賃金上昇率とCPIの下げ渋りで実質賃金は上げ渋り
更新日:2024年01月11日(木)
米CPIは2023年初旬の前年比+6%台から4%台、年後半には3%台へと急低下。
一方で、平均時給の賃金上昇率は2022年の前年比+5%台から2023年には4%台、年後半には4%台前半へとゆるやかに低下。
低下スピードの差により、2023年5月には賃金上昇率とCPIとが逆転。前年比伸び率ではCPIが賃金上昇率を下抜け、賃金上昇率-CPIで算出する実質賃金上昇率は+0.29%へ。
実質賃金上昇率のプラス転換は2021年3月以来、2年2ヵ月ぶり。
実質賃金上昇率は翌6月には前年比+1.44%へと急騰。しかし、8月以降は1%割れへと低下、11月時点でも+0.89%と上げ渋り。
食品とエネルギー関連を除いたコアCPIとの関係性(賃金上昇率-コアCPI)では、2023年9月に+0.1%へ。2021年11月以来、1年10ヵ月ぶりにプラス転換。しかし10月には+0.07%、11月は+0.02%とほぼ0%付近での均衡状態。
12月のコアCPIが市場予想どおり+3.8%程度へと一段と低下なら、コアCPIでの実質賃金上昇率も+0.3%程度へと上昇。
11月から変わらず+4%程度で横ばい推移となった場合には実質賃金上昇率は+0.1%程度にとどまり、+4.1%超へとサプライズ上昇なら実質賃金上昇率はマイナス圏へと逆戻り。
コアCPIとの関係性で見た場合の実質賃金上昇率は現状、プラス転換をかけた攻防状態にあります。
10日のNY金は-5.2ドル、0.26%安で4日続落。12月13日(1997.3)以来、4週間ぶり安値圏で下げ止まらず。アジア時間には2030ドル台半ばから2030ドル割れを試して切り返し、米10年債利回り低下とドル安局面に連れ、ロンドン市場では一時2040ドル台半ばまで反発。しかし20日移動平均線(2048.0)と2050ドルの節目付近では失速、NY市場では米10年債利回りの下げ渋りとドル高基調に押されて2030ドル割れへ。米12月CPIの結果次第では下げ渋る展開も予想されるものの、インフレ鈍化が予想よりも進展せず、早期利下げ観測後退となれば一段安へ。2040ドルの節目割れに伴う短期下値目安は2000ドルの大台付近まで。
NYプラチナは-13.9ドル、1.47%安で3日続落。12月13日(922.1)以来、4週間ぶり安値圏での一段安。アジア時間には940ドル近辺から小幅に上下動、ロンドン序盤につけた高値は950ドル手前。前日下抜けた950ドルの節目がサポートからレジスタンスに切り替わった格好となり、戻り売りとなってNY市場では930ドル割れへと急反落。安値では920ドル台半ばまで下落し、950ドルの節目割れに伴う短期下値目安920ドル近辺にもほぼ到達した格好。短期的には一服となりやすい状況も、CPI後にNY金の下げ幅拡大に追随といった展開となった場合、12月安値圏890ドル近辺までが意識される可能性も。
ドル円は127銭のドル高円安、0.88%の続伸で12月11日(146.19)以来、1ヵ月ぶりの高値。下ヒゲ陽線となった前日の流れを継承する格好となって堅調推移、東京朝の144円30銭近辺が安値となり、日経平均の大幅上昇にも連れて144円70銭の節目を突破すると午後には144円90銭台まで上昇。欧州時間にかけて145円ラインとの攻防が続き、これを突破したNY市場では上値トライ再開、NY午後には145円半ば、高値では145円80銭台まで上昇。CPIの結果を待たずして反発局面再開、144円70銭の節目上抜けに伴う短期上値目標145円台後半にも到達。CPI確認後に一段高へと向かうようなら、11月高値(151.91)から12月安値(140.26)の38.2%戻し(144.71)を上抜けていることから半値戻し(146.09)近辺が意識される可能性。下値サポートは144円20銭、これを割り込むようなら20日移動平均線(142.98)近辺までが下値目安に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/10終値とチャート
11日の国内金価格は+57円、0.55%の続伸。今年高値となった1月5日(10398)以来の高値水準を回復。上昇軌道の9日移動平均線(10314)にサポートされて反発局面継続、9日線自体も21日移動平均線(10293)を上抜けて強気相場回復トライへ。21日線が下げ止まれば今年高値更新トライへ、10400円の節目上抜けなら10450円程度までの一段高へ。少し勢い付けば12月高値(10819)から12月安値(10115)の半値戻し(10467)にも。下値サポートは10310円に切り上げ、これを割り込むようだと10250円程度までの巻き戻しにも。
プラチナ価格は-39円、0.83%安で4日続落。12月12日(4649)以来、1ヵ月ぶりの安値水準に。4770円の節目割れに伴う短期下値目安4700円の大台近辺到達後も下げ止まらず、90日移動平均線(4722)回復トライへと向かうことなく、そのまま一段安。次の下値警戒水準4650円近辺にも急接近。中期的には三角保合い継続中、下値サポートまで行くと仮定するなら4600円前後まで。
※参考:
金プラチナ国内価格1/11とチャート
2024年01月11日(木)時点の相場
国内金:10,381 円 1/11(木)
▲57(
0.55%)
国内プラチナ:4,662 円 1/11(木)
▼39(
0.83%)
NY金:2,027.8 ドル 1/10(水)
▼5.2(
0.26%)
NYプラチナ:929.6 ドル 1/10(水)
▼13.9(
1.47%)
ドル円:145.75 円 1/10(水)
▲1.27(
0.88%)
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