米製造業の回復基調継続も鉱工業生産は予想外の落ち込み
更新日:2016年04月16日(土)
米FRBが15日発表した3月の鉱工業生産指数は前月比-0.6%。市場予想の-0.1%を大きく下回り、2月の-0.5%も-0.6%へと下方修正され、2012年3月(-0.7%)以来の最低水準が2カ月連続。1月の+0.5%以外は直近7カ月全て前月比マイナスとなり、3カ月移動平均ではマイナス圏での推移が半年間継続。
また、設備稼働率も市場予想の75.3%を下回り74.8%へと落ち込み、2010年8月(74.7%)以来5年7カ月ぶりの低水準。2月分も76.7%から75.3%へ下方修正。2014年11月の78.9%をピークとして低下傾向が止まらない状況に。
さらに、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値は89.7と、予想外に3月の91.0から低下。昨年9月(87.2)来での最低水準となり、2015年1月の98.1をピークに下落基調がスタートしている様子。1年期待インフレ率は3月から変わらず2.6%を維持も、5-10年期待インフレ率は3月の2.7%から2.5%へ低下。
なお、この日発表された4月のNY連銀製造業景況指数は予想を大幅に上回る9.56となり、1年3カ月ぶりの高水準。
ドル高一服の流れを好感するように、米製造業の回復基調継続が確認されただけに、米経済の力強い回復を期待していたFRBのタカ派メンバーやマーケットにとっては、期待を裏切られた格好。
少なくとも、米国の製造業の支援材料となるドル安傾向だけはもうしばらく続きそうな状況に。
15日のNY金相場は3日ぶりの反発で0.66%の上昇。17日のドーハ産油国会合に向けての警戒感から原油の調整安が進行したことに連れて欧米株も調整、さらに米3月の鉱工業生産の想定以上の落ち込み、4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値の下振れなども続き米ドルも反落。この流れを背景に金は1230ドル前後での保ち合い状態から1230ドル台半ばへと水準を切り上げる展開に。1220ドル台での底堅さを確認も反発力も限定的となり、1220-1260のレンジ内下半分が最近の主要レンジとなりつつある状況に。上値は1260ドル付近までで押さえられやすく、下値は1220ドルが堅めのサポートライン、割り込んだ場合には1200ドル付近までの下落余地も。
週間ベースでは-9.2ドル(0.74%)となり、3週ぶりの小反落。
NYプラチナ相場は0.3%の小幅続落。3日連続で高値1000ドルの大台まで上昇し、これを維持し切れずに反落した状態。990ドル台から980ドル台へと保ち合い水準を切り下げるような形にはなったものの、乱高下しやすいプラチナにしては珍しく比較的小動きで高値圏をキープ。大台への再トライを諦めてはいない様子も見受けられ、再トライ成功となった場合には1020ドル以上へと水準を切り上げる可能性も。下方向には980ドル付近がサポートライン候補となり、この下は940ドル台までの急落もあり得る状況か。
週間ベースでは+21.5ドル(2.22%)となって3週続伸。
ドル円は4日ぶりの反落となり、0.58%のドル安円高で108円台へ。東京市場では1週間ぶりの円安水準となる109円70銭台まで上昇も、欧州市場ではドル売り円買いの流れが加速し109円割れへ。NY連銀製造業景況指数の好結果に109円台にワンタッチした後は、鉱工業生産やミシガン大学消費者信頼感指数の低調な結果を受けて108円60銭付近まで下落。109円台半ばが抵抗水準となって再び円高方向への警戒感が高まる状況に。産油国会合での増産凍結が見送られるなど予想外の展開となった場合には「ドーハの悲劇」で107円90銭の円高水準突破も警戒されることに。その場合の目先円高水準は107円程度まで、さらには
ヘッドアンドショルダーからの下落メド106円台も意識される展開へ。
週間では+0.66円(0.61%)となり、3週間ぶりの小反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場4/15終値とチャート
2016年04月16日(土)時点の相場
国内金:4,634 円 4/15(金)
▼13(
0.28%)
国内プラチナ:3,735 円 4/15(金)
▼12(
0.32%)
NY金:1,234.6 ドル 4/15(金)
▲8.1(
0.66%)
NYプラチナ:989.9 ドル 4/15(金)
▼3.0(
0.30%)
ドル円:108.76 円 4/15(金)
▼0.63(
0.58%)
4/15(金)のその他主要マーケット指標
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