米実質賃金上昇率は中央値比較でもプラス圏推移本格化
更新日:2024年03月19日(火)
アトランタ連銀が発表した2月の賃金上昇トラッカー(個人時給中央値の前年比3ヵ月平均)は+5.0%。2年1ヵ月ぶり低水準となった1月から変わらず横ばい推移。
雇用統計での平均時給が前年比+4.3%近辺で下げ渋る状況に一致。
なお、転職者の賃金上昇率は+5.3%となり、2021年12月(5.3)以来、2年2ヵ月ぶりの低水準。これに対して非転職者の賃金上昇率は+4.7%。2023年11月に+4.6%まで低下して2021年12月(4.1)以来1年11ヵ月ぶり低水準となって以降は下げ渋り。
また、プライムエイジ(25-54才)の賃金上昇率は+5.4%。1月から変わらず横ばい推移。2023年11月時点で+5.4%となって2021年12月(4.9)以来、1年9ヵ月ぶり低水準となり、12月にはいったん+5.6%へと反発後の下げ渋り。
賃金上昇率は、ゆっくりと低下傾向が続く状況も確認できるものの、微妙に下げ渋りの兆しも見られる状況に。
平均時給の賃金上昇率からCPIを差し引いて算出した実質賃金上昇率では、2月は前年比+1.13%。2023年5月にプラス転換後、6月以降は+1.0%前後での推移が9ヵ月連続継続中。
賃金上昇トラッカーからクリーブランド連銀発表のメディアンCPIを差し引いて算出した、中央値での実質賃金上昇率は、2月は+0.42%。2023年10月にプラス転換後では最大、小幅ながら5ヵ月連続でプラス圏推移。
賃金上昇率の下げ渋りとインフレ鈍化進行で実質賃金上昇率もプラス転換してなお、徐々に上昇基調が継続中。
実質賃金上昇が個人消費を下支え、堅調な個人消費が需要好調を下支え、好調な需要がインフレを牽引、下げ渋りへ。インフレ下げ渋り懸念が賃金上昇率を下支え。
この微妙なバランスが徐々にインフレ鈍化進行への阻害要因となり、インフレ高止まり懸念、そして利下げ先送り懸念へとつながりそうな状況にも。
週明け18日のNY金は+2.8ドル、0.13%の小幅高で3日ぶりの反発。軟調推移となった時間外序盤は2160ドルの節目との攻防からスタート、これを割れると2150ドル近辺へと急落。ただ、2150ドル割れでは下げ渋り、3月6日(2131.9)以来の安値圏で切り返し。ロンドン・NY朝には2160ドルの節目を回復し、高値では2160ドル台後半までにとどまったものの、NY市場でもほぼ2160ドル台を維持してNY引けにかけては2160ドル台半ばへ。上下18ドル程の小動きとなったなかでも下ヒゲを残して下げ渋り、2160ドルの節目割れを回避、上値切り下げの構図を維持しながらも高値保ち合い継続へ。引き続き2160ドルの節目割れなら2140ドル程度までの下値切り下げ、FOMCでの利下げ見通しが大きく後退するなどした場合には2100ドル近辺までの下げも想定されそうな状況にも。
NYプラチナは-22.3ドル、2.36%の反落。週明け時間外序盤に940ドル割れへと水準を切り下げると、ロンドン・NY朝にかけて930ドルの節目割れへ。一度は下げ渋ってNY朝に930ドル台へと反発も、戻り売りとなって920ドル割れをかけた攻防状態に。NY午後には920ドルをなんとか維持しながらもNY引け後には920ドル割れへ。週末に上ヒゲでつけた高値960ドル付近が3月前半の上昇局面のピークとなった可能性が高まり、上昇トレンド崩れとなって反落局面形成へ。930ドルの節目割れに伴う短期下値目安は900ドルの大台前後まで。反発方向へは950ドルが当面の上限に。
ドル円は10銭のドル高円安、0.07%高で5日続伸。3月6日(149.41)以来の高値水準。5日続伸は11月以来、4ヵ月ぶり。東京市場スタートとともに日経平均の大幅高にも連れる格好となって148円90銭台から149円30銭台まで急上昇。これがこの日の高値となり、反落後の148円90銭近辺がこの日の安値。東京午前の時間帯に高値と安値をつけると午後から欧州・NY時間にかけて微妙にレンジを縮小し、149円10銭台近辺に収束。日銀政策会合とFOMCを控えて動き難い状況にもなったこの日の変動値幅は42銭、今年の平均1.08円の4割弱で今年2番めの小動き。マイナス金利解除を織り込んだ日銀の結果に対してはサプライズもほぼ見込まれず、値動きは限定的か。その後のFOMC動向にらみで利下げ慎重姿勢を見越してドル高円安方向へと動きやすい状況か。20日移動平均線(149.37)を上抜けると150円回復トライへ、150円60銭が当面の抵抗水準、これも上抜けるようだと151円90銭台の2022-3年高値更新トライへ、152円台後半を目指す流れにも。下方向へは90日移動平均線(147.29)が当面のサポートに。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/18終値とチャート
19日の国内金価格は+30円、0.27%の続伸で2日連続、今年9度めの過去最高値更新。11280円の節目上抜けに伴う短期上値目標11350円近辺にもほぼ到達した格好となり、一服感とともに日米金融政策会合の動向を見守る状態に。祝日明けには双方の金融政策変更結果と見通しを反映する形となり、場合によってはそれなりの変動幅拡大への警戒感も。上方向に多少の行き過ぎとなれば11370円近辺が次の目安に、短中期的な目標水準としてはN計算値から11422円辺りまで。浅めの下値サポートとしては9日移動平均線(11276)近辺、比較的重要な節目として11200円。これを割り込むようだと11110円近辺までが調整目安に。
国内プラチナ価格は-105円、2.17%の反落で3月13日(4738)以来、1週間ぶりの安値。上下動を繰り返しながら上値も下値も切り上げる上昇トレンドの下落局面で、勢い余って下値を切り下げ過ぎて短期上値目標4870円近辺を目指した12月高値上抜けトライには失敗。4770円の節目を割り込んでしまったことでトレンド崩れへの可能性が高まる状況に。短期的には4700円の大台近辺までを目安に一段安の展開へ。意外と4850円超へと切り返す展開となれば上昇トレンド再開、12月高値を突破して11月高値圏4920円近辺を目指す流れにも。
※参考:
金プラチナ国内価格3/19とチャート
2024年03月19日(火)時点の相場
国内金:11,344 円 3/19(火)
▲30(
0.27%)
国内プラチナ:4,738 円 3/19(火)
▼105(
2.17%)
NY金:2,164.3 ドル 3/18(月)
▲2.8(
0.13%)
NYプラチナ:921.2 ドル 3/18(月)
▼22.3(
2.36%)
ドル円:149.17 円 3/18(月)
▲0.10(
0.07%)
3/18(月)のその他主要マーケット指標
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