更新日:2022年3月12日(土)
ロシアのプーチン大統領は前日のウクライナとの協議に関して「一定の前向きな動きがあった」との発言。真意不明ながら停戦に向けての期待感も意識され、一定程度はリスク回避ムードが緩和されたようです。
1週間前の2月雇用統計では、平均時給の前年比上昇率は+5.13%となり、1月の+5.48%からは低下。コロナショックとなった2020年4-5月(8-6%台)の異常値を除けば今年1月が過去最高。これがピークとなって賃金上昇率加速は一服、となっていました。3ヵ月移動平均でも1月の前年比+5.23%から2月は+5.16%へと実質最高水準から鈍化。
賃金上昇によるインフレ圧力は緩和の兆しに、との見方も広がりました。
しかし、アトランタ連銀が今週発表した賃金上昇トラッカー(個人時給中央値の前年比3ヵ月移動平均)では、1月の前年比+5.1%から2月は+5.8%へと急騰。4ヵ月続伸で1998年7月の+5.4%を上回り、23年7ヵ月ぶりに過去最高を更新しています。
このなかで、転職者の賃金上昇率は前年比+6.6%となり、1998年9月(6.7)以来、23年5ヵ月ぶり高水準。非転職者の賃金上昇率も+5.4%となって過去最高。
また、賃上げ率が+-0.5%の範囲内にとどまる、ゼロ賃金の割合は3ヵ月連続の低下で11.4%。リーマンショック直前の2008年5月(11.2)以来、13年9ヵ月ぶり低水準となっています。
この日、ミシガン大が発表した1年後の期待インフレ率も2月の4.9%から3月速報値では5.4%へと跳ね上がり、2005年以降では最高水準となっています。
賃金面でのインフレ圧力はまだまだ緩和されてはいないようで、足下の原油高などの影響でインフレ期待も緩和どころか一段と加速の兆しにもなりつつあります。
11日のNY金相場は-15.4ドル、0.77%の反落で3月4日(1966.6)以来、1週間ぶりの安値。時間外序盤に2000ドルを割れると以降、この大台ラインが抵抗線となる形で軟調な展開に。ロシアのプーチン大統領発言なども材料視されてリスク回避の巻き戻しが進行、ロンドン市場では1980ドル台のサポートに支えられたもののNY朝には2000ドルで上値を押さえられて戻り売り。欧米株の反発基調が続いたNY午前には1980ドル台のサポートを割れて1960ドルまで下落。短期下値目安1960ドル近辺にもいきなり到達したことでNY午後には自律反発。ウクライナのクレバ外相が「前進は全くない」とプーチン発言を全否定したこともあり、リスク回避の緩和ムードは巻き戻し。米株がマイナス圏へと急反落した流れに連れて1990ドル台を回復。今週一時的には過去最高値付近までの急騰もあったものの、高値では5日連続2000ドル超、安値では5日連続1990ドル割れ、大台を挟んでの攻防状態が続いた結果、週末には大台割れ。目先は2000ドルを上限に1980ドル台の下限までの小幅保ち合いレンジがベースに。下限割れなら再度1960ドル近辺までの下値トライへ、大台回復なら短期上値目標は2040ドル近辺まで。
週間ベースでは+18.4ドル、0.94%の続伸。
NYプラチナは-6.6ドル、0.6%安で3日続落。3月3日(1080.8)以来、1週間ぶりの安値。1080ドルを挟んでの保ち合い推移となり、NY午前には一時1970ドル割れも、午後には金の反発にも連れる形で1090ドル台を回復。NY引け後には一時1100ドル近辺まで試す場面もあり、右肩上がりの20日移動平均線(1075.4)にもサポートされて反発への兆しにも。引き続き1080ドルから20日線までが下値サポート候補となり、維持し切れなくなるようだと年初来の上昇トレンドには黄色信号、1030ドル台までが短期下値目安に。反発方向には1100ドルの抵抗感払拭が目前の課題。
週間ベースでは-28.2ドル、2.53%の反落。6週ぶりで今年2番めの大幅安。
ドル円は1円17銭のドル高円安、1.01%の大幅高となって5日続伸。5日続伸は年末年始の1月4日以来、2ヵ月ぶり。上げ幅は今年の絶対値平均33銭の3.5倍超、今年最大で2020年11月9日(1.97円、1.91%)以来、1年4ヵ月ぶりの急騰。水準としては2017年1月3日(117.74)以来、5年2ヵ月ぶりのドル高円安。東京朝の安値で116円台を維持すると堅調推移、年初につけた今年最高値116円30銭台を超えたことで保ち合い上放れ後の流れが加速した格好に。東京市場終盤には116円70銭近辺まで上昇し、115円60銭の節目超えに伴う短期上値目標116円台後半に到達。リスク回避の巻き戻し優勢の流れで株高・円安の勢いが続き、欧州時間には117円トライへ。NY午後にはウクライナ外相発言などから株価反落とともにリスク回避のドル高の流れが円高の勢いを上回り、117円30銭台まで上昇。短期的には一服感も、保ち合い状態で抑制され続けたボラティリティも拡大の兆しとなり、もう一段上値を伸ばす可能性も。短中期上値目標として2016年12月と2017年1月高値118円60銭台を目指す展開にも。
週間ベースでは+2.44円、2.12%の大幅反発。コロナショック時の2020年3月16日からの週(+2.89円、2.68%)以来、2年ぶりの大幅高。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/11終値とチャート
2022年3月12日(土)時点の相場
国内金:8,131 円 3/11(金) ▲36(0.44%)
国内プラチナ:4,330 円 3/11(金) ▼46(1.05%)
NY金:1,985.0 ドル 3/11(金) ▼15.4(0.77%)
NYプラチナ:1,088.6 ドル 3/11(金) ▼6.6(0.60%)
ドル円:117.30 円 3/11(金) ▲1.17(1.01%)
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