雇用統計サプライズでドル高・金安、トレンド転換トライへ
更新日:2023年02月04日(土)
米1月雇用統計は、想定外のポジティブ・サプライズ。非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが市場予想の18.9万人程度に対して+51.7万人の大幅上ブレだけでもサプライズに、NFPなどの年次改定もあり、過去分も含めて上方改定。
さらにインパクトがあったのが失業率。3.6%の市場予想に対して結果は3.4%。
12月の3.5%は9月と7月と並び、コロナ前の最低水準となった2020年1-2月とも同じで近年最低水準となっており、もはや限界水準との見方もあり、今後上昇していくのもほぼ確実との予想は裏切られ、1969年5月以来、53年8ヵ月ぶり低水準。
なお、3.4%はFOMCでの経済予想において、12月も9月でも誰も予想しなかった水準。長期見通しレンジの下限でも3.5%。
リセッション懸念に伴う早期利上げ打ち止めと利下げ期待が高まる市場の思惑にも反する結果となり、インフレがしっかり低下するまでの利上げ継続サポート材料にもなり、米長期金利とドル高が進行、とともにNY金は急落の展開に。
11月以降続いてきたドル売り、金買いトレンドの転換点となった可能性も。
雇用統計でのその他の指標では、U6失業率は過去最低となった12月の6.5%から6.6%へと上昇。黒人の失業率は5.7%から5.4%へと急低下し、過去最低に。
労働参加率は62.4%で続伸、11ヵ月ぶり高水準に。高卒者の労働参加率も56.4%となって続伸で5ヵ月ぶり高水準。
賃金上昇率は前年比+4.43%となり、市場予想の+4.3%を上回るも12月の+4.81%からは低下し、2021年8月以来、1年5ヵ月ぶりの低水準。ただし、長期平均+2.96%を大きく上回る水準。
3日のNY金相場は-54.2ドル、2.81%の大幅安で3日続落。1月10日(1876.5)以来、3週間ぶりの安値。下げ幅としては昨年3月9日(-55.1ドル、2.7%)以来11ヵ月ぶり、下落率では2021年6月17日(-86.6ドル、4.65%)以来、1年8ヵ月ぶりの急落。アジア時間の1932.4ドルが高値となり、1930ドル近辺での小幅揉み合い推移からNY朝に雇用統計のポジティブ・サプライズを受けて急落。高値保ち合い下限1920ドル台の下方ブレイクに伴う短期下値目安1900ドル前後へと水準を切り下げると、一時的には保ち合いながらも米10年債利回り上昇とドル高の流れも止まらず、1月のISM非製造業景況指数の上ブレもあり一段安。NY午後には1880ドル割れ、NY引け後には1870ドル台後半で下げ渋りながらも1880ドルに抵抗感も。想定外の好結果を受けて短期下値目安を突き抜け、このタイミングでは想定し切れなかった行き過ぎ目安、1月初旬の高値圏で1月前半安値圏、1870ドル近辺にもほぼ到達。短期的には下値トライ一服の可能性も、11月以降の上昇トレンドをサポートしてきた20日移動平均線(1914.7)を大きく割り込み、短中期トレンド転換の可能性も。水準的には11月安値(1618.3)から2月高値(1975.2)までの38.2%戻し(1838.9)近辺までが当面の下値サポート候補。
週間ベースでは-52.8ドル、2.74%の大幅安で7週ぶりの反落。
NYプラチナは-52.3ドル、5.06%の大幅反落で11月4日(960.5)以来、3ヵ月ぶりの安値。アジア時間には一時1040ドル台まで上昇して前日高値手前で失速、1030ドル割れへ。NY市場では雇用統計を受けての金の急落に追随、下値サポート1000ドルの大台ライン近辺まで水準を切り下げていったんは下げ渋りの様相も、ISM非製造業景況指数の上ブレを受けての一段安でNY午後には980ドルまで下落。1000ドルの大台割れに伴う短期下値目安980ドル近辺に到達したことで下げ一服も、3ヵ月半ぶりに90日移動平均線(992.5)を下抜け、中期トレンド崩れの様相にも。短期的な行き過ぎと当面のサポート候補としては、9月安値(796.8)から1月高値(1117.0)の半値戻し(956.9)近辺。
週間ベースでは-36.5ドル、3.59%安で4週続落。4週続落は6月以来、7ヵ月ぶり。
ドル円は247銭のドル高円安、1.92%高となって4日ぶりの反発。1月11日(132.52)以来、3週間ぶりの高値。上げ幅としては今年の絶対値平均88銭の2.8倍、昨年6月17日(+2.77円、2.1%)以来、7ヵ月半ぶりの急騰。128円半ばでの揉み合い推移から、NY市場での雇用統計サプライズを受けて急騰。130円まで、1円50銭の急騰後も米10年債利回り上昇にも連れてジリ高推移、ISM非製造業景況指数が予想を上回ると一段高。NY午後には131円トライ、引けにかけても131円台を維持。11月以降の下落トレンドの上値抵抗線となってきた20日移動平均線(129.86)を大きく上抜け、130円半ばの抵抗水準も突破。やや浅めの二番底をつけて反発する形となり、底入れの可能性も示唆。一定の反発局面形成へと向かう確率は高まり、当面の上値目標は年初の高値圏134円近辺まで。
週間ベースでは+1.36円、1.05%高で3週続伸。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場2/3終値とチャート
2023年02月04日(土)時点の相場
国内金:8,662 円 2/3(金)
▼138(
1.57%)
国内プラチナ:4,584 円 2/3(金)
▲66(
1.46%)
NY金:1,876.6 ドル 2/3(金)
▼54.2(
2.81%)
NYプラチナ:980.3 ドル 2/3(金)
▼52.3(
5.06%)
ドル円:131.19 円 2/3(金)
▲2.47(
1.92%)
2/3(金)のその他主要マーケット指標
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