金プラチナ短期相場観
好調示す米経済指標vs地政学リスク
更新日:2014年8月6日(水)
パレスチナ・ガザでのイスラエルとハマスの紛争が72時間停戦に入ると、今度はウクライナ情勢に怪しい動き。
米欧の対ロシア追加制裁に対して、プーチン大統領は、欧州航空会社のシベリア上空飛行禁止などの報復措置の準備を進め、「政治によって経済に圧力をかけることは容認できない」と、やや強硬姿勢に転じた可能性も。
さらにポーランド外相による「ウクライナ国境付近にロシア軍が集結し、侵攻の可能性が高まっている」などの警告もあり、にわかに緊張感が高まった様子。
5日には7月の米ISM非製造業景況指数が発表され、好不況の分かれ目となる50を大きく上回る58.7となり、2005年12月以来の高水準となったことを受けて株価も堅調推移、ドル高の流れも加速、金は軟調となっていたにもかかわらず、その数時間後にはポーランド外相発言が伝わり流れが反転。
このところ、米経済指標の好結果が続き、米経済の回復基調が鮮明となっています。しかし、米金融政策正常化への流れが加速するのではないか、利上げ時期も前倒しへ?との観測が台頭しそうになる度、それを打ち消すように、イエレンFRB議長から「ゼロ金利当面継続」フレーズが発せられます。そうでない時は、必ずと言っていいほど、地政学リスク台頭によって流れがねじ曲げられます。
地政学リスクとイエレン議長が交代で、市場の行き過ぎにブレーキをかけるのが、今年ここまでのトレンドとなっているようです。
5日のNY市場、金相場は0.28%の小幅続落。ポーランド外相によるウクライナ情勢警告報道を受けてリスク回避地合いが強まり、株価急落、円買いの流れが加速。1,280ドル台前半まで下げていた金は1,290ドル台半ばまで急騰。しかし1,290ドル台半ばでは抵抗感が強まる傾向にあり、上値も限定的。1,280ドルから1,300ドル台のレンジが意識されるなかで上値の重い状態が継続。
プラチナ相場は0.73%の反落。6月16日以来、約2カ月ぶりの90日移動平均線割れとなり、1,440ドル近辺の下値目標水準も射程圏内に。ただし右肩上がりの90日移動平均線や200日移動平均線に支えられる中期上昇トレンドが維持されるなら、90日移動平均線を下回る期間はそれほど長くはないことに。
ドル円はまたも、横ばい推移状態。欧州時間以降、ユーロ売りドル買い傾向が強まると同時にドル円でもドル高傾向となり、ISM非製造業景況指数の好結果を受けて102円90銭台まで上昇。しかし103円ちょうど付近の壁は予想以上に厚く、地政学リスク懸念もあって、またも102円台半ばへと押し戻される展開。103円台半ばまでの上値余地を残す状況、あと数回は103円台トライ継続か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/5終値とチャート
6日の国内金価格は前日比+5円。上値を切り下げて下値も切り上げる三角保ち合いの状態がほぼ頂点付近に到達。4,500円近辺を目標水準とした下落トレンドの進行中に形成した三角保ち合いを下放れると、目標水準をオーバーランする可能性も。4,530円台を下抜けた場合、4,400円台前半まで下値余地拡大の可能性。上方向には4,590円を抜けると4,600円台後半へと向かう可能性も。
プラチナは0.48%反落。5,140-50円付近での下限形成に失敗、下値メド5,100円近辺へと向かう流れが再加速する可能性。右肩上がりの90日移動平均線が5,095円まで上昇し、目標到達後のサポートライン候補に。
※参考:金プラチナ国内価格8/6とチャート
- 2014年8月6日(水)時点の相場
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国内金 : 4,554 円 8/6(水) ▲5(0.11%) 国内プラチナ : 5,136 円 8/6(水) ▼25(0.48%) NY金 : 1,285.3 ドル 8/5(火) ▼3.6(0.28%) NYプラチナ : 1,455.9 ドル 8/5(火) ▼10.7(0.73%) ドル円 : 102.59 円 8/5(火) ▲0.03(0.03%)
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