ギリシャ問題先送りによるグレグジット回避にアグリークメント
更新日:2015年07月14日(火)
結局、債権団側とギリシャの思惑が一致したのは、ギリシャのユーロ圏離脱を避けること。日をまたぎ、夜を徹して行われたユーロ圏首脳会議は17時間にも及び、ドラクマチックな展開でアグリークメントに達したことを好感した多数のギリシャ国民とマーケットは、何の為の協議だったのかも忘れ、当面のグレグジットを回避した、というよりは見込みがたったことに安堵。
唯一の妥協点を守る為に折り合いがついたのは、チプラス首相が目指したはずのギリシャの3次支援合意と債務減免、ではなく、3次支援に向けての協議を開始すること。ギリシャの債務問題解決案でもなく、最大3年間の先送り、に向けて協議を本格開始すること。そして、そのためにギリシャは15日までの法制化を始めとする数々の厳しい事前条件をクリアしなければならない状況に追い込まれ、そのなかには債務の再構築は可能だが元本は削減せず、という一文も明記され、ドイツの思惑に屈した形に。
2月末に2次支援の4カ月延長を取り付けて時間を稼いだ結果がこれか、と思うギリシャ人も相当数いることでしょうけれど、とりあえず重要なのはアグリークメント:ギリシャ問題で合意に達したという事実。これでチプラス政権への反発も強まり、解散総選挙へと向かう可能性も高まることになるのでしょう。それでも一段落、となる道筋をつけたことに食傷気味の一部の関係者やマーケットは一安心。
なお、先週までデフォルト格付けへの引き下げ目前と見られていた
ギリシャ国債の格付けに関し、主要格付け会社のS&Pはギリシャの早期格上げの可能性を示し、ムーディーズは早期格上げの可能性は低い、と見方は分かれます。
また、チプラス首相が国民投票を表明した前日の
6月25日から7月13日終値までの2週間余りの間に株安円高のリスク回避が急速に進む場面もありましたが、NYダウもドイツDAXもプラス圏に回復し、ドル円もほぼ同水準、中国株への警戒感の影響が強い日経平均はまだ戻し余地を残しますが、今朝も大幅上昇となり、市場はギリシャ要因による影響をほぼ払拭してしまった状況です。
ただ、金やプラチナ、原油などのコモディティは中国リスクの影響もあり、軟調推移が続く状況となっています。
![NY金・日足チャート 2015/6/11 - 7/13](https://chart.apis.google.com/chart?chof=gif&chs=260x160&cht=lc&chtt=NY-GOLD+日足+2015/6/11 - 7/13&chts=0000c2,13&chf=c,s,ffff0060&chg=0,14.2857&chds=1140,1210&chd=t0:-1,1174.8,1175.6,1171.9,1175.4,1173.9,1183.1,1198,1181.6,1175.6,1168.1,1170.5,1167.1,1173.2,1165.4,1166.7,1155.8,1161.9,1146.8,1145.9,1155.1,1156.4,1149.8,-1|-1,1185.7,1180.8,1180,1185.3,1181.1,1184.2,1201.8,1199.7,1185.3,1177.6,1174.1,1172.5,1182.5,1179.8,1172.4,1167.7,1165.2,1168.8,1154,1157.5,1158.7,1162.3,-1|-1,1180.4,1179.2,1185.8,1180.9,1176.8,1202,1201.9,1184.1,1176.6,1172.9,1171.8,1173.2,1179,1171.8,1169.3,1163.5,1173.2,1152.6,1163.5,1159.2,1157.9,1155.4,-1|-1,1187.4,1183.7,1190.2,1187.4,1188.8,1205.7,1204,1200.8,1187.7,1179.7,1177.3,1178,1187.6,1180,1174.4,1169.2,1174.4,1170,1163.8,1166.9,1164.5,1163.9,-1&chm=F,3F3F3F,0,-1,8&chxt=x,y&chxl=0:||6/11|||6/16|||6/19|||6/24|||6/29|||7/2|||7/8|||7/13||1:|1,140|1,150|1,160|1,170|1,180|1,190|1,200|1,210)
13日のNY金相場は小幅に3日続落。ユーロ圏首脳会議での合意が伝えらると1160ドル付近から1150ドル台前半へと急落。瞬間的に1150ドル割れを試す場面もあったもののNY時間にかけては1150ドル台半ばでの保ち合い状態へ。ギリシャ要因によるリスク回避局面ではそれほど買われなかったこともあって、リスク後退にもそれほど売られないという見方も。それでも水準的にも1150ドルのサポートライン近辺では底堅さも見られる様子。今後は改めて米国の利上げに向けての動向に、その織り込み度合いが試される展開へ。
![NYプラチナ・日足チャート 2015/6/11 - 7/13](https://chart.apis.google.com/chart?chof=gif&chs=260x160&cht=lc&chtt=NY-PLATINUM+日足+2015/6/11 - 7/13&chts=9933a3,13&chf=c,s,d333a360&chg=0,9.0909&chds=1010,1120&chd=t0:-1,1101.5,1093.8,1077.2,1078.2,1071.5,1078.6,1081.9,1058.6,1060.5,1064.8,1072.3,1071.1,1068.1,1076.5,1080.5,1074.6,1049,1027,1010.9,1021,1022,1021.2,-1|-1,1115.7,1108,1097.5,1086.8,1080.1,1081.7,1084.1,1085.2,1062,1067.6,1075.8,1085.9,1085.5,1080.8,1085.2,1079.4,1085.8,1064.1,1036.7,1031,1023.2,1030.5,-1|-1,1105.2,1096.8,1088.6,1079.8,1072.7,1082.8,1086.8,1060.6,1067.5,1074.1,1084.4,1080.7,1081.4,1078.6,1086.9,1083.6,1066.3,1041.5,1035.8,1022.4,1032.3,1036,-1|-1,1117.2,1108.6,1099.3,1094.3,1086.3,1096.3,1089.2,1086.4,1075.1,1074.8,1085.8,1087.3,1097.5,1086,1089,1085.6,1090,1069.6,1039.7,1041.4,1039.4,1038.1,-1&chm=F,3F3F3F,0,-1,8&chxt=x,y&chxl=0:||6/11|||6/16|||6/19|||6/24|||6/29|||7/2|||7/8|||7/13||1:|1,010|1,020|1,030|1,040|1,050|1,060|1,070|1,080|1,090|1,100|1,110|1,120)
プラチナ相場は0.36%の小幅続伸。欧州リスク後退を好感する形での反発の流れも1040ドルが抵抗水準となって押さえられる状態が継続。5月18日高値を起点にスタートした下落トレンドはまもなく2カ月、7月初旬の急落局面がセリング・クライマックスとなって終了したかどうかの判断には、少なくとも2割程度の反発を確認したいところ。23.6%戻しライン1050.8ドルが当面の反発目安に。1020ドルが重要なサポートラインという状況も継続。
![ドル円・日足チャート 2015/6/12 - 7/13](https://chart.apis.google.com/chart?chof=gif&chs=260x160&cht=lc&chtt=USDJPY+日足+2015/6/12 - 7/13&chts=0000c2,13&chf=c,s,00a0ff60&chg=0,10&chds=120,125&chd=t0:-1,123.143,123.209,123.285,123.204,122.477,122.562,122.555,123.341,123.712,123.312,123.228,122.106,121.936,122.352,122.949,122.607,121.851,122.006,120.408,120.464,121.29,122.409,-1|-1,123.43,123.209,123.407,123.36,123.42,122.948,122.908,123.355,123.936,123.843,123.633,122.75,122.53,122.493,123.163,123.062,121.992,122.564,122.516,120.703,121.359,122.527,-1|-1,123.35,123.411,123.36,123.426,122.96,122.669,123.361,123.936,123.846,123.618,123.885,122.537,122.494,123.167,123.057,122.718,122.567,122.518,120.701,121.33,122.825,123.433,-1|-1,123.814,123.656,123.797,124.437,123.6,123.215,123.416,124.18,124.372,123.954,123.984,123.188,122.724,123.234,123.723,123.181,122.923,122.879,122.567,121.573,122.877,123.533,-1&chm=F,3F3F3F,0,-1,8&chxt=x,y&chxl=0:||6/12|||6/17|||6/22|||6/25|||6/30|||7/3|||7/8|||7/13||1:|120.0|120.5|121.0|121.5|122.0|122.5|123.0|123.5|124.0|124.5|125.0)
ドル円は0.5%のドル高円安で3日続伸。ギリシャ合意を受けて6月25日以来となる123円台へと急騰。足下の3日間で合計2円超の急騰となり、今年高値を起点とする三角保ち合いを上方ブレイク、123円台前半の抵抗水準も上抜けたことにより、ドル高円安の流れが加速する可能性。当面の目標水準は125円台半ば。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/13終値とチャート
14日の国内金価格は0.35%高で3日続伸。1週間ぶりの水準まで戻し、4月半ばに揉み合いを形成した水準と同等、6月2日からの下落幅の38.2%戻しとなる4930円も目前となる水準となり、3番底から脱出。下落トレンド一服後の新たな展開へ。下押しもはさみながら90日移動平均線の4960円近辺までは比較的戻しやすい水準か。
プラチナも3日続伸となる1.66%の大幅高。急落局面での下落幅が大きければ反発値幅も大きくなる健全な戻し方を見せて7月2日からの急落値幅の38.2%ラインとなる4407円もクリア。下方リスクも徐々に後退しつつあり、50%ラインの4446円、61.8%ラインの4485円辺りが目先の戻り目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格7/14とチャート
2015年07月14日(火)時点の相場
国内金:4,923 円 7/14(火)
▲17(
0.35%)
国内プラチナ:4,412 円 7/14(火)
▲72(
1.66%)
NY金:1,155.4 ドル 7/13(月)
▼2.5(
0.22%)
NYプラチナ:1,036.0 ドル 7/13(月)
▲3.7(
0.36%)
ドル円:123.43 円 7/13(月)
▲0.61(
0.50%)
7/13(月)のその他主要マーケット指標
予想以上に悪くないドイツの景況感、予想以上に弱い米国の消費 07/15(水)
執行猶予72時間、市場期待に逆行の週明けは3週連続で終止符へ 07/13(月)
結果にコミットしたギリシャ、本当にスリムになれるか 07/11(土)
楽観ムードで臨むギリシャの3度めの週明け 07/10(金)
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