更新日:2023年5月10日(水)
週明けに発表された4月のNY連銀消費者調査での1年インフレ期待は4.45%。3月の4.75%からは低下したものの、2月の4.23%は下回らず。急低下してきたNY連銀インフレ期待は2月以降、下げ渋る状態に。
NY連銀の消費者調査と米労働省の消費者物価指数(CPI)はいずれも第2週に前月分が、ほぼ同時期に発表され、今月は2日ほどNY連銀インフレ期待が先行。いずれにしても前月のCPI結果、特にコアCPIの結果を見て次月のNY連銀インフレ期待の調査結果に反映されるような格好に。
また、2週間程度先行して発表されるミシガン大の1年インフレ期待も同様に前月分のコアCPI結果に大きく影響を受けるような推移となっているように見えます。
歴史的高インフレが加速していた2021年末、コアCPIが11月の前年比+4.93%から12月には+5.45%へと一段と上昇(発表時期は1月半ば)した状況を見て、さすがにもうピークか、との思惑からNY連銀のインフレ期待は12月の5.99%から1月(発表時期は2月半ば)には5.79%へと若干の鈍化を予想。しかし、2022年1月のコアCPIが6.02%へと一段と上昇したのを見て2月のNY連銀インフレ期待は6.00%へと再上昇。2月のコアCPIが6.41%へと一段高となったのを見て3月NY連銀インフレ期待も6.58%へと一段高。
こうしてコアCPIとインフレ期待(※ミシガン大の1年インフレ期待も若干低めながら同様の上下動)は同じような推移でピーク水準に到達。
そして、ピークアウトとともにインフレ鈍化予想に逸るインフレ期待に対し、コアCPIは2022年9月に+6.63%へとピーク水準を再更新。これを見て慌てたNY連銀インフレ期待は2022年9月の5.44%から10月には5.94%へと再上昇。しかしコアCPIが10月に+6.28%へと鈍化したことを受けてNY連銀インフレ期待は11月に安心して5.23%へと再び低下基調へ。この流れが続いて2022年末にはコアCPIが6%割れへ、2023年1月には+5.58%までの低下をいいことにNY連銀インフレ期待は2023年2月に4.23%へ、1年ヵ月ぶり低水準へと急低下。
しかし、2023年2月にはコアCPIが5.38%と小幅低下にとどまり、下げ渋り傾向も警戒されたことから少し行き過ぎたNY連銀インフレ期待は3月に4.75%へと反発。直近3月のコアCPIは5.59%へと小幅反発で下げ渋り。警戒感を残しながらもNY連銀インフレ期待は4月に4.45%へと小幅低下。ただし少し低めで同じような推移を続けてきたミシガン大1年インフレ期待は3月の3.6%から4月には4.6%へと急反発。
年初から5.5%台で下げ渋る状態が続くコアCPIを見て、安易な低下予想が難しくなってきた状況でNY連銀とミシガン大のインフレ予想も混沌状態に。
5月以降にインフレ鈍化予想再開か、混沌状態継続か、4月のコアCPIの結果がその鍵を握ることに。
9日のNY金は+9.7ドル、0.48%の続伸。アジア時間の2020ドル台半ばが安値となって小幅に上昇。ロンドン序盤に2030ドル台を回復するとNY午後には2040ドルトライ、高値では2040ドル台半ばまで上昇。4日の今年最高値(2085.4)から5日安値(2007.0)までの急落値幅の半値戻し(2046.2)をほぼ達成した状態でCPI待ちへ。インフレ鈍化が意識されて早期利下げ観測再燃となれば61.8%戻し(2055.5)から2060ドルの節目との攻防へ、これを突破すると最高値近辺、2080ドル近辺までが短期上値目標に。逆にインフレ高止まりが意識されて利下げ先送り感が強まるようだと23.6%戻し(2025.5)から2020ドルの節目との攻防へ、これを下抜けるようだと2000ドルの大台前後までを目安に一段安の展開にも。
NYプラチナは+28.3ドル、2.6%高で3日続伸。4月21日(1138.7)以来、半月ぶりの高値。1080ドル台での小康状態となった時間外から、NY朝には株高の流れに追随するように上値トライ再開、NY午後には都合良く金の上昇局面追随へと乗り換える形となって1100ドル超え。高値では1110ドル台半ばまで上昇し、NY引け後も1110ドル台を維持。1080ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標1100ドルの大台回復再トライに成功し、さらに一段高。4月高値(1148.9)から5月安値(1042.7)の61.8%戻し(1108.3)を達成して一服状態も、CPI後に金の上値トライに追随する展開となれば4月高値圏トライの可能性も。逆の展開となれば38.2%戻し(1083.3)、20日移動平均線(1083.4)などがサポート候補に。
ドル円は11銭のドル高円安、0.08%の小幅高で3日続伸。5月2日(136.58)以来、1週間ぶりの高値。東京朝には135円近辺から135円30銭台まで上昇も行って来い、午後には135円割れも134円70銭台では下げ渋り。NY市場ではほぼ135円台維持も上値も135円30銭台までと限定的、CPI待ちとなってNY午後には135円20銭近辺での小康状態に。ゆるやかに上昇する20日移動平均線(134.57)にサポートされて反発局面をギリギリ維持するような状態に。インフレ高止まりが確認されると200日移動平均線(137.03)方向へと反発局面継続へ、インフレ鈍化が意識されて20日線を割れると反発局面崩れへ、134円20銭の節目も割れるようだと調整局面入り、132円割れを目安に下値模索の展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/9終値とチャート
10日の国内金価格は+71円、0.74%高で5日続伸。5営業日連続、今年16回めの過去最高値更新。5日続伸は4月以来、1ヵ月ぶりで今年4回め。4月高値(9495)から4月末安値(9341)の161.8%戻し(9590)到達後の一段高となり、200%戻し(9649)も達成。イベント通過後のさらなる行き過ぎも想定され、9700円の大台から261.8%戻し(9744)近辺も。調整目安としては4月末安値(9341)から5月高値の23.6%戻し(9599)、38.2%戻し(9550)など。
プラチナ価格は+146円、2.89%の大幅続伸で今年高値を更新、2014年7月31日(5218)以来、8年9ヵ月ぶりの高値水準。上げ幅としては今年の絶対値平均50円の2.92倍、年初の1月5日(+196円、4.14%)以来4ヵ月ぶりで今年2番めの急騰。5060円の節目上抜けに伴う短期上値目標5120円近辺を突き抜けての一段高も過熱感はなく、ボラティリティが高まる状況でのイベント通過でさらなる行き過ぎトライとなれば、2014年高値(5246)、さらには4月高値(5175)から5月安値(4980)の161.8%戻し(5296)近辺が意識される可能性も。下値サポート候補としては3月末安値(4407)から5月高値の23.6%戻し(5011)近辺。
※参考:金プラチナ国内価格5/10とチャート
2023年5月10日(水)時点の相場
国内金:9,679 円 5/10(水) ▲71(0.74%)
国内プラチナ:5,197 円 5/10(水) ▲146(2.89%)
NY金:2,042.9 ドル 5/9(火) ▲9.7(0.48%)
NYプラチナ:1,116.0 ドル 5/9(火) ▲28.3(2.60%)
ドル円:135.23 円 5/9(火) ▲0.11(0.08%)
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