更新日:2023年8月8日(火)
7月雇用統計では平均時給の上昇率が予想を上回り、前年比+4.4%近辺で高止まり。インフレ鈍化をさらに促進するような状況とはなっていない反面、6月PCEの前年比+3%、コアPCEの+4.1%、6月CPIの前年比+3%を賃金上昇率が上回り、消費センチメントを押し上げる状況となってきました。6月時点で+4.8%まで低下してきたコアCPIが賃金上昇率を下回ることになれば、さらに消費を下支えすることにもなりそうです。
ただし、賃金上昇率が下げ余地を残す状況で消費需要が強まり過ぎると、インフレ鈍化の足枷にも。
アトランタ連銀発表の賃金上昇トラッカー(個人時給の中央値前年比の3ヵ月平均)は6月時点で前年比+5.6%となり、既に6月コアCPIもこれを下回る水準。
また、転職者の賃金上昇率(中央値)は6月時点で前年比+6.1%となって1年4ヵ月ぶりの低水準。非転職者は+5.4%となり、半年ぶり低水準。転職者と非転職者との賃金格差は0.7%まで縮小し、2年ぶりの低水準。賃金格差の過去平均0.64%に急接近、収縮を繰り返してきた過去の推移を見れば、賃金格差はもはや平年並みと言えそうです。
離職率が6月には2.4%となり、2年4ヵ月ぶり低水準となった4月と並び、自発的離職が減少すると同時に賃金格差も縮小。
なお、離職率の過去平均は2.0%、ただし2015年以降では2.3%となり、離職率も近年の平年並みに。
残るは消費者物価などのインフレ率と賃金上昇率が、歩調を合わせて平年並みへと低下していくことが必要です。
NY連銀のウィリアムズ総裁の「インフレが減速すれば来年には利下げが正当化される可能性がある」との発言も、正当化されそうな状況になりつつあります。
7日のNY金は-6.1ドル、0.31%の反落。週明け時間外スタート直後の1980ドル台前半がこの日の高値となり、アジア時間の1970ドル台後半からロンドン市場で1970ドル近辺へ。米10年債利回り上昇とドル高の流れに押されて軟調推移。NY朝には一時1970ドル台半ばへと反発もその後は1970ドル割れ、NY引けにかけてはなんとか1970ドル台に戻した格好。9日移動平均線(1977.1)超えでは上値が重く、1980ドル近辺が目先の抵抗水準となり、1960ドル台までの小幅レンジで保ち合い状態に。1980ドルをしっかり上抜けることができれば大台回復トライへ、7月高値圏2010ドル付近までが短期上値目標に。サポートを維持できなくなれば7月末安値圏1940ドル近辺までが短期下値目安に。
NYプラチナは-1.6ドル、0.17%の小反落。アジア時間序盤に920ドル台後半から930ドル台へと小幅に水準を切り上げての推移も、930ドル台前半で上値を押さえられる状態が続くと徐々に軟調推移。ロンドン市場で930ドルを割れると920ドル近辺へと急落、安値では一時910ドル台半ばまで下落して切り返し、NY市場では920ドル台後半へと反発もNY引け後には920ドル付近へと軟調推移。右肩下がりの9日移動平均線(940.8)にも届かず、反発方向への勢いは限定的となり、目先は920ドルの節目を維持できるかどうか。これを維持できないようだと下値トライ再開へ、7月安値圏900ドルの大台付近までが短期下値目安に。
ドル円は71銭のドル高円安、0.5%高で3日ぶりの反発。東京朝には141円台後半での乱高下状態を経て、徐々に堅調推移。午後には142円20銭台、東京市場終了後には30銭台、欧州時間には40銭台まで上昇。NY朝には4.1%台まで上昇していた米10年債利回りが4.1%割れへと急低下した流れにも連れて141円80銭近辺まで下押しも、米10年債利回りの下げ止まりにも合わせてNY午後にかけて反発すると142円50銭台まで一段高。142円台半ばをキープした今朝の東京市場では143円台へと一段高。9日移動平均線(141.85)にサポートされて先週末の下げを取り戻す形となり、141円70銭から144円40銭までが目先の主要レンジに。7月CPI待ちながら、上限突破となれば144円台前半を目標に一段高の展開にも、下限割れなら140円台半ばを目安に一段安の展開へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/7終値とチャート
8日の国内金価格は+27円、0.28%高となって5日ぶりの反発。7月後半の小幅保ち合い水準とも重なる、7月安値(9499)から8月高値(9831)の38.2%戻し(9704)近辺でいったん下げ渋る形となって9日移動平均線(9718)まで反発。9日線を超えると7月高値圏9760円前後までが目先の抵抗水準候補、下方向へは9690円の節目を割れると下げ幅拡大への警戒感も、90日移動平均線(9569)から76.4%戻し(9577)近辺までが下値目安に。
プラチナ価格は-11円、0.24%の反落。比較的重要な節目割れを回避しての反発も限定的となり、上値の重さを露呈。4550円の節目を割れると一段安の展開にも、4500円を割れて4450円程度までが短期下値目安に。地合い回復に向けては急降下する9日移動平均線(4606)上抜けは必須。水平状態の21日移動平均線(4632)回復が待たれる状況に。
※参考:金プラチナ国内価格8/8とチャート
2023年8月8日(火)時点の相場
国内金:9,718 円 8/8(火) ▲27(0.28%)
国内プラチナ:4,560 円 8/8(火) ▼11(0.24%)
NY金:1,970.0 ドル 8/7(月) ▼6.1(0.31%)
NYプラチナ:926.9 ドル 8/7(月) ▼1.6(0.17%)
ドル円:142.48 円 8/7(月) ▲0.71(0.50%)
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