更新日:2022年3月3日(木)
2月のADP雇用者数は前月比+47.5万人となって市場予想を10万人程度上回り、1月分は-30.1万人から+50.9万人へと+80万人超の大幅修正。1月雇用統計が+46.7万人の好結果となった1ヵ月前の時点で???という状態だったのが、この日解消された、とも言えるものの、ADPの指標への信頼性が疑われるような事態にも。
なお、ADPのデータは年次改訂により過去分全般に修正が入り、2020年3月と4月で失った雇用者数をこの2月分までで全て取り戻したことになり、コロナ前の水準100%回復を達成。先月まで回復率80%台辺りで推移していたはずが・・・
軍事侵攻はないとの見方も多かった専門家の見立ても裏切られての軍事侵攻もとまらず、予想を裏切られる事態や見通しが立たない不透明感への不安も高まる昨今、パウエルFRB議長は明確に3月FOMCでの0.25%利上げ支持を表明。利上げフェーズ入り後のインフレ状況次第では大幅利上げも辞さないことも表明。
不確実性を嫌い、不透明感=リスクとなりやすい市場はパウエル発言を好感し、米株などは前日の大幅下落分を取り戻す急反発となってリスク回避の巻き戻し。
昨年まで0%だった3月利上げ見通しは、インフレ高騰によって0.25%利上げ予想が急上昇、1月末には90%台まで上昇していたものの、1月CPIが前年比+7.5%となった2月10日には急降下。代わって0.50%利上げ確率が90%台へと急騰。しかし、その後はウクライナ情勢不安によって形成再逆転、ロシアがウクライナへ侵攻した24日以降には再び0.25%利上げが90%台へ、0.50%利上げは10%割れへと急低下。そしてこの日のパウエル議長発言で3月の0.25%利上げ確率は97.8%へ、二転三転した3月利上げ予想もほぼ固まってきた状態にも。
ただし、パウエルFRB議長もロシアのウクライナ侵攻を念頭に、「見通しは不確実」とも。
2日のNY金相場は-21.5ドル、1.11%安で3日ぶりの反落。時間外は1940ドル台半ばから1930ドル台前半までの押し目を挟んでロンドン朝には1950ドル台へと上値再トライ、もここまで。前日高値で短期上値目標1950ドル近辺を再度試して失速すると調整へ。米10年債利回りも1.70%近辺まで下げて前日安値圏で切り返し、米株も前日の大幅安を取り戻す反発へと切り返すリスク回避の巻き戻し。1910ドル台半ばまで、30ドル超の急反落後の自律反発となったNY市場では1930ドル台まで戻したところでパウエルFRB議長の3月利上げ示唆発言を受けて再び1920ドル割れ。しかし1920ドル割れでの底堅さを示すようにNY引けにかけては1930ドル回復トライへ。1940ドル台が目先の上限となり、上抜けると軍事侵攻の日、24日につけた今年最高値1976.5ドル近辺再トライへ。下方向へは1月末の今年安値(1780.6)から今年最高値までの38.2%戻し(1901.7)近辺がサポート候補に。
NYプラチナは+16.1ドル、1.53%の続伸。米株の反発とパラジウムの半年ぶり高値圏での堅調推移にも連れる形で金には逆行。前日終値水準1050ドル付近が安値となり、揉み合いながら上値を切り上げる形でロンドン市場では1060ドル台後半、NY午後には1070ドル台へ。日足レベルでは勢いには欠ける状態ながら、右肩上がりの20日移動平均線(1049.2)にサポートされてゆるやかな上昇トレンドを維持。1030ドル台から1090ドル台までのレンジ半ばに位置し、上下両睨みの様相にも。上方向へと抜け出すことができれば1120ドル近辺までを目標に一段高の展開へも。下限割れへと向かえば1020ドル前後までが一段安の目安に。
ドル円は61銭のドル高円安、0.53%高で3日ぶりの反発。東京朝の114円80銭近辺が安値となっての反発基調。米10年債利回りが1.70%近辺から1.75%近辺へと反発した流れに連れて115円台を回復して一服後、欧州時間からの金利上昇再開に連れて堅調推移。NY朝には115円20銭台を回復し、ADP雇用の上振れや米株の反発基調、パウエルFRB議長発言などを受けてNY午後には115円60銭台まで上昇。しかし保合い上限115円60銭を超えて上値を伸ばすには時期尚早、115円50銭近辺での小幅保合いに収束。雇用統計での好結果確認、もしくはウクライナ情勢好転への兆しなどをきっかけに上方ブレイクとなれば上値トライへ、今年高値を更新し、117円台半ば辺りまでが上値目標にも。下方向へは114円90銭へと切り上げた下値ポートを割れると調整局面入り、11-12月安値112円半ばまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/2終値とチャート
3日の国内金価格は-13円、0.17%の小幅反落で過去2番めの高値水準。下げ幅としては今年の絶対値平均39円の3分の1、今年3番めの小動き。NY金の高止まりとドル高円高で方向感の出にくいドル円の状況を踏まえると国内金価格の高値圏推移は今しばらくは続きそうな状況にも。ただし、若干のリスク緩和でも急落の可能性も。RSIも80台での高止まり、調整不足も急反落警戒感を高める要因の一つに。1月末の今年安値(7244)から最高値(7825)までの23.6%戻し(7688)近辺が目先のサポート、割れると38.2%戻し(7603)近辺までの一段安も。7830円超へと高値再更新なら7870円程度までが短期上値目標に。
プラチナ価格は+64円、1.51%の続伸で2月24日(4355)以来、1週間ぶりの高値。上昇軌道の21日移動平均線(4206)にサポートされての反発から9日移動平均線(4291)も上抜け。上昇トレンド崩れを最小限にとどめて地合い回復方向ながら、勢いにはやや欠ける状態。4360円の節目を上抜けることができれば上値トライ再開へ、4430円辺りまでが上値目標にも。
※参考:金プラチナ国内価格3/3とチャート
2022年3月3日(木)時点の相場
国内金:7,812 円 3/3(木) ▼13(0.17%)
国内プラチナ:4,303 円 3/3(木) ▲64(1.51%)
NY金:1,922.3 ドル 3/2(水) ▼21.5(1.11%)
NYプラチナ:1,068.0 ドル 3/2(水) ▲16.1(1.53%)
ドル円:115.51 円 3/2(水) ▲0.61(0.53%)
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