更新日:2022年5月4日(水)
世界的インフレ高騰とロシアによるウクライナ侵攻などによる金価格高騰、中国ではゼロコロナ政策に伴う景気減速、消費需要低下も影響した2022年第1四半期の金需要。
ワールド・ゴールド・カウンシルが発表したレポートによると、2022年第1四半期の世界の金需要は1234.0トン。前期比+83.2トン(+7.2%)、前年比では+315.0トン(+34.3%)の増加で2018年第4四半期以来、3年1四半期ぶりの高水準。
<目的別需要>
■宝飾品:517.8トン※2四半期ぶり低水準。前期比-201.4トン(28.0%)、前年比-20.9トン(3.9%)。シェア42.0%※6四半期ぶり低水準
■産業用:81.7トン※3四半期ぶり低水準。前期比-4.2トン(4.9%)、前年比+0.7トン(0.8%)。シェア6.6%※2年ぶり低水準
■投資:550.7トン※7四半期ぶり高水準。前期比+246.3トン(80.9%)、前年比+368.9トン(202.9%)。シェア44.6%※6四半期ぶり高水準
■中央銀行:83.8トン※6四半期連続買い越し、2四半期ぶり高水準。前期比+42.6トン(103.2%)、前年比-33.7トン(28.7%)。シェア6.8%※2四半期ぶり高水準、増加量上位はエジプト(+44.11トン)、トルコ(+36.9)、インド(+6.3)、アイルランド(+3.27)なと。
<投資需要・内訳>
■現物:281.9トン※2四半期ぶり低水準。前期比-40.4トン(12.5%)、前年比-69.9トン(19.9%)
■ETF:+268.8トン※3四半期ぶりの買い越し。6四半期ぶり高水準。
<金消費需要>
現物投資需要と宝飾品需要を合わせた金消費需要は799.7トン。前期比-241.8トン(23.2%)、前年比-90.9トン(10.2%)で2四半期ぶり低水準。全需要に対するシェアは64.8%で6四半期ぶり低水準。
★1位中国、2位インド。前期の7四半期ぶりトップ2逆転から再逆転。中国の宝飾品需要は177.5トンで4四半期ぶり高水準。インドは過去最高となった前期の265.0トンから94.2トンへ、6四半期ぶり低水準へと急減。1月の婚礼需要減と2-3月の価格高騰が影響。現物投資需要は中国が49.3トンで7四半期ぶり低水準。インドが41.3トンで3四半期ぶり低水準。2カ国合計の金消費需要の世界シェアは過去最大となった前期の57.38%から45.31%へと急縮小。8四半期ぶり低水準。
<世界の金消費大国>
世界の金消費大国上位3カ国が減少。中国が前期比-10.6%、インドは-60.6%、米国は-30.3%。4位以下は増加。4位ドイツは前期比+7.9%で2011年第3四半期以来、10年半ぶり高水準。3-4位は4四半期連続。5位ベトナムは前期比+129.4%の大幅増で8年ぶり高水準、13ランクアップ。6位イランは19.3%増で2年3四半期ぶり高水準も1ランクダウン、7位トルコは55.6%増で2四半期ぶり高水準、5ランクアップ。ただしインフレと通貨安で金価格も最高値へと高騰、前年比では-67%の大幅減。8位ロシアは22.2%増で7年半ぶり高水準、9位UAEは20.2%増で5年ぶり高水準、10位スイスは36.1%増で2年ぶり高水準。
前期6位のインドネシアは12位へ、7位英国は17位へ,9位タイは24位へ、10位サウジは11位へとダウン。13位以下はパキスタン、韓国、豪州、エジプトと続き、前回30位の日本は唯一の売り越しで32位、最下位。
<リサイクルと供給量>
リサイクルは310.5トンとなって前期比+11.0トン(3.7%)、5四半期ぶりの高水準。鉱山産出量は856.5トンで前期比-76.7トン(8.2%)。総供給量は1156.6トンとなり、前期比-78.9トン(6.4%)で3四半期ぶり低水準。
<需給バランス>
需給バランスは-77.4トン、3年1四半期ぶりの供給不足。
3日のNY金相場は+7.0ドル、0.38%の反発。FOMC直前、米10年債利回りが3%台へと再浮上した時間外には1860ドル台から1850ドル台へと軟調推移。一時1850ドル割れへ、2月15日(1845.4)以来2ヵ月半ぶり安値をつけて切り返すとNY市場では米10年債利回り低下に連れて1870ドル台後半まで反発。NY引けにかけて1870ドルを割れると引け後には1870ドル手前で小康状態に。短期下値目安1850ドル近辺まで再度下落しての反発も限定的にとどまり、目先は1860ドルを下値サポートに反発基調継続できるかどうか、という状態でFOMC待ちへ。1860ドルを維持できなければ1840ドル近辺までが短期下値目安に。想定以上のタカ派傾斜などでサプライズ的な動きとなれば1800ドルの大台近辺までが意識される可能性も。
NYプラチナは+25.8ドル、2.77の反発。前日の下ヒゲ十字線の勢いを活かし切れず、先週末から何度も上値を押さえられた940ドル前後の抵抗水準との攻防が継続。ようやくロンドン市場でこれを突破すると反発の流れが加速、NY市場では960ドル台半ばまで上昇し、節目突破に伴う短期上値目標960ドル台にしっかり到達。達成感から伸び悩むとNY午後には960ドル近辺での小幅揉み合い状態に。半月ぶりに上抜けた20日移動平均線(957.7)がサポートラインに切り替われば反発局面継続へ、いずれ1000ドルの大台回復も視野に。下方向へは930ドルのサポートを割れると900ドルの大台近辺再トライへ。
ドル円はわずかに2銭程度のドル安円高、0.02%の小反落。FOMC前に動き難い状況となり、この日の変動値幅60銭は今年の平均値幅92銭の3分の2程度ながら、1ヵ月ぶりの小動き。130円近辺での小幅保ち合い推移から、NY市場では米10年債利回り低下に連れて一時129円70銭台まで下落。ただし前日安値手前で下げ渋ると3月の製造業受注が予想を上回り、求人件数も予想以上で過去最高となったことなどもきっかけに長期金利反発とともに130円台を回復。FOMCで想定以上のタカ派傾斜なら130円90銭の節目を超えて一段高、132円を目指す流れへ。巻き戻しの流れとなって129円80銭の節目割れなら一段安へ、128円半ばまでが調整目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/3終値とチャート
2022年5月4日(水)時点の相場
国内金:8,630 円 5/2(月) ▲125(1.47%)
国内プラチナ:4,200 円 5/2(月) ▲102(2.49%)
NY金:1,870.6 ドル 5/3(火) ▲7.0(0.38%)
NYプラチナ:958.6 ドル 5/3(火) ▲25.8(2.77%)
ドル円:130.13 円 5/3(火) ▼0.02(0.02%)
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