ドイツ景況感回復継続でユーロ高ドル安も金利上昇で金の調整継続
更新日:2020年08月26日(水)
8月のIFOドイツ企業景況感指数は市場予想を上回る92.6となって2月(95.8)以来、半年ぶりの高水準。期待指数は97.5となって2018年11月(98.1)以来、1年9ヵ月ぶりの高水準。現況指数も87.9となって3月(92.8)以来5ヵ月ぶりの高水準。景況感指数と期待指数は4ヵ月続伸、現況は3ヵ月続伸で回復基調が継続。
期待先行の回復基調で、期待指数はコロナ前の水準を大きく超えた状態も、節目の100ポイントには届かず。また、期待指数が前月比+0.8ポイントにとどまったのに対し、現況指数は前月比+3.4ポイントの大幅上昇、7月の+3.2ポイントを上回り、2ヵ月連続で10年ぶりの急騰。現況指数の大幅改善が景況感指数を押し上げた状態となっています。
ただし、現況も景況感指数もコロナ前の水準には届かず。
セクター別ではサービス業(7.8)が4ヵ月続伸で2ヵ月連続のプラス圏推移となり、2月(17.1)以来半年ぶり高水準で他業種に先行。
製造業(-5.4)も4ヵ月続伸で2月(-2.1)以来、半年ぶり高水準も、マイナス圏推移は14ヵ月連続。業種別の数値では最下位。
なお、その他業種では小売(2.1)が半年ぶりにプラス圏を回復して8ヵ月ぶり高水準、建設業(0.0)は5ヵ月ぶり高水準となってマイナス圏を脱出。
貿易(-4.8)は半年ぶり高水準も6ヵ月連続のマイナス圏推移、卸売(-1.4)も5ヵ月ぶり高水準も5ヵ月連続マイナス圏推移。
先日のマークイット発表のPMIでは、ドイツのサービス業は7月の55.6から8月速報では50.8へと失速、逆に製造業は51.0から53.0へと上昇し、製造業のほうが好調を示す結果となっていたのとは対象的な結果に。
また、PMIでは総合PMI、製造業PMIともに年初の水準、コロナ前の水準を回復し、サービス業PMIも7月に一度は1年ぶり高水準となったのに対し、IFOの景況感指数ではまだコロナ前の水準を回復できてはいません。
調査対象、タイミング等によってもバラツキが見られる状況も想定され、回復基調が継続していることには変わりはないものの、不安定な状態でもあり、先行き不透明感も伴う状況でもありそうです。
とりあえずこの日はドイツIFO景況感の回復基調継続を好感し、2年3ヵ月ぶり高値からの調整局面にあったユーロドルは反発しましたが、最高値圏からの調整局面にある金価格は、ドル安でも景気回復基調示す指標と長期金利上昇が重石となって調整継続となったようです。
25日のNY金相場は-16.1ドル、0.83%の続落となって7月24日(1897.5)以来、1ヵ月ぶりの安値。時間外は1930ドル台から1940ドル前半まで反発して戻り売りの展開へ。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン米財務長官と中国の劉鶴副首相との電話会談で米中貿易協議「第1段階合意」の履行状況確認が行われたことが伝えられ、米中対立激化への警戒感後退でリスク選好の流れとなり、株高に金利上昇、円安ドル高の流れに押されて軟調推移。NY市場では強弱混在の米指標に揉み合いの展開にもなったものの、一時1920ドルを割れる場面も。NY午後には0.7%台まで上昇していた米10年債利回りの上げ幅縮小とともに1930ドル台へと反発、24時間前からはほぼ横ばい推移。1940ドル台の保ち合い下限割れに伴う短期下値目安1910ドル台にもほぼ到達した状態にもなり、一服感も。
NYプラチナは+9.5ドル、1.03%高で5日ぶりの反発。上下20ドルに満たない小動きとなるなかで揉み合いながらも920ドル台から930ドル台へと水準を切り上げる展開となり、NY朝には一時940ドル超え。1週間前の保ち合い下限割れに伴う短期下値目安900ドル前後に対しては、21日安値で903.5ドルまで下げたことで下値トライ一服となった様子。920ドルが目先のサポートとなり、上方向には940ドルにやや抵抗感も。これを上抜けできれば20日移動平均線(956.8)が次の節目にも。下方向へ920ドル割れの場合には再度900ドル近辺トライにも。
ドル円は40銭超、0.4%のドル高円安で3日続伸。8月14日(106.60)以来、10日ぶりのドル高円安水準。米中対立リスク緩和期待を背景にリスク選好ムードとなって東京午後の時間帯から円安ドル高の流れ。欧州時間にはIFO景況感指数の好結果を受けてのユーロ高ドル安も、ドル円では円安がカバー、NY時間には新築住宅販売の13年ぶり高水準に対して消費者信頼感指数の6年ぶり低水準など強弱混在にも、ナスダックとS&Pの連日の最高値更新や米長期金利上昇などにもサポートされて一時106円50銭台まで上昇。106円10銭の節目を超えてきたことで、もう一段上値を試す展開にも。107円台前半が上値目標に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/25終値とチャート
26日の国内金価格は+25円、0.35%高で3日ぶりの反発。7月末以降の下値サポート7200円割れは一時的な下振れにとどまって切り返し。ただし、短期トレンドとしては軟調な流れが続く様子も。イベント的には27日のパウエルFRB議長講演待ちという面もあり、NY金にも一服感も。7190円から7260円台までが目先の主要レンジとなり、再度下方ブレイクへと向かえば7100円台前半が下値目安にも。
プラチナ価格は+35円、1.02%の続伸。行き過ぎからの巻戻しが続いて直近の下値目安3430円近辺も上抜けて適度な水準を回復したような状態にもなり、金とNYプラチナの一服感にも同調の気配も。目先、21日移動平均線(3485)をわずかに下抜けた9日移動平均線(3479)が上値抵抗線候補にも、これらを上抜けできれば3500円の節目回復トライの展開にも。下方向には3370円台の直近安値を下抜けると7月末安値、3330円近辺までが下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格8/26とチャート
2020年08月26日(水)時点の相場
国内金:7,216 円 8/26(水)
▲25(
0.35%)
国内プラチナ:3,450 円 8/26(水)
▲35(
1.02%)
NY金:1,923.1 ドル 8/25(火)
▼16.1(
0.83%)
NYプラチナ:934.0 ドル 8/25(火)
▲9.5(
1.03%)
ドル円:106.38 円 8/25(火)
▲0.42(
0.40%)
8/25(火)のその他主要マーケット指標
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