11終値とチャート
12日の国内金価格は+53円、0.77%の続伸で9月7日(7027)以来、5週間ぶりの高値。円安による一段高となって90日移動平均線(6961)超えも5週間ぶり。6900円の節目上抜けに伴う短期上値目標6950円近辺にもしっかり到達してなお一段高。9月高値(7033)から9月安値(6764)までの76.4%戻し(6970)到達に伴う一服感も。61.8%戻し(6930)近辺までが下値サポート候補も、行き過ぎも警戒される円安基調がさらに進行するようなら7000円の大台超え、9月高値超えから7月高値(7048)近辺、7050円トライも視野に。
プラチナ価格は-33円、0.83%安となって5日ぶりの反落。ただし、短期上値目標3860円台を大きく突き抜けて若干の行き過ぎ目安3900円台もオーバーランからの反落も限定的。目先、3980円を上限に9月初旬の保ち合い下限付近、3850円近辺までが下値サポート候補にも。NYプラチナが下げ渋って大台を維持し、円安基調持続なら一段高の展開にも。上限超えなら2月高値(4798)から9月安値(3536)までの38.2%戻し(4018)付近、4020円近辺までが短期上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格10/12とチャート
2021年10月12日(火)時点の相場
国内金:6,970 円 10/12(火) ▲53(0.77%)
国内プラチナ:3,943 円 10/12(火) ▼33(0.83%)
NY金:1,755.7 ドル 10/11(月) ▼1.7(0.10%)
NYプラチナ:1,006.9 ドル 10/11(月) ▼21.3(2.07%)
ドル円:113.33 円 10/11(月) ▲1.10(0.98%)
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