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★金プラチナ短期相場観★

世界同時株安のリスクオフにも金市場は蚊帳の外
更新日:2018年10月11日(木)
NYダウ800ドル超の急落 2018年10月10日米労働省が発表した9月の生産者物価指数は前年比+2.6%となり、市場予想の+2.7%を下回りましたが、食品とエネルギーを除いたコア指数では前年比+2.5%。市場予想どおりで8月の+2.3%からは加速。食品とエネルギーに貿易サービスも除いた指数では前年比+2.9%と高水準での横ばい推移。

この指標発表後、上昇一服となっていた米10年債利回りは再び3.24%台へと急騰の兆しを見せました。しかし、長期金利急騰への警戒感が強い米株は調整の動きが急速に進行。NYダウは下げ幅を拡大し、8月16日以来ほぼ2カ月ぶりの水準へと急落しました。下げ幅は800ドル超、3.15%の下落となり、VIXショックとなった今年2月8日(-1030ドル超、4.15%)以来、8カ月ぶりの大幅下落。
VIX指数も22.96と4月2日(23.62)以来半年ぶりの高水準へと急騰。
トランプ米大統領は株価急落に怒り心頭、「FRBは常軌を逸した」と利上げを非難しています。

ナスダックも4%超の下落となって5月29日以来4カ月ぶりの安値水準へと急落。下落率が4%を超えるのはブレグジットの2016年6月24日(-200ドル超、4.12%)以来、2年3カ月ぶり。
欧州株も連れ安となり、英FTSEも4月4日以来半年ぶりの安値水準となり、ドイツDAXは2%超の下げ幅で年初来安値を更新、2017年2月10日以来1年8カ月ぶりの安値水準となりました。
今朝の東京市場でも日経平均は前引で900円超の急落となり、世界同時株安の様相となっています。

米10年債利回りは年初の2.4%付近から3.2%まで上昇し、ドルインデックスは88ポイント台から95ポイント台へとドル高が進行し、今年ここまで3回利上げされ、さらにもう1回の利上げも見込まれる現状からNY金は年初来で8.8%超の下落となっています。しかし、足下では金利上昇とドル高一服の兆しとともに来年の利上げ打ち止め観測に加え、米国発の世界貿易摩擦、イタリア財政問題、英EU離脱動向などの不透明感もあり、下げ渋る状態。
しかし、売り圧力優勢の状態は逆転には至らず、8月にCFTC(全米商品先物委員会)の投機筋の建玉が16年ぶりに売り越しへと転換した状態も2カ月続経過。

過去最高値を更新してきた米欧株式市場は複数要因が複雑に絡み合い、調整局面拡大となっていますが、金市場では複数要因からの売り買い交錯のバランスは崩れず、世界同時株安のリスクオフにも、蚊帳の外状態が続きます。

NY金・日足チャート 2018/9/6 - 10/1010日のNY金相場は+1.9ドル、0.16%の小幅続伸。時間外では1190ドル台半ばを超えられず、上値の重い状態が続いて一時1190ドル割れもNY市場にかけてはドル安の流れで下げ渋り、米株急落でリスク回避の流れに伴い1200ドル手前まで反発。わずかながらも下値を切り上げる形で1190ドル割れでの底堅さも見られ、下値トライへの警戒感はいったん後退も、上値は1200ドル付近まで下げてきた20日移動平均線が抵抗水準にも。1180ドル台半ばから1210ドル台までを主要レンジとして保ち合い推移継続の様相となり、あらためて下値を切り下げるようだと今年安値1160ドル台トライ懸念再燃も。株価の調整がさらに進み、金利調整、ドル高調整局面が続くようなら1210ドルの上限トライも、突破できれば上昇局面形成で上値目標は1240ドル台へ。

NYプラチナ・日足チャート 2018/9/6 - 10/10NYプラチナ相場は-1.6ドル、0.19%の小幅反落。時間外では830ドルをはさんだ保ち合いを維持できず、820ドル台後半へと保ち合いレンジを切り下げるとNY市場での株価急落のリスクオフにも動意は拡大せず。この日の値幅は8.8ドルと限定的、2カ月ぶりの小動き。右肩上がりの20日移動平均線(821.9)にサポートされる状態は続いてはいるものの勢いは失速、810ドルから840ドルまでの広めのレンジ内中央付近に収束し、方向感模索の状態にも。

ドル円・日足チャート 2018/9/6 - 10/10ドル円は70銭のドル安円高となり、7月以来3カ月ぶりとなる5日続落。9月17日(111.84)以来のドル安円高水準。前日の113円割れからは若干水準を切り上げて113円台前半での推移が続いていたものの、NY時間に入っての米株急落に連れて113円を割れるとドル売りが加速、米10年債利回りが3.2%割れへと急落すると112円10銭台まで一段安。下値目安112円台半ばから前半に到達し、今年安値104円60銭台から今年高値114円50銭台までの23.6%戻し(112円20銭台)も達成したことで調整局面一服となりやすい状態にも。行き過ぎの展開となって112円割れとなった場合には90日移動平均線(111.43)付近までがサポート候補。さらに行き過ぎると10月までの上げ幅の38.2%戻し、110円70銭台までが意識されることにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/10終値とチャート

11日の国内金価格は-18円、0.39%安となって5日続落。9月18日(4614)以来、3週間ぶりの安値水準に。下方向への節目となる4620円をわずかに下回ったことで下値トライへと向かう可能性も浮上、当面の下値目安は4530円近辺まで。ただし、NY金の保ち合い回帰の様相とドル円の下値目安到達という状況からは、一時的なオーバーランに終わる可能性も。右肩上がりの21日移動平均線(4646)付近まで反発できれば軟調地合いも大きく緩和されることにも。

プラチナ価格は-44円、1.37%の大幅反落で9月28日(3162)以来、2週間ぶりの安値水準。3200円の大台ラインを大きく割り込んだことで短期トレンドはほぼ逆転、一段安の展開となりやすい状態に。下値目安は最大で3100円の大台ライン付近。ただし、NYプラチナの保ち合い推移と為替動向の現状からはやはり行き過ぎの可能性も。9月末安値圏でもあり、右肩上がりの21日移動平均線が推移する3160円近辺まででサポートされる可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格10/11とチャート

2018年10月11日(木)時点の相場
国内金:4,616 円 10/11(木) ▼18(0.39%)
国内プラチナ:3,177 円 10/11(木) ▼44(1.37%)
NY金:1,193.4 ドル 10/10(水) ▲1.9(0.16%)
NYプラチナ:827.3 ドル 10/10(水) ▼1.6(0.19%)
ドル円:112.24 円 10/10(水) ▼0.71(0.63%)
→10/10(水)のその他主要マーケット指標

←ダウは2日で1300ドル超下落、世界同時株安2周めで金急騰 10/12(金)
→中小企業楽観指数はやや減速も依然過去最高水準付近 10/10(水)
→米長期金利上昇で警戒感高まる金市場 10/09(火)
→失業率は48年ぶり低水準でも賃金上昇率は加速せず 10/06(土)

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