FOMC次回会合で利上げの判断、有力サイン?可能性を残しただけ?
更新日:2015年10月29日(木)
前回と同様、9対1(リッチモンド連銀ラッカー総裁は利上げ支持)で金利据え置きを決定した今回のFOMC声明文には、「次回会合」で利上げが適切かどうかの判断を行う(雇用の最大化とインフレ2%の目標に向けた進捗を評価する)ことが明示されました。
一歩踏み込んだ形で12月利上げの可能性はまだ十分に残されていることを示唆した形です。
そして、最近の世界経済や金融市場の混乱による米国への影響を懸念するような内容は削除されました。
9月の前回会合で市場のリスク回避の流れを助長してしまったことへの反省かどうかはともかく、市場の安心感につながりました。
また、米経済は緩やかな(moderate)ペースで拡大しており、家計支出や設備投資はここ数カ月で堅実(solid)に増加、住宅セクターもさらに向上しているとの認識を示すとともに、雇用市場の伸びがやや鈍化し、インフレ率低迷状態が続いているとの現状分析を踏まえ、労働市場のもう少しの改善とインフレ目標2%に向かうことに合理的確信が持てた時に利上げを行うという従来スタンスを維持しています。
ハト派とタカ派のキーワードを織り交ぜた上で「次回会合」を意識させ、タカ派寄りに受け取れる声明文によって、FRBは市場で高まっていた年内利上げ見送り濃厚ムードを払拭することに成功しました。
これを受けて、CMEのFedウォッチでは12月利上げの可能性が前日の33.2%から42.6%へと跳ね上がりました。アトランタ連銀のGDPNowでも7-9月期GDP予想が前日の0.8%から1.1%へと急上昇しています。
しかし、12月利上げの可能性が高まったというよりは、ほぼ消滅しかけていた可能性がわずかに上昇した程度であり、あと1カ月半の間にインフレ目標2%に向かうことに合理的確信が持てるかどうかは甚だ疑問です。
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28日のNY金相場は0.88%の反発。年内利上げ見送り濃厚とのハト派的思惑からかジリジリと水準を切り上げて一時1180ドル台まで上昇。引け後のFOMC声明文がハト派寄りだったなら1190ドルの抵抗水準を上抜けて買いが加速する可能性もあった状態で、逆の結果に急反落。1160ドル台では一瞬サポートされるも1150ドル台まで下落。明朝までに1160ドル台を回復できない場合には、もう一段の下落余地で目標水準は1130ドル台後半へ。
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NYプラチナ相場は2.39%の大幅高で4日ぶりの反発。前日に990ドルの節目水準までしっかりと下落していたこともあり、株も金も買われる堅調な流れに追随すると勢いは加速し、1010ドル台の上値抵抗水準まで上昇。FOMC後の急落局面では再び990ドルの節目水準でサポートされる形となり、少し反発した状態。大幅反発へと切り返した株価にはついて行けず、金に連動する状況。990ドル付近から1010ドル台までのレンジを形成し、上抜けなら1030ドル台が目標水準に、下抜けなら960ドル付近がメドに。
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ドル円は0.53%のドル高円安。120円台前半に水準を切り下げての推移が続いた後、ロンドンフィキシングで120円50銭台へと急騰後、現状維持となったFOMCの結果に120円ちょうど付近まで急落して切り返すと、121円20銭台まで大幅急反発。声明文をタカ派寄りと見たことでドル高進行で再び保ち合い上抜けへと動き出し、121円台半ばの抵抗水準手前でいったん上値を押さえられた状態。日銀がサプライズ緩和に踏み切るようなら円安進行で上抜けトライを経て123円台へ。120円台半ばが下値サポートラインとなり、割り込むようなら119円までの円高余地。行き過ぎた場合でも118円程度までか。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/28終値とチャート
29日の国内金価格は0.54%の下落。FOMC通過後、日銀動向への思惑から円安の巻戻しが進行する状況となって4810円のレンジ下限割れ。基本線としては、当面の下値目安として4720円台を目指す流れへ。為替がやや不安定な状態にあり、方向感は定まりきらない面も。中国の5中全会絡みのニュースで金相場が動き出す可能性なども。上方向には4850円が当面の上値抵抗水準となり、抜けると4950円付近を目指す展開も。
国内プラチナ価格は4日ぶりの反発で0.66%高。堅調推移方向へ傾斜し始めるかと思われた流れが今朝の円高でやや勢いが削がれた形。4080円近辺までの下値調整余地を残す状況。上方向には4200円が重要な抵抗水準に。
※参考:
金プラチナ国内価格10/29とチャート
2015年10月29日(木)時点の相場
国内金:4,805 円 10/29(木)
▼26(
0.54%)
国内プラチナ:4,133 円 10/29(木)
▲27(
0.66%)
NY金:1,176.1 ドル 10/28(水)
▲10.3(
0.88%)
NYプラチナ:1,012.8 ドル 10/28(水)
▲23.6(
2.39%)
ドル円:121.08 円 10/28(水)
▲0.64(
0.53%)
10/28(水)のその他主要マーケット指標
年末までの金融政策動向次第で金は大底トライかトレンド転換済か 10/30(金)
耐久財受注も低迷状態で米景気減速傾向を示す状況に 10/28(水)
FOMC後のドル円は長期レジスタンス超え再トライをかけた攻防へ 10/27(火)
200日移動平均線との攻防 10/26(月)
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