更新日:2022年8月6日(土)
正真正銘のポジティブ・サプライズは久しぶり、という結果となった米7月雇用統計。
雇用は予想の倍増、失業率は3.5%へと一段と低下、賃金は高止まり、大幅利上げ観測再燃は必然、という状況にも。
雇用者数の伸びが市場予想の2倍以上となる前月比+52.8万人となり、過去2ヵ月分も上方修正されたことにより、非農業部門雇用者数の総数は7月時点で1億5253.6万人となり、過去最高となっていたコロナ直前、2020年2月の1億5250.4万人を上回って過去最大を更新。
米労働市場はコロナで失われた2000万超の雇用を2年かけて取り戻し、コロナ前の水準を100%回復。
失業率3.5%はコロナ直前の2020年2月以来、2年5ヵ月ぶり低水準。この3.5%という水準は2020年1月と2019年9月とも並び、1969年12月(3.5)以来。過去52年7ヵ月間での最低水準。
失業率はこの半世紀余りでの最低水準に到達。
この結果、失業者数は567.0万人となり、2000年12月(563.4)以来、21年7ヵ月ぶりの低水準。21世紀最少レベルまで減少。
なお、広義の失業率を示すU6失業率は6.7%で横ばい。6月時点で過去最低水準に到達した状態を維持。
現時点で可能な限り良好な数値が飛び出し、リセッション懸念も吹き飛ばすような強い雇用情勢を示した一方で、平均時給の賃金上昇率は前年比+5.22%となって市場予想の+4.9%を上回る高水準。3月の前年比+5.62%が実質のピークとなり、それ以降4ヵ月連続の低下とはなったものの、5ヵ月連続5.2%超、7ヵ月連続5%超、13ヵ月連続4%超。長期平均+2.87%を大きく上回る水準での高止まり。
インフレ緩和要因の一つとはなりえず。
結果的に9月利上げ見通しでは、つい最近まで圧倒的優勢となっていた0.5%利上げ予想は急縮小、0.75%利上げ予想が68%へと急拡大、大幅利上げ継続予想が再燃。
5日のNY金相場は-15.7ドル、0.87%の反落。1790ドルの節目超えに伴う短期上値目標1810ドル近辺到達後の一服状態から、雇用統計のサプライズを受けて急反落。それでも直近の節目1790ドルが抵抗水準からサポートに切り替わって下支え。時間外序盤の1810ドル台前半が高値となり、雇用統計への警戒感から微妙に軟調推移も1800ドルの大台を維持してNY市場へ、想定以上の好結果となった雇用統計に対しては1805ドル近辺から1780ドル近辺まで、25ドル程の急落で反応。しかしNY午後には米10年債利回り上昇とドル高の一服を受けて下げ渋ると1790ドル近辺まで戻す底堅さも。次週10日の7月CPIまでは1770ドル台から1810ドルまでを主要レンジに保合いの展開にも。下限を割れると1750ドル前後までが下値目安に、上限突破なら3月の今年高値(2078.8)から7月の今年安値(1678.4)までの38.2%戻し(1831.4)と水平状態の52週移動平均線(1831.6)辺りまでが上値目標に。
週間ベースでは+9.4ドル、0.53%高で3週続伸。3週続伸は2月以来、半年ぶり。
NYプラチナはわずかに-0.2ドル、0.02%の小反落。時間外は930ドル近辺での小幅保合いからわずかに水準を切り上げる展開となり、NY朝には一時6月21日高値(954.9)以来1ヵ月半ぶりとなる940ドル台まで上昇。しかし雇用統計後には米株とNY金の急反落に追随、920ドル割れへと20ドル超の急反落。ただしNY午後には下げ渋ってNY引け後には930ドル台を回復。結果的には6月後半以来、1ヵ月半ぶり高値圏でほぼ横ばい推移となり、上ヒゲ陰線を形成して反落への可能性も示唆。しかし実質的にはわずかに下ヒゲ長めの十字線という状態でもあり、短期上値目標930ドル近辺到達後の反落も予想される反面、一段高へと行き過ぎる展開も想定可能。流れと勢いはむしろ後者優勢のようにも。上方向には3月高値と7月安値の38.2%戻し(955.8)近辺までの行き過ぎも想定され、調整目安としては23.6%戻し(898.8)から900ドルの大台近辺も。
週間ベースでは+34.9ドル、3.92%高で3週続伸。3週続伸は5月以来、2ヵ月ぶり。
ドル円は205銭のドル高円安、1.54%の大幅反発で7月27日(136.61)以来の高値。上げ幅としては今年の絶対値平均59銭の3.4倍超、今年3番めの急騰。東京朝には133円を割れて前日安値を下回る132円50銭台まで下落も、2日前の安値は下回らずに切り返すと午後には133円40銭台まで反発。欧州時間には振れ幅を縮小して133円近辺に収束してNY朝へ、ポジティブ・サプライズと言える雇用統計の結果を受けての急騰局面では133円20銭近辺から134円50銭台まで1円30銭ほどの上昇。予想以上の好結果となった場合の雇用統計直後の急騰局面でしばしば見られる、利益確定売りで結果的に行って来い、という展開にはならず、その後もジリジリと水準を切上げるとNY午後につけた高値では135円50銭台。2円30銭も水準を切り上げた後にはさすがに調整も入って135円割れを試す場面も、NY終盤には135円近辺に収束。ドル高円安基調再燃となった流れは、次週CPIでインフレ緩和が確認されない場合にはさらに勢いを増す可能性も。とりあえず目先は134円の節目超えに伴い、136円台前半辺りまでは上値を伸ばす可能性も。
週間ベースでは+178銭、1.34%高で3週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/5終値とチャート
2022年8月6日(土)時点の相場
国内金:8,378 円 8/5(金) ▲75(0.90%)
国内プラチナ:4,293 円 8/5(金) ▲131(3.15%)
NY金:1,791.2 ドル 8/5(金) ▼15.7(0.87%)
NYプラチナ:924.7 ドル 8/5(金) ▼0.2(0.02%)
ドル円:135.01 円 8/5(金) ▲2.05(1.54%)
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