ドル高一服、金価格はユーロドルと共に2ヵ月ぶり安値で反発
更新日:2020年09月29日(火)
米9月ダラス連銀製造業活動指数は13.6となり、市場予想の8.5程度を上回り、半年ぶりにプラス圏となった8月の8.0からも一段と上昇。2018年11月(15.9)以来、1年10ヵ月ぶりの高水準。新規受注は8ヵ月ぶり高水準となり、生産と設備稼働率は2年ぶり高水準。出荷は2年ぶり高水準となった8月からわずかに低下、雇用も1年ぶり高水準となり、今後の見通しを示す期待指数も1年11ヵ月ぶり高水準となるなど、第3四半期の急回復を象徴する結果となりました。
なお、リッチモンド連銀の製造業指数も2年ぶり高水準となっており、9月の各地区連銀の製造業景況指数は概ね好調を示す結果となっています。
この指標発表後には、ドル買いの勢いが強まる場面もあり、ドル円は小幅に急騰してこの日の高値をつけ、堅調推移となっていたユーロドルは反落して押し目を形成、NY金も10ドル程の急反落。しかし、この日の流れが大きく変わることはなく、これまで続いたドル高の流れの巻き戻しの展開。
ドルインデックスは先週末、25日の2ヵ月ぶり高値からは調整。同じようにユーロドルも25日に7月23日以来、2ヵ月ぶり安値となる1.16台前半まで下落。この日は1.16台後半へと反発。NY金も同様に先週末には7月22日以来2ヵ月ぶり安値となる1860ドル台まで下落。この日はユーロドルの反発とともに1880ドル台へと上昇。
足下では、ユーロドルとNY金の連動性が一段と強まる状態となり、90日相関係数は29日時点で0.9339台まで上昇。ドルインデックスとの逆相関-0.9296を超える相関性の強さを示します。
NY金は今年安値から最高値までの38.2%戻し付近まで下落して反発した状態ですが、ユーロドルは今年安値から高値までの23.6%戻しを少し下回った程度にとどまっており、もう一段の調整が続いてもおかしくはなさそうな状況のようにも見えます。
ユーロドルが浅めの調整で終えて反発基調が続くのかどうか、目先はNY金の調整局面にも影響しそうです。
28日のNY金相場は+16.0ドル、0.86%の反発。週明け時間外は1860ドル台での小康状態からロンドン朝にかけて節目の1860ドル台を割れると1850ドル付近まで小幅に急落。しかし4営業日連続1850ドル台でしっかりサポートされて反発すると、これまで続いたドル高ユーロ安の流れも反発へ。週末に発表された中国の8月工業部門企業利益が4ヵ月連続の増益となったことなども好感され、ドイツ株高に牽引されての欧米株高とユーロ高・ドル安の流れが強まったことで、これまで軟調推移が続いた金にも押し目買い圧力が強まる展開となってNY朝までに1870ドル台を回復するとNY午後には1880ドル台へと一段高。結果、1850ドル付近から30ドル超の急反発局面を形成し、90日移動平均線(1864.4)にもしっかりサポートされ、上方向への節目1880ドルも上抜け。短期的には1900ドル前後を上値目標にもう一段の戻りを試す可能性。ただし、月末月初の指標や米大統領選絡みのイベントドリブンで上下に振られる展開にも。下方向にはあらためて1860ドル台のサポートを割れると1850ドルではもうサポートされない可能性もあり、7月末の急騰前の保ち合い高値圏1830ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナは+49.4ドル、5.87%の大幅続伸。7月21日(+61.0ドル、7.11%)以来、2ヵ月ぶりで今年6番めの急騰。ロンドン時間からの欧米株高とユーロ高ドル安と金高の流れにサポートされ、時間外の840ドル台からNY朝には880ドル台、NY午後には890ドル台へと50ドル弱の急騰。1週間前に割り込んだ200日移動平均線(880.3)を上抜け、同じタイミングで下抜けた90日移動平均線(896.4)も寸前のところ。この90日線がレジスタンスになるか、上抜けてサポートとなるか、10月相場の方向感を左右する重要な分岐点にも。上抜けて堅調推移となれば940ドルが次の重要な節目。これも上抜けると1000ドルの大台ラインが意識されるような展開につながる可能性。逆に反落へと押し戻されるようなら830ドル台が下方向への重要な節目。これを割り込めば6月安値圏800ドルの大台ラインが意識されるような展開にも。
ドル円は8銭のドル安円高、0.08%安となって6日ぶりの小反落。ペロシ米下院議長がムニューシン財務長官と週末に協議し、週明けも引き続き追加経済対策について話し合う予定が伝えられたことなども好感されて米株も一段高、リスク選好のドル安・円安の流れとなってドル円の値動きは限定的に。東京午後の105円20銭台が安値となり、NY朝にかけては円安優勢となって105円60銭台まで上昇。今年高値から徐々に上値を切り下げてきたレジスタンスラインにもちょうどぶつかる水準となり、目先は20日移動平均線(105.61)にも上値を押さえられる格好にも。短期トレンドはドル高円安方向への勢いが強まりつつあるものの、105円台後半が抵抗水準となり続けるようなら中期下落トレンド継続でいずれ反落へ。雇用統計などをきっかけに上方向へと抜け出し、106円30銭の節目も上抜けることになれば、中期下落トレンド終焉の可能性も。短期的には108円台前半が上値目標に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/28終値とチャート
29日の国内金価格は+81円、1.17%の反発。6900円の大台割れを回避、今年安値から最高値までの38.2%戻し(6901)にサポートされ、レジスタンスライン化が警戒された90日移動平均線(6931)も大きく上抜け。節目の6930円上抜けに伴う上値目安7000円の大台ライン付近にもほぼ到達。NY金が1900ドルの大台回復できるようなら追随する展開となり、7000円の大台を大きく超えて7100円付近も視野に。逆に反落の展開となって6900円の大台を維持できなくなった場合には7月末急騰前水準、6820円近辺までが下値目安にも。
プラチナ価格は+108円、3.41%の大幅高で3日続伸。7月22日(+112円、3.50%)以来、2ヵ月ぶりで今年6番めの急騰。23日の急落で同時に割り込んだばかりの90日移動平均線(3280)と200日移動平均線(3291)にも急接近。これらをまとめて上抜けできるようなら短期的な流れも好転へ、しかしレジスタンスラインとなるようなら、軟調推移継続を余儀なくされそうで下方向への重要なサポート3130円との攻防が再び意識されることにも。
※参考:
金プラチナ国内価格9/29とチャート
2020年09月29日(火)時点の相場
国内金:6,987 円 9/29(火)
▲81(
1.17%)
国内プラチナ:3,272 円 9/29(火)
▲108(
3.41%)
NY金:1,882.3 ドル 9/28(月)
▲16.0(
0.86%)
NYプラチナ:891.4 ドル 9/28(月)
▲49.4(
5.87%)
ドル円:105.53 円 9/28(月)
▼0.08(
0.08%)
9/28(月)のその他主要マーケット指標
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