消費者物価は2ヵ月連続の上振れ、コアCPIは29年ぶり高水準
更新日:2021年06月11日(金)
米労働省が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年比+4.99%。市場予想の+4.7%程度を上回り、4月の+4.16%からも急騰。2008年8月(5.37)以来、12年9ヵ月ぶりの高水準。食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+3.80%。これも市場予想の+3.5%程度を上回り、4月の+2.96%からも一段と上昇。1992年6月(3.82)以来、28年11ヵ月ぶり、ほぼ29年ぶりのの高水準。
カテゴリ別ではウェイト14%を占める食品が前年比+2.2%で5ヵ月続落、1年2ヵ月ぶり低水準となった以外は上昇。ウェイト7%のエネルギー価格は6ヵ月続伸で前年比+25.1%の4月から5月は+28.5%と一段と急騰。
食品とエネルギーを除く商品価格はウェイト20.3%を占め、5月は前年比+6.5%。急騰した4月の+4.4%からさらに急騰。ウェイトでは58.8%を占めるエネルギー関連を除くサービス価格は前年比+2.9%。3ヵ月続伸で4月の+2.5%から一段高、コロナ前の2020年2月(3.1)以来、1年3ヵ月ぶりの高水準。
主要項目別では、ガソリン価格が前年比+56.2%と4月の49.6%を上回る伸びとなった他、中古車価格は+29.7%で4月の+21.0%からも上昇し、昨年秋から3月までの10%前後から急騰、2019年には1%前後から2%程度まででの推移と比較すると異常値が続く状態。
航空運賃も4月の+9.6%から5月は+24.1%とさらに急騰。自動車保険も4月の+6.1%から5月は16.9%へと一段と急騰。女性用アパレルはほぼ3年ぶりのプラス転換となって前年比+4.8%へと急騰。
その一方で賃貸住宅は近年(ここ3年余りで)最低の前年比+1.8%で3ヵ月連続横ばい。医療サービスも4月の+2.2%から5月は+1.5%。3ヵ月続落で近年最低水準。健康保険は4月の-3.0%から5月は-5.0%で3ヵ月連続の前年割れ、コロナ前の2020年2月(+20.7)をピークに1年3ヵ月続落。
現状を表す極端な結果となったようです。
なお、CPIもコアCPIも昨年4月と5月は指数自体が大幅低下していたことからもベース効果倍増でインフレ急騰となりましたが、昨年6月の指数は上昇に転じていることから、次月のCPIもそれほど極端な結果とはならないことも予想されます。
なお、「インフレ上昇は一時的」は織り込み済で米10年債利回りは同時発表の失業保険申請件数の好結果もあり、一時的に上昇で反応も即急反落となって1.5%割れ、1.44%台まで低下して3月2日以来3ヵ月ぶりの低水準に。
米株主要3指数は揃って上昇、S&Pは過去最高値更新、その結果VIX指数はコロナ後最低を更新、16.10となって2020年2月20日(15.56)以来の低水準となりました。
10日のNY金相場は+0.9ドル、0.05%の小幅続伸。2日合計でもわずか2ドル、0.1%の上昇。時間外は軟調推移、米10年債利回りが1.5%台回復へと上昇し、ドル高優勢となった流れを受けてロンドン市場にかけて1880ドル近辺、NY朝には1880ドル割れで米5月CPIの結果を受けて1871.8ドルまで小幅急落後に急反発。米10年債利回りが再び1.5%割れへと急反落し、ユーロドルやドル円が乱高下をはさんでドル安優勢の展開となったことを受けて1890ドル台まで急反発後にも堅調推移、NY引けにかけては1900ドルの大台を回復。結果的に高値保ち合いレンジ下限、1870ドル付近まで下げての急反発で下に行って来い、ただし1900ドル台では上値の重さも。FOMCまでは保ち合いレンジを維持して大台ライン付近での攻防が続きそうな様子も。引き続き下限割れなら短期下値目安は1840ドル台、上限超えなら目標1930ドル近辺。
NYプラチナは-5.8ドル、0.5%安となって3日続落。3月5日(1128.3)以来3ヵ月ぶり安値圏での一段安。時間外には金に追随しての軟調推移、短期下値目安1140ドル近辺に到達するとロンドン時間には下げ渋り。NY朝の米5月CPI発表後には一時1127ドルまで急落後、乱高下状態となって徐々に反発基調へ。NY午後には1140ドル台後半へと水準を切り上げるとNY引けにかけては1150ドル台を回復。長めの下ヒゲを残し、短期下値目安到達後の一服となって一定の自律反発が進行し始めた様子も。当面の抵抗水準は1180ドル、これを超えることができれば下落基調の20日移動平均線(1188.3)も上抜けて1200ドルの大台トライへも。
金との価格差は750.4ドルまで拡大、1月29日(771.1)以来4ヵ月半ぶりの水準。
ドル円は31銭のドル安円高、0.28%安となって3日ぶりの反落。東京朝の109円60銭台から午後には50銭台、欧州時間には40銭台へと揉み合い中心水準を徐々に切り下げ、NY朝には指標発表前に反転。109円50銭台に戻したところで失業保険申請件数の好結果、5月CPIの上振れを受けて109円70銭台へと急騰、一時109円80銭近辺まで上昇して力尽きた様子。米10年債利回りの急低下に連れてドル安の流れが強まると急騰前の水準ではいったん下げ渋るもNY終盤にかけては109円30銭台まで下落。水平状態の20日移動平均線(109.35)になんとかサポートされた格好にも。金融政策への思惑も一時タカ派方向へと振れつつあったムードは払拭されながら、ハト派方向へと切り返す訳でもなく、方向感が定まり難い状況にも。保ち合い上限を109円70銭に切り下げ、これを上抜けるといずれ今年高値圏110円70銭近辺を目指すような流れにも。下方向には109円20銭を完全に割り込むようなら下値目安は5月安値108円30銭台まで。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/10終値とチャート
11日の国内金価格は+20円、0.28%高となって3日ぶりの反発。しかし低下基調に入った9日移動平均線(7280)にも届かず、高値圏での小幅保ち合いを維持しながらの日柄調整は進行中。下限を7240円台に切り上げてレンジを縮小、下限割れの場合には5月末の急騰局面形成前の保ち合い水準7170円近辺までを短期下値目安に調整局面形成へ。9日線を超えて7290円の節目超えへと抜け出すことになれば日柄調整終了で高値再更新トライへ、短期上値目標は7350円近辺まで。
週間ベースでは+30円、0.41%の反発。
プラチナ価格は-4円、0.09%の小幅安で3日続落。3月26日(4407)以来2ヵ月半ぶり安値圏での軟調推移が継続。短期下値目安、3月後半安値圏4400円前後まで若干の下げ余地を残しながらも、NYプラチナの下値目安到達後の自律反発が続けば切り返す展開となる可能性も。上方向には4500円が当面の抵抗水準。この前後には上昇軌道が続く90日移動平均線(4513)、これを下抜けた9日移動平均線(4492)などが集中し、さらに上からは21日移動平均線(4543)も下降中。強めの抵抗水準となる可能性も。
金との価格差は2854円まで拡大、1月13日(2864)以来5ヵ月ぶりの水準に。
週間ベースでは-34円、0.76%安で5週続落。5週続落は2019年5月以来、2年ぶり。
※参考:
金プラチナ国内価格6/11とチャート
2021年06月11日(金)時点の相場
国内金:7,268 円 6/11(金)
▲20(
0.28%)
国内プラチナ:4,414 円 6/11(金)
▼4(
0.09%)
NY金:1,896.4 ドル 6/10(木)
▲0.9(
0.05%)
NYプラチナ:1,146.0 ドル 6/10(木)
▼5.8(
0.50%)
ドル円:109.32 円 6/10(木)
▼0.31(
0.28%)
6/10(木)のその他主要マーケット指標
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