紛争終結期待から一転、混沌のウクライナ情勢
更新日:2014年08月16日(土)
白塗りのトラック280台がロシアからウクライナへと向かった時から、軍用トラックに「人道支援」の仮面をかぶせた侵攻との警戒感も高まってはいましたが、プーチン大統領は「ウクライナの惨事を終結」させるために全力を尽くす、と融和姿勢を見せていました。このことも緊張緩和へとつながり、週末の市場はリスク回避の巻き戻し傾向が強まる流れでスタート。
とりわけ、ウクライナ情勢悪化の影響が大きく、ここまで大きく売られ続けたユーロの買い戻しが進んだことが、「ウクライナ紛争終結期待」を増幅させた感も。対ユーロでは売られたドルも対円では買われ、ドル高円安傾向に。そして株価も上昇、金は相対的に売り圧力が強まる展開へ。
ニューヨーク連銀製造業景気指数やミシガン大学消費者態度指数などが予想を下回り、卸売物価指数は予想どおり、鉱工業生産はやや上昇と強弱入り交じる経済指標よりも、紛争終結に近づくことへの期待と安心感がこの流れを後押しした可能性が高そうです。
しかし、一方向への流れが長続きしないのが最近のトレンド。
ウクライナ政府軍によるロシアの武装車両攻撃報道により流れは逆転。はしごを外された形で株価は急落、金利も急落、為替は円高、金は買い戻し。結果的に
日米欧の10年債利回りは全て今年最低水準を更新し、ドイツ10年債金利は史上初の1%を割り込んで0.95%へ。
プーチン大統領のハト派発言は行動を伴わないことがよくある、という批判もありますが、ウクライナ軍にも非人道兵器とされる「白リン弾」使用疑惑が浮上しているようです。混沌としてきたウクライナ東部の紛争状態終結には、まだまだ時間を要しそうな状況に、市場も振り回される状態がまだしばらく続きそうです。
15日のNY市場、金相場は0.72%安で4日ぶりの反落。NY時間に入るとドル高の流れに伴って売りが加速、8月6日以来となる1,300ドル割れへ、一時1,293ドルまで下げたところから、ウクライナ懸念再燃で急反発。しかし買い戻しも限定的にとどまり、1,280-1,320ドルのレンジ内に収まる範囲内での乱高下に終始。
週間ベースでは-4.8ドル(-0.37%)の小幅反落。
プラチナ相場は0.82%安となり3日続落。金に連動する流れとなり、急落局面では6月23日以来約2カ月ぶりの安値水準となる1,446.2ドルまで下落。
下値目標水準1,440ドル近辺に2週間かけてようやく到達。その後は90日移動平均線の1,463ドルをやや下回る水準まで反発したことで、下落トレンド継続中ながらもいったん下げ止まりの可能性も示唆。
週間ベースでは-21.1ドル(-1.43%)の反落。
ドル円は0.1%の小幅安となり5日ぶりの反落。8月5日以来の高値水準となる102円70銭台まで上昇して急反落。ウクライナ情勢への警戒感再浮上と102円80銭のレジスタンスラインにドル高の流れを押さえられた形。レンジ上限トライには失敗も、下値も102円00銭台のサポートラインに支えられ、10銭台で下げ止まり。102.00-102.80円のレンジ内推移が継続中。
週間ベースでは+0.26円(+0.26%)の小幅反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/15終値とチャート
2014年08月16日(土)時点の相場
国内金:4,630 円 8/15(金)
▲3(
0.06%)
国内プラチナ:5,155 円 8/15(金)
▼14(
0.27%)
NY金:1,306.2 ドル 8/15(金)
▼9.5(
0.72%)
NYプラチナ:1,457.2 ドル 8/15(金)
▼12.0(
0.82%)
ドル円:102.34 円 8/15(金)
▼0.11(
0.10%)
8/15(金)のその他主要マーケット指標
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