ウクライナ情勢懸念を背景に為替主導で進むリスク回避
更新日:2014年03月03日(月)
主要通貨の力関係は、米国の緩和縮小ペースの減速懸念が残る状態が続き、ドル高円安へとは傾斜し難い状況が継続。ユーロの緩和期待の高まりに対して、先週末の2月消費者物価指数の上昇により今週のECB理事会では緩和見送りの可能性が高まったことで、ユーロ高円安方向の圧力が高まる可能性もあったものの、ウクライナ情勢の悪化懸念がこれを吹き飛ばしてしまった様子です。
ロシアによるウクライナへの軍事介入を受けて欧米の反発姿勢が強まり、オバマ大統領はプーチン大統領との電話会談でこれを非難し、6月にロシアのソチで開催予定のG8サミットへの出席を中止する方針も示したようです。しかし、元々ロシア系住民が多数を占めるクリミア自治共和国がソ連時代にロシアからウクライナに編入された複雑な歴史と、最近のオバマ大統領の求心力の低迷ぶりからすると、米国単独での圧力では事態の改善は見込めそうにもありません。
そのクリミアでは、ウクライナ暫定政権が1日に任命したばかりの海軍総司令官が親ロシア派に投降し、暫定政権側はこれを国家反逆罪に当たるとして司令官を解任し訴追手続きに入ったとしています。
なお、今朝になってG7としてソチG8の準備中止を決定、との共同声明が出されたようです。
そんな状況を受け、週明けのドル円相場は円高方向へと窓を開けてのスタート、2月6日以来の101円20銭台まで下落、その後も101円30銭台近辺での推移となっています。開けた窓は締められる可能性が非常に高いとはいえ、現在の状況ではなかなか窓締めの動きは見られません。このまま最近のレンジ下限101円80銭台を大きく割れた状態が明日朝まで続くようなら、円高方向への加速リスクが非常に高まることになります。目安としては100円台前半。
円と同様、安全資産として買われる金も1,340ドル台へと上昇中。
週明けの国内金価格は0.37%の小幅反発。上昇トレンドの勢いに翳りも見られ始めていたところで今朝のNY金上昇に支えられて持ち直し。右肩上がりから水平状態へと移行しつつある9日移動平均線がサポートの役目はなんとか果たした形。上値目標4,620円近辺を目指す流れは継続。4,480円台がサポートライン。
プラチナは0.2%の小幅反落。NYプラチナも金に連れ高となっているものの、円高圧力のほうが少し上回ったこともあり、前週末の大幅上昇からの小幅調整。なだらかな右肩上がりを描く9日移動平均線にサポートされ、金よりもしっかりとした上昇基調のようにも。上値目標水準は5,000円近辺。4,870円がサポートライン。
※参考:
金プラチナ国内価格3/3とチャート
2014年03月03日(月)時点の相場
国内金:4,551 円 3/3(月)
▲17(
0.37%)
国内プラチナ:4,916 円 3/3(月)
▼10(
0.20%)
NY金:1,321.6 ドル 2/28(金)
▼10.2(
0.77%)
NYプラチナ:1,446.8 ドル 2/28(金)
▼6.6(
0.45%)
ドル円:101.86 円 2/28(金)
▼0.26(
0.25%)
2/28(金)のその他主要マーケット指標
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