更新日:2022年5月6日(金)
今週発表された米4月ISM非製造業景況指数の雇用指数は49.5となり、前月比-4.5の急低下で2月(48.5)に続いて今年2度めの節目50割れ。製造業の雇用指数も4月は50.9となり、節目割れこそ回避したものの前月比-5.4の急低下で昨年9月以来、7ヵ月ぶりの低水準。いずれも総合指数も減速傾向が続くなか、雇用は減速基調となっています。
4月のADP雇用者数も前月比+24.7万人にとどまり、2020年5月以降のコロナ回復フェーズ以降では最少の伸び。
そのなかでも、会社規模別の推移を見ると、中小企業の苦戦が目立つ状況となっています。
従業員50人未満の企業では、4月の雇用者数は前月比-12万人。50人以上500人未満の企業では+4.6万人、従業員数500人以上の企業では前月比+32.1万人。
従業員50人未満の企業は2月の-7.5万人に続いて今年2度めの減少。500人未満の企業も低調推移が続き、労働市場の逼迫状態が続くなかで、中小企業の人員増加は思うように進まないのが現状のようです。
今週のFOMC会見では自ら「非常に高過ぎる」と警戒感を示した「インフレリスク」を注視していることを声明文にも盛り込み、「インフレ沈静化」のために迅速に、闘う姿勢を見せたパウエルFRB議長。FRBの2大責務達成に向けて「適切な引き締めによりインフレ率が2%の目標」に戻るとともに「労働市場も引き続き堅調」を維持することを予想する、と同時達成可能との見方を示す表現も。
高インフレ対策がスタートしたばかりの段階で、既にほぼ雇用は最大化。逼迫する労働市場でさらに必要な雇用増を図る為には賃金インフレも必須の状況となり、物価インフレ目標達成に向けた障害となるとともに、雇用情勢は好調持続はおろか減速への警戒感も漂いそうな状況にも。ソフト・ランディング達成は、そう簡単ではなさそうです。
そんな不安を暗示するように、米株市場は今年最大レベルの上昇となった翌日に、それを帳消しにする急落に。
5日のNY金相場は+6.9ドル、0.37%の反発。FOMC後の急騰で1880ドル台半ばから時間外をスタート、0.75%利上げ否定の余韻から反発基調継続の様相となってアジア時間に1900ドルの大台を回復、ロンドン時間の小幅下押しを挟んでNY朝には一時1910ドル超え。しかし節目の1910ドル台で失速すると、NY市場では米10年債利回りが3年5ヵ月ぶり高水準となる3%台へと急反発、FOMC後のドル安の巻き戻しも急速に進行した流れに連れて1880ドル割れへと急反落。安値では1870ドル台前半まででいったん下げ止まり、2日連続で下値も上値も切り上げる反発への形は維持したものの、2日連続で90日移動平均線(1889.6)上抜けには失敗。上ヒゲ陰線を形成し、上値の重さも示唆。目先、1860ドルの下値サポートを割れると反発への動きも巻き戻し、1840ドル近辺までを下値目安に一段安へ。上方向へは1910ドル台の節目を突破できるようなら反発局面形成へ、1950ドル近辺が上値目標にも。
NYプラチナは-6.2ドル、0.63%安で3日ぶりの反落。時間外序盤には980ドル台半ばから990ドル台へと小幅に上昇、しかし4月20日(993.2)以来2週間ぶり高値水準で上値を押さえられる状態が続くとロンドン市場にかけては980ドル割れへと反落。NY市場では980ドル半ばまで反発後に960ドル付近の安値まで下落。NY引け後には960ドル割れを試す展開となり、20日移動平均線(959.1)との攻防にも。これを割れるようだと反発局面一服で調整局面入りへ。980ドル台突破へと切り返すことができれば反発局面継続へ、1000ドルの大台トライが短期目標にも。
ドル円は105銭のドル高円安、0.81%高で3日ぶりの反発。前日FOMC直後の急落分を取り戻し、4月28日(130.86)以来1週間ぶりの高値。東京朝には129円50銭台から128円70銭台まで下押しも、FOMC直後につけた前日安値128円60銭台手前で下げ渋って反発へ。欧州時間にかけてはドル安の巻き戻しがゆるやかに進行し、129円80銭台まで反発。NY時間には米10年債利回りの急反発も加わり、2.9%台半ばから3%超へと上昇した流れにも連れて130円台を回復、NY午後には130円50銭台まで上昇。NY終盤には米株の大幅安に連れた円高圧力で一時130円割れも、今朝の東京市場では円安基調再開となって130円台後半を試す展開に。雇用統計通過後にもこのまま130円20銭の節目超えを維持できれば高値更新トライへ、131円台後半を短期上値目標に132円トライも視野に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/5終値とチャート
6日の国内金価格は連休前から-46円、0.53%の反落でGW前の4月28日(8505)以来、1週間ぶりの安値。連休中のビッグイベントをやり過ごし、高値圏での広めの保ち合いレンジを下方縮小。目先は8500円から8630円までを主要レンジに上下両睨み。短期的な流れとしては調整局面継続中で軟調、しかし原動力としのNY金はやや膠着気味の様相となり、FOMC後に調整の動きとなったドル円は長期金利上昇とともにドル高円安基調再開の兆しで雇用統計待ちへ。多少ネガティブな結果でも短期的な押し目形成に終わってしまう可能性もあり、そこそこ好結果なら一段高へ、となりそうなドル円の影響が比較的大きくなりそうな状況のようにも。次週、保ち合い上抜けなら8700円超えへ、8700円台後半までが短期上値目標に。下抜けの場合には8400円近辺までが下値目安に。
週間では+79円、0.93%の反発。
プラチナ価格は+171円、4.07%の大幅続伸で4月21日(4400)以来、2週間ぶりの高値。上昇幅は今年の絶対値平均56円の3倍超、今年高値へと急騰局面を形成した3月7日(+237円、5.46%)以来2ヵ月ぶりで今年2番めの大幅高。NYプラチナの反発局面に息切れ感も見られ始める現状、ドル高円安の勢いがどれだけカバーできるか、という構図にも。4月高値更新へ、4500円超へと上値を伸ばすことができれば一段高の展開へ、今年高値圏4650円近辺を目指すような流れにつながる可能性も。反落なら保ち合い形成の展開にも。
週間では+273円、6.66%高で3週ぶりの反発。昨年10月以来、7ヵ月ぶりの大幅高。
※参考:金プラチナ国内価格5/6とチャート
2022年5月6日(金)時点の相場
国内金:8,584 円 5/6(金) ▼46(0.53%)
国内プラチナ:4,371 円 5/6(金) ▲171(4.07%)
NY金:1,875.7 ドル 5/5(木) ▲6.9(0.37%)
NYプラチナ:973.4 ドル 5/5(木) ▼6.2(0.63%)
ドル円:130.16 円 5/5(木) ▲1.05(0.81%)
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