更新日:2022年8月27日(土)
米7月PCEインフレの伸び率鈍化を受けてドル売りの流れとなった後、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長講演を受けてドルは買い戻され、一段高の兆しへ。
9月FOMCでの利上げ幅については「データ次第」としたパウエル議長は、インフレ抑制に向けて「利上げを継続」し、「金利を高い水準でしばらく維持」する可能性が高いことを示唆。過去の「早過ぎる緩和転換」を否定したことから、これを既に織り込んでしまっていた米株市場は急反落。
そこまでの早期緩和を疑心暗鬼にも見ていた金市場での売りは、ややひかえめとなった様子も。
7月のPCE価格指数は前年比+6.28%となり、市場予想の+6.4%程度を下回り、40年5ヵ月ぶり高水準となった6月の+6.77%からも鈍化、4月(6.27)以来3ヵ月ぶりの低水準。
食品とエネルギーを除いたコアPCEは前年比+4.56%。市場予想の+4.7%を下回り、6月の+4.81%からも鈍化。昨年10月(4.19)以来、9ヵ月ぶりの低水準。
セクタ別では、商品価格が前年比+9.5%となり、6月の+10.4%から-0.9%の鈍化で3ヵ月ぶり低水準。サービス価格は前年比+4.6%。6月の+4.9%から-0.3%、2ヵ月ぶりの低水準。
それでも商品価格は6ヵ月連続前年比+9%超、サービス価格は9ヵ月連続4%超の高止まり。
その他、食品価格は前年比+11.8%となり、6月から+0.6で14ヵ月連続上昇。エネルギー関連商品とサービス価格は前年比+34.4%、6月の43.4%からは-9%の大幅鈍化で3ヵ月ぶり低水準。ただし5ヵ月連続+30%超、16ヵ月連続+20%超と異常な高水準が常態化。
価格変動の大きい部分をカットした算出する、ダラス連銀のトリム平均PCEは前年比+4.40%。6月の+4.35%からわずかに上昇し、20ヵ月連続の上昇で1983年4月(4.47)以来39年3ヵ月ぶりの高水準。
価格変動分布50%台の品目のみで算出する、クリーブランド連銀のメディアンPCEは前年比+5.22%。1982年11月(5.32)以来39年7ヵ月ぶり高水準となった6月から変わらず、横ばい推移。
「データ次第」のなかでも最重要指標となる7月PCEインフレは、どこを切り取っても伸び率は鈍化の兆しとなったようです。
ただし、どこを切り取っても異常な伸び率での高止まりとなっています。
26日のNY金相場は-21.6ドル、1.22%安で4日ぶりの反落。3日続伸分を帳消しにして週初8月22日(1748.4)以来の安値水準。アジア時間の1770ドルを挟んでの保ち合い推移から、ジャクソンホールへの警戒感からロンドン時間には軟調推移、1760ドルを割り込んだNY朝には米7月PCEが予想以上に鈍化したことを受けてドル安急進とともに急反発。しかし、1770ドル手前で失速するとパウエルFRB議長講演を受けて急反落、NY午後には1750ドル割れ。ただし1740ドル台半ばで下げ渋るとNY引け後には1750ドルを回復。タカ派を押し通したパウエル議長の発言も予想の範囲内となり、下方向への節目1740ドル台ではなんとか下げ渋った格好に。1770ドル台を上限に保ち合いを形成して月末月初の攻防へ、下限割れなら1730ドル前後まで下値余地を拡大、上抜けるようなら1800ドルの大台回復を目指す反発局面形成へ。
週間ベースでは-13.1ドル、0.74%の続落。
NYプラチナは-18.6ドル、2.13%の反落で7月20日(846.5)以来、5週間ぶりの安値。870ドル台半ばでの小幅保ち合い推移となったアジア時間につけた高値は876.9ドル、前日高値にわずかに届かず、微妙に4日連続上値を切り下げる形となってロンドン時間には軟調推移。保ち合い下限の860台半ばで下げ渋るとNY朝にはNY金の反発に追随する形となって870ドル台半ばまで急上昇。パウエル講演を受けての急反落にも追随すると860ドル台半ばの節目を突き抜けて850ドル付近まで下落。下方ブレイクの形となって次週、もう一段の下値トライへも、下値目安は7月安値となった逆三尊の両肩水準830ドル近辺まで。880ドルが当面の上値抵抗水準に。
週間ベースでは-32.7ドル、3.68%の続落。
ドル円は102銭のドル高円安、0.75%の反発。米10年債利回りが3.0%台前半から後半へと上昇した流れに連れ、東京朝の136円40銭台から欧州序盤にかけて137円10銭台まで上昇。137円台維持をかけた攻防状態を経て、NY朝にはPCEの結果を受けて136円40銭台まで急反落。136円台半ばで下げ渋った後はパウエル議長の講演を受けてやや乱高下の反応も、ミシガン大消費者信頼感指数の8月確報値の好結果とパウエル議長のタカ派姿勢を好感する形で堅調推移へ、NY午後には137円台を維持して徐々に下値も切り上げ、NY終盤には137円50銭台へ。日足レベルでは前日ローソク足の実体部をカバーする包み線を形成して保ち合い縮小からの上方ブレイク。次週、8月22日終値水準137円50銭台で上げ渋ることがなければ一段高の展開へ、138円台後半を目指す流れへ。月末月初の重要指標結果次第では7月高値139円30銭台を試しに行く展開にも。
週間ベースでは+63銭、0.46%の続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/26終値とチャート
2022年8月27日(土)時点の相場
国内金:8,423 円 8/26(金) ▼13(0.15%)
国内プラチナ:4,179 円 8/26(金) ▲5(0.12%)
NY金:1,749.8 ドル 8/26(金) ▼21.6(1.22%)
NYプラチナ:855.3 ドル 8/26(金) ▼18.6(2.13%)
ドル円:137.51 円 8/26(金) ▲1.02(0.75%)
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