更新日:2023年6月22日(木)
米5月雇用統計では平均時給の賃金上昇率が前年比+4.30%、1年9ヵ月ぶり低水準となった3月(4.30)と並ぶ低水準となり、賃金鈍化が意識されました。3ヵ月平均では前年比+4.32%となり、12ヵ月連続の低下で1年9ヵ月ぶりの低水準。さらなる低下余地は残しながらもトレンド的には鈍化傾向が鮮明に。
しかし、アトランタ連銀発表の賃金上昇トラッカー(個人時給の中央値・前年比3ヵ月平均)では下げ渋り状態が続きます。
5月は前年比+6.0%となり、4月の+6.1%からは小幅低下で1年1ヵ月ぶりの低水準。ただしピークとなった昨年6-8月の+6.7%からは低下も、12月以降4月までは3月の6.4%を除いて6.1%で横ばい推移。
長期平均+3.72%を大きく上回り、5月時点の乖離幅は+2.28%。雇用統計・平均時給の上昇率長期平均は+2.99%、長期平均との乖離幅は+1.31%。
また、賃上げ率が+0.5%から-0.5%の範囲内にとどまる、ゼロ賃金の割合は5月に10.3%となり、4月の10.5%を下回って3ヵ月連続の低下で2001年4月(10.3)以来、22年1ヵ月ぶりの低水準。
なお、過去最低は2000年11月と1999年3月の10.2%で、今回5月は過去3番めの低水準。
高インフレ下においても賃金上昇の恩恵に預かれない人の割合は史上最低レベルまで低下し、90%近くの人が少なくとも前年比+0.5%超の賃上げを実感している状況となっています。
FOMCメンバーの大半が複数回の追加利上げを支持する根拠の一つとなっているものと思われます。
21日のNY金は-2.8ドル、0.14%の小幅続落で5月26日(1944.3)以来、4週ぶりの安値。アジア時間には1950ドルにワンタッチ、これが高値となって軟調推移、ロンドン市場にかけては1940ドル台で下げ渋る展開もNY市場ではパウエルFRB議長の議会証言原稿が伝わり、追加利上げと引き締め長期化への警戒感から米10年債利回り急上昇にも連れて急落。安値では一時1930ドル割れ、しかし質疑では利上げペース減速が意識されて巻き戻し、3月17日(1922.3)以来3ヵ月ぶり安値をつけて切り返すとNY午後には1940ドル台半ばへと反発。1950ドル台の節目割れに伴う短期下値目安1920ドル近辺にはあと少しのところまで下げて長めの下ヒゲを残したことで、下値再トライへの警戒感はやや後退。地合い回復に向けては90日移動平均線(1956.5)回復がポイントに。
NYプラチナは-19.0ドル、1.96%の大幅安で3日続落。3月8日(940.6)以来、3ヵ月半ぶりの安値。前日までの軟調な流れは変わらず、時間外序盤の960ドル台半ばからジリジリと水準を切り下げる展開となり、ロンドン市場では前日安値を下回って950ドル台、NY午後には950ドル割れへ。980ドルの節目割れに伴う短期下値目安960ドル程度への再トライでそのまま一段安となってしまった格好に。さらなる行き過ぎ警戒水準としては2月の今年安値(903.9)付近までが意識される可能性も、反発に向けては200日移動平均線(993.4)回復が重要ポイントに。
ドル円は44銭のドル高円安、0.31%の反発。東京朝の141円30銭近辺が安値となって押し目買いの様相に。午後には141円台後半、東京市場終了時には142円回復トライ、欧州時間には142円10銭台まで上昇。141円70銭近辺まで下げたNY朝にはパウエルFRB議長の議会証言に向けて反発、原稿が伝えられるとタカ派姿勢を好感する形で前日高値を上回り、142円30銭台まで上昇。昨年11月11日(142.48)以来、7ヵ月半ぶり高値更新後の議会証言では「緩やかなペース」での利上げが意識されて失速、NY午後には142円割れへ。1回の追加利上げは織り込みながらもFOMCの年内2回の追加利上げには疑心暗鬼の状態も継続し、高値圏を維持しながらも伸び悩みの状態に。目先、141円台後半を主要レンジに保ち合い形成の様相となり、142円台へと抜け出せば143円付近までの一段高も、141円台前半へと向かえば20日移動平均線(140.20)近辺までが調整目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/21終値とチャート
22日の国内金価格は+8円、0.08%の小幅高で3日ぶりの反発。前日の急落から、さらなる一段安は回避も自律反発も限定的に。9日移動平均線(9642)との揉み合い状態となり、6月安値(9568)から高値(9762)の61.8%戻し(9642)近辺は居心地の良い水準にも。足下の急騰・急反落でそれ以前の保ち合いレンジ内に回帰した形にもなり、月末に向けてはいったん保ち合い再開となる可能性も。
プラチナ価格は-56円、1.18%安で3日続落。4月12日(4630)以来、2ヵ月半ぶりの安値。今年安値(4289)から高値(5197)の半値戻し(4743)、90日移動平均線(4747)を突き抜け、4790円の節目割れに伴う短期下値目安4740円近辺では下げ止まらず、5月以降の下降チャネルの下限ラインも突き抜ける形となっての一段安。NYプラチナの下値目標到達後の一段安に連れる形となってのオーバーランも、200日移動平均線(4687)でサポートされない場合には61.8%戻し(4636)が警戒水準にも。
※参考:金プラチナ国内価格6/22とチャート
2023年6月22日(木)時点の相場
国内金:9,640 円 6/22(木) ▲8(0.08%)
国内プラチナ:4,690 円 6/22(木) ▼56(1.18%)
NY金:1,944.9 ドル 6/21(水) ▼2.8(0.14%)
NYプラチナ:949.0 ドル 6/21(水) ▼19.0(1.96%)
ドル円:141.88 円 6/21(水) ▲0.44(0.31%)
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