更新日:2023年1月27日(金)
年末年始の堅調推移が続いたNY金、26日時点では6日ぶりの上昇一服。少し遡れば、10月末から11月初旬にかけて底打ち反転。インフレ鈍化の兆しと利上げフェーズの終着点見通しがある程度見えてきたことでドル高の流れが一服、そしてドル安へと反転した流れに連れて買い転換となったNY金は11月に120ドル程上昇し、12月にも60ドル超水準を切り上げて年明けには1900ドル台へと一段高。
そしてこの間、通常なら、従来どおりなら、増加に転じるはずのETF残高は横ばい推移。
2022年春以降はNY金の軟調推移とともに減少傾向が続いたETF残高は、12月初旬に903トン台で底打ち。
NY金とETF残高との連動性は高く、90日相関係数ではしばしば0.7以上の数値を示し、2022年2月にプラス転換して以降は急上昇、3月には0.8台、7月末には0.95台まで上昇。10月末まで0.8台での強めの相関状態。
これが12月後半にはマイナス圏へと急低下。NY金が急騰局面を形成中も、ETF残高の横ばい推移が続いたことで90日相関係数は1月半ばに-0.55まで低下。少なくとも2015年以降では最低水準となり、近年最大の逆相関状態。
11月のNY金の反転、急騰の背景の一つには、暗号資産交換業大手FTXトレーディングの経営破綻も影響している可能性もありそうです。これをきっかけに11月にはビットコイン相場なども急落しており、暗号資産から一定の資金が金へと流入したのではないか、との憶測もあるようです。
この影響で急騰したNY金に追随し切れなかった(しなかった?)ことでタイミングを逃してしまったETF残高は横ばい推移のまま、との推測も。
NY金が一定の調整局面を形成することで、新たなETF買いが加わることになって押し目買いからの急騰へ、そうなればNY金は2000ドルの大台トライへも、といった楽観シナリオも成り立つかもしれません。
26日のNY金相場は-12.6ドル、0.65%安となって6日ぶりの反落。時間外序盤に前日高値をわずかに上回る1949.8ドルまで上昇、短期上値目標1940ドル到達後の一段高では9ヵ月ぶり高値圏で心理的節目1950ドル目前で失速。ドル高の流れにも押され、ロンドン市場にかけて1930ドル台まで反落するとNY市場では米10-12月期GDP速報が2.9%と予想を上回る好結果。失業保険申請件数の好結果なども加わりドル一段高となり、NY午後には前日安値をわずかに下回って一時1920ドル割れ。ただし2日前の安値は下回らず、1920ドル近辺で下げ渋る形となってNY引けにかけては1930ドル台へと反発。FOMC前にようやく上昇局面一服となって1940ドル台が目先の上限に、あらためてこれを上抜けると短期的には1960ドル台、1970ドル手前までが上値目標。1920ドルが下値サポートとならなければ1900ドルの大台ラインが当面のサポート、割れるようだと1880ドル近辺までの一段安も。
NYプラチナは-23.1ドル、2.21%の続落で12月28日(1020.2)以来、1ヵ月ぶりの安値。時間外序盤の1050.4ドルが高値となり、前日からの軟調局面が継続。ロンドン序盤に1040ドルの下値サポート割れ、いったんは下げ渋るもNY市場でのGDP上ブレなどを受けてのドル高金安、株安局面では一段安、NY午後につけた安値は1021.3ドル。1040ドルのサポート割れに伴う短期下値目安1020ドル近辺到達後、NY引け後には1020ドル台半ばへと小幅に自律反発。一定の達成感と売り過熱感上昇から目先は下げ渋る展開も予想されるものの、NY金が調整継続となってこれに追随するようだと1000ドルの大台割れを試しに行く可能性も。
ドル円は65銭のドル高円安、0.5%高で3日ぶりの反発となって130円台を回復。東京市場では129円台前半での上下動、129円ラインで下げ渋った後は欧州時間にかけて129円台後半へ。NY市場では米GDP速報の上ブレと失業保険申請件数の改善を受けてリセッション懸念緩和とともに早期利上げ打ち止め観測後退につながり、ドル高の流れが強まって130円60銭台まで上昇。NY市場終盤にかけては130円台維持も、今朝の東京市場では130円割れ。この日も右肩下がりの20日移動平均線(130.45)に上値を押さえられて130円台での上値の重さを露呈、下落トレンドからの脱出をかけた攻防に20日線が立ちはだかる格好に。目先、130円台半ばから131円までが強めの抵抗帯と化し、これを突破できれば下落トレンド脱却へ、133円台辺りまでが短期上値目標に。上値を押さえられ続けて129円台半ばの下値サポートを維持できなくなれば一段安へ、今年安値更新となる126円台辺りまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/26終値とチャート
27日の国内金価格は-30円、0.34%の続落。最高値(8860)付近でのピークアウトで中長期トリプルトップ形成への可能性を残しての調整局面に。12月安値(8348)から1月高値(8857)の23.6%戻し(8737)、上昇軌道の9日移動平均線(8743)など、8740円近辺が目先のサポート候補となり、浅めの調整を終えて最高値更新へと切り返す展開となれば8900円の大台を目指す流れにも。
週間ベースでは+91円、1.04%高で5週続伸。5週続伸は昨年3月以来、10ヵ月ぶり。
プラチナ価格は-70円、1.5%の続落で今年安値を更新、12月23日(4552)以来1ヵ月ぶりの安値。下げ幅こそ前日よりも小さいものの、反落後の勢いが増す形となって4630円台の節目を割り込んでの一段安。12月安値4550円台辺りまでが短期下値目安となり、この近辺でしっかり下げ止まれば短期的には二番底をつける形で反発へ、という楽観シナリオも想定は可能。金との価格差は4195円となり、9月14日(4216)以来4ヵ月半ぶりの水準へと拡大。
週間ベースでは-26円、0.56%安となって3週続落。3週続落は8月以来、5ヵ月ぶり。
※参考:金プラチナ国内価格1/27とチャート
2023年1月27日(金)時点の相場
国内金:8,807 円 1/27(金) ▼30(0.34%)
国内プラチナ:4,612 円 1/27(金) ▼70(1.50%)
NY金:1,930.0 ドル 1/26(木) ▼12.6(0.65%)
NYプラチナ:1,023.0 ドル 1/26(木) ▼23.1(2.21%)
ドル円:130.23 円 1/26(木) ▲0.65(0.50%)
Copyright(C) Let's GOLD