ADP雇用5月は予想以上の急増もISMの雇用指数は低調
更新日:2021年06月04日(金)
5月のADP雇用統計が想定以上の好結果、97.8万人の増加は市場予想の1.5倍となり、ドル高急進となりました。雇用者数の伸びは4月雇用統計で期待を裏切ったことを考慮してか、今回の市場予想は控えめな数字が多いようで、今回はポジティブ・サプライズも警戒されそうです。
ISM非製造業景況指数も好結果となってドル高をサポート。5月は64.0。市場予想を上回り、3月(63.7)に続いて2ヵ月ぶりの過去最高更新となっています。
ただし、雇用指数は2年7ヵ月ぶり高水準となった4月の58.8から5月は55.3。3ヵ月ぶり低水準へと急低下。
製造業の雇用指数も同様に、3年ぶり高水準となった3月の59.6から4月には55.1、5月は半年ぶり低水準となる50.9へと続落で急低下となっていました。
地区連銀の製造業景況指数の雇用指数でも5月は同様の傾向が見られます。
リッチモンド連銀が4月の19から5月は25へ、2年9ヵ月ぶり高水準へと急騰した以外は低調。NY連銀が4ヵ月ぶり高水準となった4月の13.9から5月は13.6へと小幅に低下。フィラデルフィア連銀では過去最高となった4月の30.8から5月は19.3へと急低下、ダラス連銀でも過去最高となった4月の31.3から5月は22.7へと急低下、カンザスシティ連銀も同様に過去最高となった4月の29から5月は20へと急低下。
3日のNY金相場は-38.6ドル、1.92%の大幅反落で5月18日(1868.0)以来、2週間ぶりの安値。下げ幅としては2月26日(-46.6ドル、2.62%)以来3ヵ月ぶり、今年5番めの急落。時間外から米10年債利回りがゆるやかな反発基調となってドル高基調も追随、ユーロドルとともに軟調推移となって1900ドル割れ。ロンドン市場では1890ドル台で下げ渋ったものの、NY朝にはADP雇用の想定以上の好結果を受けて米10年債利回り急騰、ドル高急進となってユーロドルとともに急落。失業保険申請件数もコロナ後初めて40万件割れとなる好調ぶりを示し、5月28日安値1884.3ドルを割り込んだことでダブルトップ完成となって一段安、一時1866.7ドルまで下落。下値目安、3月安値から6月1日高値までの23.6%戻し(1861.2)近辺にもほぼ到達し、右肩上がりの20日移動平均線(1868.0)にサポートされてNY午後には1870ドル台へと小反発。雇用統計前にダブルトップ完成からの下値目安に到達し、過熱感解消と共に流れは調整局面入り。余程のネガティブ・サプライズとならなければ軟調気味の推移が予想される状況にも。目先の下値サポート候補は200日移動平均線(1847.1)から1840ドル近辺。高値再更新の場合には昨年8月最高値から今年3月安値の61.8%戻し(1930.3)近辺が上値目標。
NYプラチナは-30.2ドル、2.53%の続落で4月13日(1157.1)以来、1ヵ月半ぶりの安値。金に追随する展開で時間外から軟調推移、1200ドルの抵抗線手前からロンドン市場にかけて1180ドル台へと水準を切り下げていったんは下げ渋り。NY朝のADP雇用発表直後の急落局面では1170ドル台のサポートを割り込んで急落、一時1149ドルまで下落して下値目安1150ドル前後に到達。引けにかけては1160ドル台へと反発も、戻り売りの様相にも。目先は1150ドル前後の下値目安再トライの可能性と、NY金が一段安となって追随する展開となった場合には3月安値圏、1110ドルから1120ドル近辺までが次の下値目安にも。
ドル円は74銭程度のドル高円安、0.68%の大幅続伸で4月2日(110.71)以来、2ヵ月ぶりの高値。東京時間から欧州時間序盤までは米10年債利回り上昇に連れてゆるやかなドル高円安基調となって109円50銭台から80銭台まで上昇。欧州時間での一服状態をはさみ、NY朝にはADP雇用統計の好結果を受けて米長期金利急上昇にも連れてドル高円安急進、失業保険申請件数や5月ISM非製造業景況指数も好結果となったことで堅調推移継続、110円30銭台まで上昇。109円90銭の節目を突破しての一段高となり、雇用統計でもそこそこの好結果となればドル高の流れがもう少し続きやすくなり、短期上値目標は今年高値更新、昨年3月のコロナショック後の戻り高値111円台前半まで。109円40銭台が当面の下値サポートとなり、これを割り込むようだと流れは逆転、4月安値圏107円後半までが下値目安に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/3終値とチャート
4日の国内金価格は-97円、1.32%の大幅反落。下げ幅では2月26日(-114円、1.7%)以来3ヵ月ぶりで今年の平均騰落値幅42円の2.3倍、今年5番めの急落となり、5月26日(7232)以来7営業日ぶりの安値。雇用統計前に高値保ち合い上抜けかと思いきや、切り返して今度は下抜け。7280円台の下値サポート割れに伴う下値目安7220円程度まであと少しのところまで急落。小反発状態のNY金が雇用統計後に戻り売りとなって一段安へと向えば国内価格も若干のオーバーランも。当面の下値サポート候補としては5月末安値圏7140円台。今年高値再更新へと切り返すようなら上値目標は昨年8月最高値からの急落後の戻り高値7410円近辺。
週間ベースでは-61円、0.84%安となって3月後半以来、10週ぶりの反落。
プラチナ価格は-134円、2.92%の大幅安となって5日ぶりの反落。下げ幅としては3月5日(-138円、3.18%)以来3ヵ月ぶりで今年の平均騰落値幅62円の倍以上、今年5番めの急落。水準としては4月14日(4428)以来、1ヵ月半ぶりの安値。昨年11月16日以来、6ヵ月半ぶりに90日移動平均線(4485)を割り込み、4530円台のサポート割れに伴う下値目安、5月安値4460円近辺に到達して若干のオーバーラン。さらなる下値警戒水準としては3月後半安値圏4400円近辺。切り返して4580円台の抵抗水準を突破した場合には上値再トライ、4670円程度までを目指す流れにも。
週間ベースでは-90円、1.98%安で4週続落。4週続落は昨年8月以来、9ヵ月ぶり。
※参考:
金プラチナ国内価格6/4とチャート
2021年06月04日(金)時点の相場
国内金:7,238 円 6/4(金)
▼97(
1.32%)
国内プラチナ:4,448 円 6/4(金)
▼134(
2.92%)
NY金:1,873.3 ドル 6/3(木)
▼36.6(
1.92%)
NYプラチナ:1,162.5 ドル 6/3(木)
▼30.2(
2.53%)
ドル円:110.31 円 6/3(木)
▲0.74(
0.68%)
6/3(木)のその他主要マーケット指標
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