2015年12月利上げ直前の物価動向=PCEデフレーター
更新日:2015年11月26日(木)
2006年5月以来、9年7カ月ぶりに利上げを決定する(可能性が極めて高い)2015年12月のFOMC直前時点で、FRBのデュアル・マンデート(使命)の一つ、「物価の安定」状況を見る為の重要な判断材料となる指標の最終版が発表されました。
米商務省が発表した10月の個人消費支出の物価動向を示すPCEデフレーターは前年比+0.2%、変動の大きい食品・エネルギー価格を除くコアPCEデフレーターは+1.3%。市場予想の+0.3%、+1.4%をいずれも下回る結果となりました。
低水準ながらも10月時点では上昇の兆しが見られ始めた、というシナリオは裏切られ、PCEは2009年10月以来の低水準から抜け出せない状況、コアPCEは2011年4月以来の低水準が年初から10カ月継続する状況となり、いずれも目標とする2.0%には大きく下方乖離の状態。
PCEについては、明らかに原油安の影響が大きく、まだしばらくは低水準での推移が続きそうな状況です。コアPCEについても2012年4月の2.0%を最後に目標水準を割り込むと、低下傾向が続きます。散発的な上昇時期でも上値は切り下がり、チャートからは2016年半ばにかけて、ようやく右肩下がりの抵抗線との攻防となるかどうか、といった状況です。
なお、最後の利上げ時期となった2006年のコアPCEは2.1%から2.5%の間での推移が続いていました。PCEについては年初の3.3%から年後半にはやや鈍化し、10月に1.5%まで低下、12月には2.1%へ上昇という流れ。
主要先進国全般に低インフレ状態が続く時代を象徴するように、米国ではコアPCEが1.3%に低迷する状況で利上げに踏み切ることになります。
25日のNY金相場は0.35%の反落。アジア時間のドル安の流れでの反発のピークは前日に続き1080ドル。この水準が目先の抵抗線。巻戻しの流れでNY時間にかけては再び売り優勢。好調を示した米10月耐久財受注や新規失業保険申請件数なども売り材料となって1070ドル割れへ。新築住宅販売件数やミシガン大学消費者信頼感指数確報値の下振れに下げ止まり、と純粋に指標に反応する展開。1050ドル付近までの下落余地に警戒しながらも底値圏での保ち合い形成へ。
NYプラチナ相場は4日ぶりの反発で0.26%の小幅高。NY時間にかけての軟調推移で安値更新し、833ドルまで下げたことで
直近の下値目標水準にほぼ到達。やや下ヒゲ長めの十字線を形成し、いったん反発への兆しも860ドルが当面の抵抗水準に。サンクスギビングの休暇をはさんで小動き状態継続か、閑散相場での仕掛け的な売りにも警戒。
ドル円は5日ぶりの反発で0.14%の小幅ドル高円安。東京市場での円買いの流れも122円20銭台までにとどまり、欧州時間にはECBの追加緩和観測を受けたユーロ売り加速の影響でドル円でもドル買い円売り基調へ。耐久財受注の好結果などを受けての戻り高値のピークは122円90銭台で前日高値と同水準。123円が壁になりつつある状況が続けば再び下押し圧力が高まる展開も。目標水準121円台前半に向けたドル安円高やや優勢の状態継続。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/25終値とチャート
26日の国内金価格はわずかに1円の反落。NY金の小幅反落と円安サポートによる均衡状態により、4530円の下値目標水準到達後の一服状態が継続。下押し圧力は徐々に緩和も、NY金のもう一段の下落余地がそのまま国内金価格の下げ余地となって4500円付近まで下落する可能性を維持。上方向には4580円台が当面の抵抗水準。
国内プラチナ価格は0.42%高となって4日ぶりの反発。直近の下値目標3570円近辺にしっかり到達したことに伴う反発もやや控えめ。流れが変わる為には
3650円台の抵抗水準を超える必要。安値更新となった場合には下値余地は3520円台辺りまで拡大。
※参考:
金プラチナ国内価格11/26とチャート
2015年11月26日(木)時点の相場
国内金:4,535 円 11/26(木)
▼1(
0.02%)
国内プラチナ:3,582 円 11/26(木)
▲15(
0.42%)
NY金:1,070.0 ドル 11/25(水)
▼3.8(
0.35%)
NYプラチナ:843.9 ドル 11/25(水)
▲2.2(
0.26%)
ドル円:122.70 円 11/25(水)
▲0.17(
0.14%)
11/25(水)のその他主要マーケット指標
2015年-2016年プラチナ需給見通し 11/27(金)相次ぐ非常事態宣言、地政学リスクは相場転換へのきっかけにも 11/25(水)プラチナ相場は年明けに上昇する 11/24(火)南ア中銀の通貨防衛策にもプラチナ相場の反発は限定的 11/21(土)
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