更新日:2023年7月7日(金)
6月のADP雇用者数が市場予想の倍以上となる大幅上ブレ、5月からもほぼ倍増という結果となり、米長期金利急上昇とドル高、NY金は軟調推移の展開に。なお、ドル円に限れば米指標発表以前に調整局面入りの様相となっていたこともあって指標発表後の急反発にとどまり、日足レベルでは反落。
なお、ADP雇用は3ヵ月連続で市場予想を大幅に上回るポジティブ・サプライズ。雇用統計では過去1年にわたり市場予想を上回る好結果。今回も多少の上ブレは差し引いて見ることにもなりそうです。
また、6月のISM非製造業景況指数も51.2程度の予想に対して53.9と上ブレ、5ヵ月ぶり低水準となった5月の50.3からも急上昇。雇用指数も5月の節目割れ、49.2から6月は53.1へと急上昇。
予想以上に強い指標結果が続き、ダラス連銀ローガン総裁の「さらなる利上げが必要」発言などもあり、7月利上げは確実視される状況となり、年内さらにもう1回の利上げも徐々に織り込みが進行する状況にも。
雇用統計の結果を確認し、その流れが加速する可能性もありそうです。
なお、5月の求人件数は982.4万件。市場予想をわずかに下回り、4月の1032.0万件からも減少し、2ヵ月ぶりの低水準。2021年5月以降の2年1ヵ月では2番めの低水準。6ヵ月移動平均では1027.7万件となり、5ヵ月連続減で1年9ヵ月ぶり低水準。トレンド的にはピークアウト後の減少基調が着実に進行中。
5月の失業者数が609.7万人となり、1年3ヵ月ぶり高水準となっていたこともあり、5月の求人倍率(失業者一人あたりの求人数)は1.611件。
4月の1.824件からは大幅減となり、1年7ヵ月ぶりの低水準。
求人倍率も依然として歴史的高水準にはあるものの、着実に低下傾向が進行中。
6日のNY金は-11.7ドル、0.61%の続落で3月14日(1910.9)以来、3ヵ月半ぶりの安値。1920ドル台半ばでの保ち合いからロンドン市場でのドル安局面に連れて1930ドル台半ばまで上昇、しかしNY朝には6月ADP雇用者数が大幅に上振れるポジティブ・サプライズ。梯子を外される格好となっての急反落では1910ドル割れ、その後もISM非製造業景況指数の好結果などもあり自律反発も限定的に、ただ下値も堅くNY午後には1910ドル台半ばを回復。保ち合い上限の1930ドル台半ばからの急落で1910ドル台の下限割れを試しながらも、なんとか耐えた格好。雇用統計後に耐え切れなくなれば1900ドルの大台割れを試す展開にも。2月末安値(1810.8)から5月高値(2085.4)の61.8%戻し(1915.7)を完全に下回れば、76.4%戻し(1875.6)から1880ドル近辺までが短期下値目安。
NYプラチナは-15.3ドル、1.65%安で4日ぶりの反落。6月29日(906.8)以来、1週間ぶりの安値。920ドル台での小幅保ち合いとなった時間外を経てロンドン・NY朝にかけての小幅上昇では930ドル超えでしっかり上値を押さえられる格好となって戻り売り。NY金の急落局面に追随すると一時わずかながらも900ドルの大台割れ。保ち合い上限930ドルと下限900ドルの堅さを確認すると、NY午後には910ドル付近で落ち着く状態に。週末のイベント通過で下限割れなら880ドル程度までの一段安も、上限超えなら4月高値(1148.9)と6月安値(894.2)の23.6%戻し(954.3)近辺までが上値目標に。
ドル円は61銭のドル安円高、0.42%の反落。6月26日(143.52)以来、10日ぶりの安値となり、週末の重要イベント前に団子天井となった高値保ち合いを下放れ。東京市場朝から日経平均の下落に追随する格好となり、144円台半ばから軟調推移。144円30銭の節目を割れると一段安となって午後には144円割れ、東京市場終了時には143円70銭台、欧州序盤には50銭台まで下落。しかし米10年債利回りの上昇にも連れて下げ渋るとNY朝には米6月ADP雇用の大幅上振れを受けて急騰。ISM非製造業景況指数の好結果などもあり、米10年債利回りが4ヵ月ぶり高水準となる4%台へと急騰した流れにも連れ、144円60銭台まで上昇。しかしこれを維持できず失速するとNY午後には再び144円30銭割れ、これが抵抗線に切り替わる格好にもなり、NY終盤には144円近辺へ。雇用統計での多少の上ブレ程度では上値の重さは変わらず、短期的には143円前後までの調整進行も。賃金高止まりを含む想定以上のサプライズなら下げ渋り、144円70銭超へと切り返すような展開となった場合には上値トライ再開、146円台を目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/6終値とチャート
7日の国内金価格は-60円、0.62%の続落で6月23日(9631)以来、2週間ぶりの安値。雇用統計前にドル円が調整局面入りの兆しとなり、雇用指標上ブレによる巻き戻しも限定的となる一方でNY金には下押し圧力。結果、国内金は急落となって9日移動平均線(9706)、21日移動平均線(9669)などをまとめて下抜け、9670円の節目もしっかり割り込んで調整局面入り。雇用統計が多少上下に振れた程度では流れは変わらない可能性も、9580円程度から6月安値(9568)、9570円近辺までを短期下値目安に軟調推移へ。
なお、NY金との30日相関係数は過去最低を更新する逆相関状態。ドル円との30日相関係数は0.73台と連動状態。
週間ベースでは-46円、0.47%の反落。
プラチナ価格は-97円、2.1%安の大幅続落で3月30日(4444)以来、3ヵ月ぶりの安値。当面の底打ちをかけた反発局面は勢いに乏しく、結果的に右肩下がりの9日移動平均線(9595)はレジスタンス・ラインのまま。一段安となって4550円の節目割れ、下値トライ再開時の下値目安、2月の今年安値(4289)から5月の今年高値(5197)までの76.4%戻し(4503)近辺にも急接近。金価格の一段安に連れ安となってオーバーランの場合には4400円台半ば辺りまでが下値警戒水準にも。
週間ベースでは-48円、1.05%安で4週続落。4週続落は2月以来、5ヵ月ぶりで今年2度め。
※参考:金プラチナ国内価格7/7とチャート
2023年7月7日(金)時点の相場
国内金:9,655 円 7/7(金) ▼60(0.62%)
国内プラチナ:4,512 円 7/7(金) ▼97(2.10%)
NY金:1,915.4 ドル 7/6(木) ▼11.7(0.61%)
NYプラチナ:909.7 ドル 7/6(木) ▼15.3(1.65%)
ドル円:144.06 円 7/6(木) ▼0.61(0.42%)
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