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米4月PPIは急失速、インフレ加速懸念緩和でドル全面高も一服へ
更新日:2018年05月10日(木)
生産者物価指数(PPI)2018年4月北朝鮮へのメッセージも含めたか、とも思われるイラン核合意離脱をトランプ米大統領が発表した8日、金正恩委員長はわずか1カ月余りで2度めとなる電撃訪中で習近平中国国家主席と大連での首脳会談。入れ違いに李克強中国首相が東京を訪れて9日には文在寅韓国大統領と安倍首相との2年半ぶりの日中韓首脳会談、その頃ポンペオ米国務長官は1カ月ぶり2度めの訪朝で平壌へと飛んで史上初の米朝首脳会談に向けた準備を進め、拘束された米国人3人とともに帰国へ。

めまぐるしく動き出した外交戦で中東情勢は緊迫化が懸念され、朝鮮半島情勢は好転方向へと事態急転への思惑も、いずれもそうはならない可能性への警戒感も残ります。金融市場ではNY原油が3年5カ月ぶりに71ドル台まで上昇し、米10年債利回りは再び3%台へと上昇。ユーロやポンドなどの欧州通貨安と新興国通貨安に加えて円安も加勢する形となってドル全面高の流れも続きます。
パウエルFRB議長は「米国が利上げしても新興市場には乗り切る力が備わっている」と楽観視する発言で6月利上げを事実上示唆していますが、自国通貨ペソ暴落に苦しむアルゼンチンはIMFに支援要請、トルコではエルドアン大統領が旗を振ってリラ防衛のための経済会合とバタバタ感も。
ただし、VIX指数は13.42と1月26日以来3カ月半ぶりの低水準にとどまり、株価を下支えする状況も続きます。

米労働省がこの日発表した4月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比+2.6%。市場予想の+2.8%を下回り、5年10カ月ぶり高水準となった昨年11月と並ぶ+3.0%まで上昇した3月からは急失速。食品とエネルギーを除くコア指数(コアPPI)も6年半ぶり高水準となった3月の+2.7%から4月は+2.3%へと失速。
最近では食品とエネルギー、さらに貿易サービスも除くコア指数(チャート上ではコアPPI2)が注目されており、このコアPPI2も調査開始の2014年以降で最高となった3月の+2.9%から4月は+2.5%へと急失速。

3月に急加速したPPIと連動する形で前年比+2.4%へと急加速していた消費者物価指数(コアCPIは+2.1%)はもう一段の上昇予想が大勢となっていますが、4月もPPIに連動する形で失速となれば、高まりつつある利上げペース加速への思惑も後退することとなり、ドル全面高一服で新興国通貨安の流れにも一服感が生じやすくなりそうです。
と同時に一服感が続く金には反発要因にも。

NY金・日足チャート 2018/4/5 - 5/99日のNY金相場は0.05%の小幅安で3日続落。時間外には米長期金利が3%台へと上昇し、ドル高の流れが強まったことで一時1304ドルまで下落。ロンドン・NY時間には今年安値を更新したユーロドルの買い戻しにも連れて1310ドル台後半まで反発。しかし米10年債利回りが3%台を維持する高止まりとなったこともあり上値も重く1310ドル台前半へと押し戻される展開に。結果的に3日連続で1310ドル台を中心に揉み合う形となってのほぼ横ばい推移。上方向には1320ドルを超えられない日々が7日間続き、下値は200日移動平均線にサポートされる状態が6日め。短期トレンド好転を先送りする状態となり、抜け出した方向へのトレンド形成でまずは20ドル程度の変動も予想される状況。

NYプラチナ・日足チャート 2018/4/5 - 5/9NYプラチナ相場は0.49%の反発。この日も時間外には一時的に910ドルを割れたものの、ほぼ910ドル台での小幅揉み合いとなって3日連続同水準。それでもわずかに水準を切り上げて2週間ぶりの高値水準。金との価格差も2週間ぶりに400ドルを下回り396.4ドルまで縮小。トレンドとしてはプラチナの反発局面で金との価格差縮小フェーズが進行中。節目の920ドルをしっかり上抜けできればトレンド加速で4月高値圏940ドル台までが上値目標に。

ドル円・日足チャート 2018/4/5 - 5/9ドル円は0.61%のドル高円安となって続伸。リクルートの米グラスドア買収発表を受けて円売りドル買い急進となった東京市場では109円60銭台までで頭打ちとなったものの、米10年債利回りの高止まりにも支えられる形で欧州・NY時間には109円80銭台の高値を何度か試す展開に。今朝の東京市場では一時109円90銭台まで上昇して反落しており、ドル高円安トレンド終息かとも思われたところからの急反発で上値トライ再開への可能性を示したものの、110円の攻防ラインは超えられない状況。目先、109円台での攻防が続き、110円ラインを突破できれば111円台前半へと上昇トレンド延長、109円ライン割れの場合には調整局面入りで4月前半の保ち合い水準107円台前半までが下値目安に。本日の米4月CPIがサプライズな結果となればそのきっかけにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/9終値とチャート

10日の国内金価格は0.46%高となって続伸。9日移動平均線(4955)から90日移動平均線(4957)までの全てが2円のレンジに収束し、これをまとめてゴールデンクロスした形となって2週間ぶり高値水準に。それなりの値幅を伴う可能性も高いトレンド発生に向けてまずは円安サポートを受けて上方向へと動き始めた格好。この流れが本格化する為には4月高値4990円をしっかりと上抜ける必要があり、その場合の上値目標は5080円台。逆に4940円のレンジ下限を割り込んだ場合には大幅安の展開へと巻き戻され、下値目安は3月後半の保ち合い水準4820円近辺まで。

プラチナ価格は0.78%高となって4日続伸。安値圏からの反発局面が続き、金との価格差は過去最大となった5月2日の1545円から1カ月ぶりの水準となる1501円まで縮小。節目の1500円を割り込めばもう一段の大幅縮小も見込めそうな推移状況に。価格水準としては3480円台が重要な節目となり、これを超えるとそうなる可能性も高まり、昨年12月初旬までの保ち合い上限付近、3660円台までが当面の上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格5/10とチャート

2018年05月10日(木)時点の相場
国内金:4,970 円 5/10(木) ▲23(0.46%)
国内プラチナ:3,469 円 5/10(木) ▲27(0.78%)
NY金:1,313.0 ドル 5/9(水) ▼0.7(0.05%)
NYプラチナ:916.6 ドル 5/9(水) ▲4.5(0.49%)
ドル円:109.75 円 5/9(水) ▲0.66(0.61%)
→5/9(水)のその他主要マーケット指標

←消費者物価指数(CPI)は賃金上昇率との攻防水準に 05/11(金)
→米3月求人件数は過去最高を大幅更新、労働市場にさらなる改善余地 05/09(水)
→ドル全面高で新興国通貨安急進、金も上げ幅帳消し、でも円高 05/08(火)
→米中通商協議物別れとイラン核合意離脱懸念を背景に相場反転も 05/07(月)

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