金プラチナ短期相場観
ドル円と米10年債金利との関係と金相場
更新日:2014年5月8日(木)
最近のドル円と米10年債金利との相関関係は、ほぼ常に強い関係にあります。米10年債が買われることで金利が低下し、これに連れてドル円相場も低下し(ドル売り円買い傾向に)、金利が上昇するとドル円相場も上昇(ドル買い円売り)という流れがここ最近のトレンドとなっています。
今年に入って3%付近から2%台半ばへと急低下した米10年債金利の今年最低は2月3日の2.576%。105円付近から急低下していたドル円相場はこの時100.97円。その後は米10年債金利は2.6%から2.8%近辺まで、ドル円は101円から103円(一時的に104円)近辺でのレンジ推移が続きます。そして現在の10年債金利は再び今年安値圏となる2.5878%。しかしドル円は昨日の101.68円からやや反発。2月3日の安値水準の時と比べ、ややドル円の下押し度合いは弱め。
よく見ると、ドル円のほうがわずかに下値を切り上げて、ドル高円安方向へとレンジを切り上げたがっているような動きにも見えます。しかし低迷する米10年債金利の動きからは決別することができず、どっちつかずのレンジ推移が続く様子。
なぜ、低金利状態が続くのか?
昨日、イエレンFRB議長は、今年の成長率は昨年から加速しており、第1四半期の景気鈍化は一時的なものであることなどと発言し、米経済が上向きであることを明言しています。景気が上向けば、リスクを取りやすくなり、米国債が売られてリスク資産へと流れが傾きます。米国債が売られることで金利も上昇傾向となります。昨年の流れがそうでした。
しかし一方では、労働市場や住宅市場の回復は低迷し、依然懸念材料であること、だから金融緩和を継続する、とも、イエレン議長は言及しています。
景気回復傾向は進んではいるものの、全てが順調ではないことがクローズアップされ始め、タカ派ともハト派とも言い切れないようなどっちつかずの不透明感が、とりあえず安全資産である国債へと向かいやすい流れを助長しているように思われます。
いずれは懸念材料も払拭され、将来の利上げフェーズを期待したドル買いが始まるのでしょうが、今しばらくは、どっちつかずの米10年債金利の低迷状態に足を引っ張られる状況が続きそうです。
この影響で、ドル円と逆相関の関係にある金相場も、1,300ドルを中心としたレンジで、どっちつかずの状態が続く可能性も高そうです。
NY市場、金相場は1.51%の大幅続落。1,315ドルの高値から30ドルほど、一方的に下落する展開。プーチン大統領のウクライナ危機脱却に向けての協議準備など情勢悪化懸念緩和ムードにより1,300ドル近辺へと下落した後、イエレン米FRB議長による今年の米経済成長を肯定する発言を受けてさらに下落。対立する米露要人の言動を受けて反発の勢いを強めていた金の勢いが削がれた格好。上方向へのモメンタムは低下したものの、1,280ドルのサポートラインでは下支えされ、きっかけ次第で1,330、1,360ドルまでの上値余地。
プラチナ相場も1.6%の大幅安で4日ぶりの反落。ウクライナリスク緩和に伴い、世界2位のプラチナ産出国ロシアからの供給懸念も緩和され、金に追随する形に。1,400ドルから1,460ドルまでのレンジ内推移が継続、流れはわずかに上向き。
ドル円は4日ぶりに0.21%の小反発。プーチン発言に101円80銭台へ、イエレン発言が始まると一時102円まで上昇。しかし102円台では上値も重い状態、ブレイクしたばかりの102円10銭台のサポートラインがレジスタンスラインとなり、100円30銭近辺までの円高リスクを抱える状況。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/7終値とチャート
国内金価格は前日の大幅上昇をほぼ帳消しとする1.16%の大幅反落。少しづつ上値を切り下げる流れが継続し、9-21日移動平均線もゆるやかに下落傾向。4,580円をレジスタンスラインに揉み合い傾向のなか最大4,440円近辺までの下落リスク。
プラチナも0.99%の大幅反落。しかし、抵抗線となっていた5,020円で下げ止まり、この付近でサポートされる可能性も。金とは逆に少しづつ下値を切り上げる流れが継続。勢いの強さは見られないものの5,140円程度までの上値余地。4,990円のサポートライン割れなら急落注意。
※参考:金プラチナ国内価格5/8とチャート
- 2014年5月8日(木)時点の相場
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国内金 : 4,526 円 5/8(木) ▼53(1.16%) 国内プラチナ : 5,020 円 5/8(木) ▼50(0.99%) NY金 : 1,288.9 ドル 5/7(水) ▼19.7(1.51%) NYプラチナ : 1,434.8 ドル 5/7(水) ▼23.3(1.60%) ドル円 : 101.90 円 5/7(水) ▲0.22(0.21%)
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