更新日:2022年6月23日(木)
いろいろあった2022年上半期も残りあと1週間。
世界を席巻したコロナ危機からの回復が進行し、通常モード復帰を目指した時期に世界経済を動揺させたのは世界的、歴史的な高インフレ。さらには世界を震撼させた侵略戦争も勃発し、これに伴う資源高に食糧難などもインフレに拍車を掛け、世界各国の中央銀行によるインフレ対策としての利上げ競争もスタート。
この半年間の新興国通貨と日本円の対ドル為替レートの推移を見ると、悲喜交交の各国の諸事情が見え隠れ。
この半年で最も通貨安が進行したのはトルコ・リラ。1月3日の対ドル為替レートを100とした指数で表すと6月22日時点では132.28。5月CPIが前年比+73.5%と異次元の高インフレにも関わらず、独自のエルドアン政策による利下げ圧力は続き、ドル高リラ安も異次元レベルで進行、足下ではまたしても過去差安値更新が進行中。
これに続くのは日本円、3月以降の円安急進で指数は118.09まで上昇。ただ、4月CPIは前年比+2.1%となって13年ぶり高水準。デフレ脱却への可能性を示す状態にも。
3番めにはインド・ルピーで指数は105.14。5月CPIが前年比+7.1%まで上昇し、5月から利上げもスタート。
インドネシア・ルピアは104.23。5月CPIは+3.55%となり、据え置きが続く政策金利引き上げも今後検討か。
南アフリカ・ランドは100.26。5月CPIは前年比+6.5%と5年4ヵ月ぶり高水準。昨年11月から今年5月まで4会合連続利上げ中。
ブラジル・レアルはドル安レアル高が進行中で指数は91.43まで低下。4月CPIは前年比+12.13%の高水準。ただし2021年3月から利上げをスタートし、この6月まで11会合連続利上げで政策金利を13.25%へ。米国に1年先行して利上げフェーズに入ったことも功を奏して自国通貨安を回避した格好。
ロシア・ルーブルは71.29と大幅ルーブル高ドル安が進行。ウクライナ侵攻直後には西側諸国の金融制裁によりドル高ルーブル安が急速に進行、過去最安値を大幅更新し、3月7日には指数で191ポイント台まで急騰。しかし、その後は急速に値を戻す展開に。
ロシア中銀は政策金利を9.5%から20.0%へと緊急大幅利上げ、個人預金に対してもドル建て口座の引き出し制限、ルーブルから外貨への両替停止措置などを矢継ぎ早に実施。ロシア政府も国内輸出企業に対して一定の外貨売却(ルーブル買い)を義務付け、天然ガス輸出相手国に対しては代金のルーブル支払いを強要するなど、政府・中銀一体となっての通貨防衛策が功を奏する形となって4月末にはウクライナ進行前の水準まで逆戻り、さらに100ポイント割れへと今度はルーブル高ドル安が進行。6月10日には政策金利も進行前の水準9.50%まで引き下げて通貨危機を回避してみせた格好に。
なお、ロシア中銀総裁の評価は高く、侵攻直後には辞任を申し出ながらもこれを某大統領が引き留め、その後の「経済制裁は失敗」発言にもつながっているようです。
対ドル為替レートでは、近年のトレンドとなっていた円高・新興国通貨安が崩れ、各国の諸事情と思惑、通貨防衛策などが入り乱れ、それぞれの為替レートに反映されて方向感もそれぞれ、という展開となった半年でした。
22日のNY金相場は-0.4ドル、0.02%の小幅安で3日続落。6月15日(1819.6)以来、1週間ぶりの安値。1830ドル台から軟調推移となった時間外はロンドン序盤に1820ドル半ばまで下げて反発、NY午前には1850ドルまで30ドル弱の急騰。しかし、パウエルFRB議長の議会証言が想定以上にタカ派的ではなかったとの安心感から米株が急騰した流れを受けてNY午後には1840ドル割れ。前日からは上下の振れ幅だけ若干拡大も水準的にはほぼ変わらずの横ばい推移、十字線に近い足型で方向感喪失状態も変わらず、200日移動平均線(1843.3)と20日移動平均線(1847.4)を上ヒゲでしか超えられない状況も変わらず。局面を打開して1850ドルの節目を上抜けることができれば上値再トライ、6月高値1880ドル台までが短期上値目標に。バランスが下方向へ崩れるようだと1810ドルの下限トライへ。
NYプラチナは-12.6ドル、1.34%の反落。時間外スタート時点の940ドルラインが高値となって揉み合いながらも軟調推移。ロンドン時間に930ドル割れ、NY朝の反発局面では940ドル手前で上値を押さえられ、戻り売り局面では一時920ドル付近まで急反落。NY午後には930ドルの節目がサポートからレジスタンスに切り替わる形となって軟調推移。930ドルのサポート割れに伴い、短期下値目安900ドルの大台ライン前後を目指す流れが進行しやすい状況に。切り返して940ドルの節目超えへと反発できれば流れも反転方向へ、980ドル近辺を目標に上値トライ再開も。
ドル円は46銭のドル安円高、0.34%安で4日ぶりの反落。およそ24年ぶり高値136円70銭で上値を押さえられる状態が前日NY終盤からこの日の東京朝まで続いて反落。東京午後には136円ちょうど付近までて下げ渋り、東京市場終了とともに136円60銭台まで反発も続かず、欧州時間には米10年債利回り低下とドル安基調に連れて136円割れ、NY朝には一時135円60銭台まで下落。やや警戒感もあったパウエルFRB議長の議会証言を無事通過すると一服感からNY午後には136円30銭台へと反発。今朝の東京市場では136円割れへと軟調推移。引き続き135円50銭の節目超えに伴う短期上値目標137円台前半までの上昇余地を残しながら、失速状態が続くようなら高値保ち合い状態で月末月初の指標待ちへの移行期間入りも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/22終値とチャート
23日の国内金価格は+18円、0.21%高で4日続伸。直近7日のうち6日上昇し、合計騰落値幅+194円もその前日、14日の275円の急落幅を未だ取り戻せず。過去最高値とほぼ同水準となった6月13日(8859)以来の高値圏でダブルトップ解消トライに向けた流れが継続しながらも、未だその差を埋め切れず。きっかけとなりうるのは月末月初の重要指標でのサプライズ、週明け朝など閑散時間を狙った仕掛け的な売り買いなども。いずれ最高値更新ならその後の短期目標は9000円の大台トライ、8600円前後の重要水準を割れると8400円近辺も視野に大幅調整へ。
プラチナ価格は-44円、0.99%安で4日ぶりの反落。21日移動平均線(4444)をようやく上抜けた翌日に9日移動平均線(4423)とともに下抜け、その9日線も下抜けて失速感は倍増。このまま4400円の節目も割り込むようだと下落トレンド再加速、4300円割れを目指す流れへ。耐えて4460円超へと切り返すことができれば上値トライ再チャレンジ、4600円超えが短期上値目標にも。
※参考:金プラチナ国内価格6/23とチャート
2022年6月23日(木)時点の相場
国内金:8,778 円 6/23(木) ▲18(0.21%)
国内プラチナ:4,410 円 6/23(木) ▼44(0.99%)
NY金:1,838.4 ドル 6/22(水) ▼0.4(0.02%)
NYプラチナ:926.9 ドル 6/22(水) ▼12.6(1.34%)
ドル円:136.21 円 6/22(水) ▼0.46(0.34%)
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