米6月JOLTS求人件数は過去最大を19万件の大幅更新、でドル買いも
更新日:2017年08月09日(水)
米労働省が発表した6月の月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、求人件数は616.3万件。事前予想の575万件程度を大幅に上回り、これまでの過去最大となっていた2016年7月の597.3万件を19万件(3.2%)も上回る大幅増。4月の596.7万件と2016年3月の585.2万件と合わせて600万件近辺の水準で突出し、トリプルトップを形成していた水準をさらに大きく突き抜けた形です。
6カ月移動平均でも582.07万件となり、これまでの過去最大となっていた5月の571.67万件を10万件以上も上回る大幅増となり、求人件数の増加ペースは再加速の兆し。
想定外のポジティブ・サプライズにドル買い急進の市場反応となりました。
これに伴い、求人率は5月の3.8%から6月は4.0%へと上昇、2016年7月と2015年7月に並び、過去最大。回復目安の3.0%を大きく超える水準での堅調推移。
その一方で採用率は3.7%で横ばい推移。2015年12月と2016年2月の2回だけ記録した回復目安の3.8%を下回る水準での推移が続きます。
求人率と採用率との差は拡大傾向が続き、雇用のミスマッチを示す状況も継続中。
にも拘らず賃金上昇率の上昇にもなかなか結びつかない状態も続いています。
また、離職率は5月の2.2%から6月は2.1%へと低下、ただし回復目安の2.1%以上の水準は1年以上継続中と良好。
しかし、解雇率は5月の1.1%から6月には1.2%へと上昇し、昨年5月以来1年1カ月ぶりの水準に悪化。回復目安の1.4%を下回る水準での推移は続くものの、昨年9月の1.0%をボトムにゆるやかな上昇傾向(悪化傾向)がスタートし始めた可能性も警戒する状況に。
8日のNY金相場は0.17%の小幅反落。時間外には1270ドル台まで値を戻す場面もあったものの、NY市場での米6月JOLTS求人件数の好結果を受けてのドル高金利上昇の流れに伴い一時1260ドル割れまで急落。しかし、その後は北朝鮮のミサイル搭載可能な小型核弾頭開発報道を受けて流れは巻き戻し。トランプ大統領の北朝鮮に対する強硬的な牽制発言もこれを後押しした格好で今朝の時間外に金は1260ドル後半へ。NYダウの連騰記録も10日でストップし、低ボラティティの象徴となっていた
VIX指数も1カ月ぶりの水準となる10.96へと上昇。1240ドル台の保ち合いレンジ下限を上方シフトの兆しも見られるものの、上限1280ドルトライにもまだ時間を要する状況か。
NYプラチナ相場は0.3%高となって9日続伸。続伸記録としては2012年9月の10日続伸以来、ほぼ5年ぶり。ズマ南ア大統領の不信任投票が無記名方式となって好感する向きもあったものの、結果的には与党ANCの造反者数が足りずに否決。980ドル台まで上昇した後のNY市場では一時970ドル近辺まで下落し、その後は金の反発にも連れて970ドル半ばへ。970ドル近辺までの短期上値目標を超えての続伸で過熱感も急上昇、急反落リスクも高まるところ。7月11日安値から8月8日高値までの23.6%戻し(961.2)近辺、960ドル辺りまでの調整はいつ入ってもおかしくはなさそうだが。
ドル円は3日ぶりの反落で0.38%のドル安円高。NY市場にかけて110円20銭台まで軟調に推移した後は米6月求人件数の想定外の好結果を受けて110円80銭台まで急反発。しかし、前日高値を超えられず、保ち合い上限111円近辺も意識されて頭打ち。北朝鮮報道が格好の戻り売りのきっかけとなり、トランプ発言にも助長された流れで今朝の東京市場では110円割れへ。短期小幅保ち合い下限となる110円ラインを回復できなければドル安円高の流れが加速する可能性が高まり、当面の下値目安は4月安値圏となる108円台半ばまで。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/8終値とチャート
9日の国内金価格は0.21%の反落。市場全体に夏枯れの様相が強まリ始めた矢先、北朝鮮報道をきっかけに若干動意付き始めた様子で、ややリスク回避的な流れが強まる気配も。4750円台から4830円までの広めのレンジ中程に位置する国内金価格は、すぐにレンジブレイクとなるような状況にはないものの、リスク回避の流れがさらに強まるようならレンジ上限付近へ。近いうちに上限突破となった場合には大幅上昇トレンド形成へと向う可能性も高まり、当面の上値目標は最大で4900円台後半も。逆の展開である程度高まったリスク回避が急速に巻き戻されるようなら下限トライも。
プラチナ価格は前日から変わらずで続伸は7日でストップ。強めの上昇トレンドは継続中で短期目標3710円台までもう一段の上昇余地を残す状況と、急速に強まる過熱感とNYプラチナの一服感などが交錯しての足踏み状態。現状水準での停滞がつづくようだと3700円の大台ラインが上値抵抗線として意識され始める可能性も。
※参考:
金プラチナ国内価格8/9とチャート
2017年08月09日(水)時点の相場
国内金:4,791 円 8/9(水)
▼10(
0.21%)
国内プラチナ:3,683 円 8/9(水) +-0(0.00%)
NY金:1,262.6 ドル 8/8(火)
▼2.1(
0.17%)
NYプラチナ:974.5 ドル 8/8(火)
▲2.9(
0.30%)
ドル円:110.31 円 8/8(火)
▼0.42(
0.38%)
8/8(火)のその他主要マーケット指標
米Q2労働生産性上昇も単位労働コスト鈍化で低インフレ懸念継続 08/10(木)労働市場情勢指数(LMCI)更新中止と製造業雇用者数の伸び悩み 08/08(火)夏枯れ相場入りの8月、金価格の上値トライはスタート待ち? 08/07(月)米7月雇用統計はプチ・サプライズ、賃金上昇率は依然低迷 08/05(土)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン