ディスインフレも一時的、パウエル議長は利上げ再加速へ
更新日:2023年03月08日(水)
2月FOMC後の会見での「ディスインフレ」宣言から1ヵ月、パウエルFRB議長は潔くこれを撤回。半期に一度の上院銀行委員会でパウエルFRB議長は「利上げペースを加速させる用意」があることを明言。ターミナルレート上方修正への可能性も示唆したことで市場は素直に金利急騰、ドル高で反応。ある程度は事前に織り込みながらも、その範囲内にはとどまらなかったことを示す反応となり、株価や金は急落の展開に。
この後、CMEフェドウォッチでは3月FOMCでの0.5%利上げ見通しが72%へと跳ね上がり、5月、6月にも0.25%の利上げが50%超。ターミナルレートは6月に5.50-5.75%(中央値5.625%)へと引き上げられ、これを2023年末まで維持する可能性が高まりました。
なお、初回利下げは2024年1月が優勢との見込み。
前回、12月FOMCでの23年末中央値5.125%との乖離幅は+0.50%。これが3月FOMCでのボーダーラインにも。
ただし、その前に今週末の雇用統計、次週CPIなどの発表も控え、状況は急転しないとも限りません。
昨年は「インフレは一時的」との見解を続けながらも春に撤回。今年春には「ディスインフレが一時的」だったことを示す発言。これも撤回する可能性もまだ、否定はできません。
7日のNY金は-34.6ドル、1.87%の大幅下落で2月24日(1817.1)以来の安値。下落幅としては今年の絶対値平均10.5ドルの3.3倍、1月雇用統計のポジティブ・サプライズを受けて急落した2月3日(-54.2ドル、2.81%)以来、1ヵ月ぶりで今年2番めの急落。その日以降、予想外の好結果が続いた米経済指標とインフレ関連指標の高止まりを受けてのパウエルFRB議長の議会証言の日に一段安。先週1850ドル台の節目を上抜けて短期上値目標1880ドル付近を目指した流れは週末の1860ドル台半ばまでにとどまって腰折れ。この日もロンドン序盤に1850ドル台後半が高値となって戻り売り、NY朝にかけて1840ドル割れ、パウエル議長の上院での議会証言は予想どおりタカ派的。サプライズとは言えないものの、市場反応はドル高、株安とともに金売り。一段安となってNY引け後には1820ドル割れ。結果的に20日移動平均線(1850.5)に上値を押さえられての急落で90日移動平均線(1818.2)にいったんは下値を支えられた格好。これを維持できなくなり、1810ドル台の節目割れとなれば2月の下落基調再開、短期下値目安は12月半ば安値圏1780ドル台まで。
NYプラチナは-42.3ドル、4.32%の大幅続落。2月24日(907.9)以来の安値となり、下落幅は今年の絶対値平均14.5ドルの2.9倍。これも2月3日(-52.3ドル、5.06%)以来、1ヵ月ぶりで今年2番めの急落。NY朝までに950ドル台へと水準を切り下げ、パウエル議長の議会証言後に930ドル台へと一段安。950ドル台の節目上抜けに伴う短期上値目標990ドル近辺到達後の一服をはさんでの急落となり、20日移動平均線(951.5)と200日移動平均線(948.3)も下抜け、今年安値となった2月末安値(903.9)から3月高値(986.3)の61.8%戻し(935.4)を達成。一服感も、NY金の一段安に追随すると900ドル台の今年安値維持をかけた攻防にも。これを割り込んで今年安値更新となれば短期的には860ドル近辺までが下値目安に。
ドル円は123銭のドル高円安、0.9%の大幅続伸で12月15日(137.80)以来、3ヵ月ぶりの高値水準に。東京市場では136円近辺での小幅揉み合い推移、欧州時間には135円50銭台まで下押し後に反発基調へ。NY市場では136円20銭台まで上昇してパウエルFRB議長の議会証言へ、利上げペース加速示唆も市場の受け止めは想定の範囲内にはとどまらなかったようで、米長期金利急騰とともにドル高急進。136円80銭台へと急騰後もNY終盤にかけて137円台へ、今朝の東京市場では一時137円50銭近辺まで上昇。136円台後半の節目を突破し、高値保ち合い上抜けの形となり、もう一段上値を伸ばす可能性。目先は200日移動平均線(137.40)との攻防状態となり、これを突破できれば138円付近までが短期上値目標に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/7終値とチャート
8日の国内金価格は-53円、0.6%の続落。過去最高値圏でのトリプルトップに迫る8839円まで急騰した後は、過去のピークアウト後の展開と同様に急反落局面を形成。当面の抵抗水準となる8840円での上値の重さを受け止めての急反落局面形成で調整目安候補、2月安値(8605)から3月高値(8839)の38.2%戻し(8750)近辺に到達し、9日移動平均線(8746)にいったんはサポートされた格好。下げ止まれないようだと61.8%戻し(8694)から21日線(8690)辺りがサポート候補に。
プラチナ価格は-139円、3.01%の大幅安となって7日ぶりの反落。2月28日(4447)以来、1週間ぶりの安値。下げ幅としては今年の絶対値平均49円の2.8倍で今年最大、昨年9月26日(-191円、4.23%)以来半年ぶりの急落。4600円の大台回復をわずか1日で終えると9日移動平均線(4501)を割り込んで4500円の大台割れ。急速に進行する反発局面からの巻き戻しの流れは水平状態の21日移動平均線(4428)辺りでサポートされるかどうか。
※参考:
金プラチナ国内価格3/8とチャート
2023年03月08日(水)時点の相場
国内金:8,749 円 3/8(水)
▼53(
0.60%)
国内プラチナ:4,475 円 3/8(水)
▼139(
3.01%)
NY金:1,820.0 ドル 3/7(火)
▼34.6(
1.87%)
NYプラチナ:936.3 ドル 3/7(火)
▼42.3(
4.32%)
ドル円:137.17 円 3/7(火)
▲1.23(
0.90%)
3/7(火)のその他主要マーケット指標
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