更新日:2021年10月30日(土)
米商務省が発表した9月の個人消費支出(PCE)価格指数は高止まり。総合指数(PCE)では市場予想の前年比+4.4%程度にほぼ一致。前年比+4.38%となり、8月の+4.21%からも上昇。10ヵ月続伸となって1991年1月(+4.48)以来、30年8ヵ月ぶりの高水準。
食品とエネルギー関連を除いたコアPCEでは、9月は前年比+3.64%。市場予想の+3.7%程度をわずかに下回りながら、8月の+3.57%からは上昇。7月の+3.62%をわずかに上回り、1991年5月(+3.65)以来、30年4ヵ月ぶりの高水準。
PCEでは6月に前年比+4%台に到達し、7月以降は30年ぶり、コアPCEでは5月に29年ぶり、6月に30年ぶり、7月以降も30年ぶり高水準で3.6%台での推移となり、PCEもコアPCEも30年ぶり高水準での高止まりとなっています。
セクタ別の内訳では、商品価格が前年比+6.1%。7月の+5.3%、8月の+5.5%から一段と上昇し、サービス価格は前年比+3.5%で横ばい推移。エネルギー関連は6ヵ月連続で前年比+24%近辺と異常な水準での高止まりが継続中。
ダラス連銀発表のトリム平均PCE(上下一定割合を除外して算出)では、前年比+2.33%となり、8月の2.04%から急騰。8ヵ月続伸となって2008年11月(2.35)以来、12年10ヵ月ぶりの高水準。
クリーブランド連銀発表のメディアンPCE(価格変動分布50%台のみで算出)では、前年比+2.72%となって8月の2.36%からは急騰。4ヵ月続伸で2008年9月(2.76)以来、13年ぶりの高水準。
コアPCEの急騰に、やや遅れをとっていたトリム平均PCEとメディアンPCEも、ジワリ急上昇の兆しとなってきたようです。
なお、この日発表された7-9月期の雇用コスト指数は前期比+1.3%となり、市場予想の+0.9%を大幅に上回り、4-6月期の+0.7%からも急騰して過去最大。
FRBの指針となるコアPCEの高止まりに、さらなるインフレ高騰の兆し、インフレ押し上げ材料も加わってきたようです。
29日のNY金相場は-18.7ドル、1.04%の大幅安となって3日ぶりの反落。時間外序盤に1800ドルの大台を割れると軟調推移、米10年債利回りの上昇とドル高優勢の流れに連れてロンドン市場にかけて1790ドル台前半まで小幅に下落。反発局面では1800ドルの大台が上限となり、NY市場にかけてはユーロドルの急落などにも連れる形で戻り売りの勢いが加速。米9月のコアPCEが市場予想を下回ると瞬間的には反発も、インフレ高止まりが意識されての売り圧力が勝り、一時1770ドル台前半まで急落。NY午後にはドル高一服で自律反発、1780ドル台半ばを回復も90日移動平均線(1786.9)に上値を押さえられた形に。小幅保ち合い下限1790ドルを大きく割り込み、9月末から下値を切り上げてきた上昇トレンドは崩れて調整局面入りへ。9月安値(1721.1)から10月高値(1815.5)までの38.2%戻し(1779.4)をこの日の安値で達成し、目先は90日線を回復できなければもう一段の下値トライへの可能性。61.8%戻し(1757.2)近辺、1750ドル台までが短期下値目安に。
週間ベースでは-12.4ドル、0.69%安で3週ぶりの反落。月間では+26.9ドル、1.53%の反発。
NYプラチナは-3.2ドル、0.31%の小幅反落。1030ドル台の節目割れに伴う短期下値目安1010ドル近辺を2日連続安値で達成し、1020ドル近辺へと反発した状態で調整一服の様相となった時間外は1020ドルをはさんでの保ち合いの展開に。しかしNY市場では金の急落に連れ安となって13日(1003.0)以来、半月ぶり安値となる1005ドルまで下落。しかし1000ドルの大台手前で下げ渋るとNY午後には1020ドル近辺へ、ほぼ元の水準を回復する形となって下ヒゲ十字線を形成。3日連続1010ドル近辺の下値目安到達後の一服状態を示唆する格好にも。目先は90日移動平均線(1022.7)に上値を押さえられた状態を打破し、1030ドル台半ばの抵抗水準候補との攻防へと移行できるかどうか。
週間ベースでは-31.4ドル、2.98%の続落。月間では+58.3ドル、6.06%高となって6ヵ月ぶりの反発。
ドル円は42銭のドル高円安、0.37%高となって3日ぶりの反発。保ち合い下限113円50銭近辺の攻防からスタートした東京朝には一時113円70銭まで反発直後に113円40銭近辺へと急反落。これがこの日の安値となって反発局面形成へ、東京午後には113円70銭が上限、下値も113円50銭までと限定的となり、欧州時間からはユーロドルの急落にも連れてドル高優勢の展開となり、114円台再トライの様相に。NY朝にはPCEの結果に小幅乱高下となり、インフレ高止まりに加えて10月シカゴPMIの上振れ、ミシガン大消費者信頼感指数の上方改定などもあり、堅調推移となって114円台を回復。一段安への警戒感も高まりつつあった状態から、保ち合い下限113円50銭の底堅さを確認し、上限114円20銭手前では上値も重い状態で方向感もほぼ中立状態でFOMC、雇用統計待ちへ。あらためて下限割れなら112円前後までが下値目安に、上限超えなら115円台半ばを目指す流れへ。
週間ベースでは+47銭、0.41%の反発。月間では+2円69銭、2.42%の大幅高で3ヵ月続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/29終値とチャート
2021年10月30日(土)時点の相場
国内金:7,174 円 10/29(金) ▲5(0.07%)
国内プラチナ:4,068 円 10/29(金) ▲34(0.84%)
NY金:1,783.9 ドル 10/29(金) ▼18.7(1.04%)
NYプラチナ:1,020.7 ドル 10/29(金) ▼3.2(0.31%)
ドル円:113.97 円 10/29(金) ▲0.42(0.37%)
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