更新日:2023年6月14日(水)
米5月CPIではインフレ鈍化継続が確認された一方で依然として高水準、FRBの目標水準との乖離も意識され、6月FOMCでの据え置きの織り込み進行とともに7月以降の追加利上げ観測がより強まる状況にも。
米労働省発表の5月CPIは前年比+4.05%。市場予想の+4.1%をわずかに下回り、11ヵ月連続の低下となって2021年3月(2.62)以来、2年2ヵ月ぶりの低水準。
食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+5.33%。市場予想の+5.2%を若干上回るも、2ヵ月連続の低下で2021年11月(4.93)以来、1年半ぶりの低水準。
総合指数としては、賃金上昇率(5月:前年比+4.30%)を2年2ヵ月ぶりに下回る水準。
なお、エネルギー価格が前年比-11.7%となってCPIの鈍化を牽引。3ヵ月連続の前年割れ、2020年6月(-12.6)以来ほぼ3年ぶり、コロナ後最低水準。
食品価格も2022年秋の前年比+11%台でピークアウト後は低下基調が続き、5月は+6.7%。9ヵ月連続の低下で1年5ヵ月ぶりの低水準。
年初まで高止まり状態となっていたサービス価格は今年2月の前年比+7.3%でピークアウト、その後3ヵ月連続の低下で5月は+6.6%。9ヵ月ぶり低水準も依然高水準、低下ペースもまだ限定的。
クリーブランド連銀発表のメディアンCPIは前年比+6.74%。過去最高となった2月(7.20)から3ヵ月続落で9ヵ月ぶり低水準。
16%トリム平均CPIは前年比+5.54%。8ヵ月連続の低下で1年4ヵ月ぶりの低水準。
アトランタ連銀発表のスティッキーCPIは前年比+6.15%。3ヵ月続落で9ヵ月ぶりの低水準。
いずれも鈍化傾向が着実に進行し始めた状況ながら、2019年以前の水準からは依然、大幅上方乖離。
13日のNY金は-11.1ドル、0.56%安で3日続落。6月7日(1958.4)以来、1週間ぶりの安値。時間外には1970ドルから1980ドルまで反発し、1970ドル台半ばまで戻してNY市場朝、米5月CPIが概ね市場予想どおりで鈍化傾向となったことを受けて乱高下の反応。1960ドル割れから1980ドル台半ばの高値までのレンジで上下動となった後、1970ドル半ばに戻してからは米10年債利回り上昇に呼応する格好となって軟調推移、NY午後には再度1960ドル割れへ。5月30日(1949.6)以来、2週間ぶり安値となる1950ドル台前半まで下げての反発では1960ドルに届かず。ほぼ水平状態の90日移動平均線(1952.1)にもサポートされ、1950ドル台から1980ドルまでの保ち合いレンジ下限では踏みとどまった格好。FOMCでの6月据え置きが確実視されるなか、7月利上げとその先の見通し、パウエルFRB議長会見などでタカ派的な印象が強まれば下押し圧力に。保ち合い下放れとなれば1900ドルの大台ライン付近までが短期下値目安に。もし、上方ブレイクへと切り返すようなことがあれば上値トライ再開へも。
NYプラチナは-12.4ドル、1.35%安で5日続落。3月29日(977.4)以来2ヵ月半ぶり安値圏での一段安。5日続落は1月以来、5ヵ月ぶりで今年2度め。アジア時間には990ドル台後半から1000ドルの大台回復へと小幅反発、しかし大台維持をかけた攻防状態が続くとロンドン序盤に失速。990ドル付近まで下げるとNY市場では990ドル台での揉み合いを挟んでNY金の下落基調に追随、NY引け後には一時980ドル割れ。3ヵ月ぶりに200日移動平均線(989.9)も下抜け。1000ドルの節目割れに伴う短期下値目安970ドル付近まで、若干の下げ余地を残す状態。
ドル円は63銭のドル高円安、0.45%高で3日続伸。5月29日(140.44)以来、2週間ぶりの高値。139円台半ばでの小康状態から、NY市場での米5月CPI結果を受けて乱高下、のちドル高円安方向へ。インフレ鈍化が意識されての売り局面では139円ちょうど近辺が安値となって下げ渋り。しかしサービス価格の下げ渋りなどもあり、7月以降の追加利上げ観測が強まる状況にも連れるように米10年債利回りが3ヵ月ぶり高水準となる3.8%台へと上昇。これに追随する展開となってNY午後には140円トライへ、NY終盤には140円30銭台まで上昇。140円20銭の保ち合い上限をわずかながらも上抜ける形となり、FOMCでハト派色が強まるようなことがなければドル高円安方向への流れがもう一段強まる可能性。10月高値から1月安値の61.8%戻し(142.49)近辺までが当面の上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/13終値とチャート
14日の国内金価格は-38円、0.4%の反落で6月8日(9575)以来、1週間ぶりの安値。9日移動平均線(9609)上抜けに失敗して上値を切り下げ、21日移動平均線(9600)を下抜け。9日線が21日線をわずかに上回っての推移が続き、高値保ち合い崩れ目前で耐える状況を象徴する格好にも。耐え切れず9570円割れへ、保ち合い崩れとなれば大きく水準を切り下げる展開へ。4月末安値(9341)から5月高値の76.4%戻し(9421)、2月安値(8605)から5月高値の23.6%戻し(9426)など、9420円近辺までが下値目安に。9620円超へと切り返すことができれば最高値再更新トライへと向かう可能性も残る状況。
プラチナ価格は-49円、1.01%安で5日続落。4月13日(4,699)以来、2ヵ月ぶりの安値。下げ止まりの可能性を示したのは一時的に過ぎず、通過点となって4850円の節目割れ。2月の今年安値(4289)から5月の今年高値(5197)の38.2%戻し(4850)も割り込んでの一段安となり、これに伴う短期下値目安は半値戻し(4743)近辺まで。
※参考:金プラチナ国内価格6/14とチャート
2023年6月14日(水)時点の相場
国内金:9,576 円 6/14(水) ▼38(0.40%)
国内プラチナ:4,804 円 6/14(水) ▼49(1.01%)
NY金:1,958.6 ドル 6/13(火) ▼11.1(0.56%)
NYプラチナ:981.9 ドル 6/13(火) ▼13.4(1.35%)
ドル円:140.23 円 6/13(火) ▲0.63(0.45%)
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