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世界のプラチナ需給 2017年第3四半期~需要減にも強気見通しも
更新日:2017年11月22日(水)
世界のプラチナ需給・鉱山産出量 2017年第3四半期WPIC(World Platinum Investment Council)が発表したプラチナ需給レポートによると、2017年第3四半期の世界全体でのプラチ総供給量は61.1トンとなり、前期比-6.7%、前年同期比-3%と減少。
うち、鉱山産出量は46.2トンで前期比-8.6%、前年比-2%といずれも減少。リサイクルが14.9トンで前期比変わらず、前年比-5.9%。
国別鉱山産出量では、南アフリカは前期比-1.4%、前年比-8.9%も6四半期連続で30トン超と世界シェア70%超を維持。ロシアは前期比-9.8%、ジンバブエは前期比-24%と大幅減、北米は前期比+11.8%と増加。
リサイクルの内訳は自動車触媒10.3トン、宝飾4.7トンで前期比変わらず、前年比では自動車触媒+4.8%、宝飾-23.1%の大幅減。

世界のプラチナ需給・目的別需要 2017年第3四半期総需要は55.5トン。前期比-9.4%、前年同期比-8%と3期連続の減少、2015年以降では最低水準に。
需要全体の44%を占める自動車触媒需要は前期比-7.6%、前年比では+0.6%で4四半期ぶりの水準に減少。
宝飾品需要は19.4トンで前期比変わらず、前年比では-3.8%。シェアとしては前期の41.1%から35%に縮小。
シェア21.6%の工業関連は前期比-4.9%、前年比-16.3%。石油関連が前期の0.3トンから0.8トンへと大幅増に対してガラス関連は1.6トンから0.6トンへと大幅減。
投資需要は-0.3トンで2015年第4四半期以来7四半期ぶりの売り越し。地金・コイン等現物投資需要は1.4トンで前期比-35.7%、前年比-43.8%。ETF関連は-1.2トンで4四半期ぶりの売り越し。
需給バランスでは2四半期連続の供給過多。

世界のプラチナ消費需要 2017年第3四半期宝飾需要と現物投資需要の合計、プラチナ消費需要は20.8トンとなり、前期比-3.6%、前年比-12.4%。今年第1四半期と同水準で2015年以降では最低水準での推移が続きます。
価格下落局面では宝飾・現物投資ともに増加傾向、価格上昇ではともに減少しやすい逆張り志向が強いものの、宝飾需要は20トン前後の水準で比較的安定推移が続き、現物投資需要も価格変動の割には根強い需要を維持しています。
プラチナ消費需要のシェアは、2016年第4四半期には38.2%を占め、自動車触媒の38.6%とほぼ同水準で合計では76.8%。2015年第4四半期には48.1%で自動車触媒の45.4%を上回り、合計では93.5%の高水準となっていました。
プラチナ価格急落局面では、安定した需要量の自動車触媒とプラチナ消費需要増によって世界のプラチナ需給バランスを支える構図が成り立ちます。

その自動車触媒需要に関しては、最近では欧州・中国を中心にEV化の波が高まり、ディーゼル車の触媒需要をメインとするプラチナ需要にとってはアゲンストの風も強まりつつありますが、本レポートではポジティブな見方も示されています。

近い将来、プラチナはディーゼル車の排ガス触媒用途だけでなく、ガソリン車にも使用されるとの見方も増えているようです。
ガソリン車用排ガス触媒として使用されるパラジウム価格が(プラチナを上回る水準へと)急騰していることを受けて、欧米自動車メーカーのなかには、プラチナとロジウムの使用量を増やすテストに着手している会社もある、と見られるようです。

自動車メーカーは通常、プラチナ系金属を使用する3年前までに確保するため、比較的近い将来のプラチナ需要に影響を及ぼす可能性もあるとWPICでは見ているようです。
北米での自動車触媒のパラジウム消費量の20%、欧州での5%がプラチナに置き換えられた場合、プラチナ需要はおそらく年間15トン程度増加する、かもしれないとのこと。

NY金・日足チャート 2017/10/18 - 11/2121日のNY金相場は0.5%の反発で前日の急落からの3分の1戻し。米株主要3指数そろっての最高値更新で欧米株高再開状態のNY市場では、米長期金利もドルもやや軟調気味の推移となり、金は1270ドル半ばまで売られた後に1280ドル半ばまで急反発。売り買い交錯も値幅は9ドルに満たない小動きとなり、サンクスギビングを前に小康状態。引き続き1270ドルから1300ドルまでに拡大した保ち合いレンジをどちらかにブレイクすれば大幅変動へ、も目先は方向感に乏しくレンジ内推移継続の様相。

NYプラチナ・日足チャート 2017/10/18 - 11/21NYプラチナ相場は1.56%の大幅反発となって前日大幅安のほぼ半値戻し。にわかに強まった下値警戒感を払拭する形で一時940ドルを試して930ドル台を回復。920ドルから960ドルまでに拡大したレンジ内での保ち合い推移が続き、950ドル付近で水平状態の90日移動平均線に抵抗感も。

ドル円・日足チャート 2017/10/18 - 11/21ドル円は0.16%のドル安円と小反落。やはりいったん下げ止まっただけで反発力にはまだ乏しい状態。前日高値112円70銭台を超えられずに失速すると、米10年債利回り低下とともに軟調推移の展開に。米10月のシカゴ連銀全米活動指数は0.65となって2012年1月以来5年9カ月ぶりの高水準にも反応なし、10月の中古住宅販売件数が予想を上回る548万件と4カ月ぶりの水準へと増加すると、112円10銭台の安値から40銭台まで小反発。しかしこの日の値幅は年間平均92銭に対して50銭程度にとどまる小動き。今朝の東京市場では再び112円10銭台の安値を試す展開となり、戻り売り優勢の状況は継続模様。あらためて112円と38.2%ラインの111円90銭を割り込むと半値戻しとなる111円近辺までの下落も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/21終値とチャート

22日の国内金価格は0.06%の小幅続落。今年高値圏での保ち合い崩れからの軟調な流れがジワリと進行。10月安値圏で右肩上がりの90日移動平均線も通過する4930ドル台を目標とする下値トライの流れ継続へ。目標水準近辺では比較的下げ止まりやすく、反発の展開となっていずれ5000円台回復となれば年末にかけて今年高値更新へ、というシナリオも可能か。

プラチナ価格は0.36%の反発。前日の大幅下落からの戻りは限定的となり、三役逆転の解消とは行かず、雲の下限が抵抗線となりそうな様子で下落基調がゆっくりとスタートした可能性も。金との方向感が逆行していた状態も解消されつつあり、金の下落に連れて下値模索の展開へ。下値目安として、まずは10月安値3550円近辺、下げ止まれない場合には今年安値(3529)更新、さらには最大で3500円近辺も視野に。
※参考:金プラチナ国内価格11/22とチャート

2017年11月22日(水)時点の相場
国内金:4,962 円 11/22(水) ▼3(0.06%)
国内プラチナ:3,623 円 11/22(水) ▲13(0.36%)
NY金:1,281.7 ドル 11/21(火) ▲6.4(0.50%)
NYプラチナ:938.0 ドル 11/21(火) ▲14.4(1.56%)
ドル円:112.44 円 11/21(火) ▼0.18(0.16%)
→11/21(火)のその他主要マーケット指標

←米10月耐久財受注下振れも製造業出荷ベースでは23年ぶり好調期 11/23(木)
→金利連動相場のNY金、米10年債利回りの反発で急失速 11/21(火)
→二役逆転の金価格、三役好転を目指すプラチナ価格 11/20(月)
→着工件数は1年ぶり高水準、米住宅市場はバブル懸念もうらはらに 11/18(土)

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