金プラチナ短期相場観
年内利上げ再確認でドル買い金売り進行、プラチナは一段安へ
更新日:2015年7月16日(木)
第3四半期最初の指標、7月の米NY連銀製造業景気指数は3.86。市場予想の3.25を上回り、3月以来4カ月ぶりの水準に上昇しました。
新規受注が前月の-2.12から-3.5へと更に悪化し、雇用や仕入れ、出荷なども低下してはいますが、販売価格や労働時間などは上昇し、半年後の見通しも4ヵ月ぶり低水準となった6月からは上昇。それほど良い状況とは言えませんが、低調だった第2四半期から、第3四半期にかけての回復傾向を示す状態とはなっています。
同じ時間に発表された6月の卸売物価指数も市場予想を上回り、少し遅れて発表された6月の鉱工業生産に設備稼働率も予想上振れ。注目度はそれほど高くはないものの、複数指標全てが好結果となり、前日発表の小売売上高のマイナスポイントをリカバーするようなイメージにはなりました。
米国経済の回復基調とこれに伴う利上げに向けての後押し材料となったのは、一連の経済指標発表と同時に公表されたイエレンFRB議長の議会証言原稿。内容的には従来からブレず「年内の利上げが適切」となるであろうこと、雇用と経済の改善に向けて見通しは良好であり、ほとんどのFOMCメンバーが段階的な引き締めを予想していることなども述べられ、改めて年内の利上げを再確認。
さらに、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も「9月利上げも妥当」発言、クリーブランド連銀・メスター総裁の「米国経済は利上げに対処可能」など相変わらずのタカ派発言に加え、米WSJ紙のFEDウォッチャー・ヒルゼンラス氏の「FRBは9月利上げに傾斜」の可能性指摘なども加わり、利上げ前倒しムード再燃の兆しも。
時期はともかく、年内利上げに向けた追い風を受け、ドル買い円売りの流れ再加速の兆しも見せ始めています。と同時に、金は売り傾向が強まる兆し。急落局面一服状態のプラチナは、再び急落に向けた分岐点を通過しつつあるようです。
15日のNY金相場は0.53%安で5日続落。7月のNY連銀製造業景気指数と6月卸売物価指数の上振れとイエレンFRB議長の議会証言原稿公開とが重なったタイミングで水準を切り下げ、今年最安値となった3月17日(1141.6ドル)以来4カ月ぶり安値水準となる1141.9ドルまで下落。終値では年初来安値を更新し、昨年11月6日(1142.6)以来の安値水準。底堅さも見られていた1150ドルのサポートラインを終値で下抜けてしまったことで、一段安へと向かう可能性が拡大。当面の下値目標は昨年最安値、11月7日の1130.4ドル付近。
プラチナ相場も0.65%の続落。金に連れ安となった場面では今年最安値(7月8日の1010.9ドル)に迫る1014ドルまで下落し、終値時点では1020ドル台回復も今年安値を更新。終値ベースでは1020ドルの重要サポートラインを維持した形も、片足踏み外した状態。今朝も再び1020ドル割れ水準をうかがう軟調推移気味となっており、このまま1020ドルをしっかりと回復できないようなら再び大幅安の可能性。N計算値で算出する当面の最大下落メドとして、7月1日から9日までの下落幅64.5ドルが7月13日の1036ドルを起点に再下落と想定、結果、目標水準は970ドル台へ。
ドル円は0.31%の反発。年内利上げ濃厚を再確認すると123円50銭付近から80銭近辺へと水準を切り上げ、6月26日以来半月ぶりのドル高円安水準へ。124円が目先の抵抗水準となり、上値はまだ限定的ながら、ドル高円安方向へと再び動き始めた様子。125円台半ばを目標水準に上昇トレンド加速の気配。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/15終値とチャート
16日の国内金価格は0.26%の小幅続落。円安再開の兆しに合わせてNY金も軟調推移へと動き始めたことにより、トレンド転換失敗。国内価格のサポート力も弱まり、一方的な反発基調は想定し難い状況となり、やや揉み合い色も強まる傾向に。それでも目先の抵抗水準4920円台を超えると4980円近辺までの反発余地。4820円台は重要なサポート水準に。
プラチナも0.3%の小幅続落。今年の続伸記録は5日続伸が最高で2回のみ。昨年の6日続伸や2013年の11日続伸など時折り一方的な流れとなるプラチナ相場も今年の値動きは限定的。7月9日の4279円から3日続伸で4412円までの上昇率は3.1%。今年2回の5日続伸での上昇率は2.62%と3.57%。今年に限って見れば3.1%の上昇はほぼ限界水準だったことに。4410円台が当面の上値抵抗線となって揉み合い形成濃厚に。
※参考:金プラチナ国内価格7/16とチャート
- 2015年7月16日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,893 円 7/16(木) ▼13(0.26%) 国内プラチナ : 4,363 円 7/16(木) ▼13(0.30%) NY金 : 1,147.4 ドル 7/15(水) ▼6.1(0.53%) NYプラチナ : 1,021.7 ドル 7/15(水) ▼6.7(0.65%) ドル円 : 123.76 円 7/15(水) ▲0.38(0.31%)
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は早るドル高を適度に調整 7/17(金)
年内利上げ再確認でドル買い金売り進行、プラチナは一段安へ 7/16(木)
予想以上に悪くないドイツの景況感、予想以上に弱い米国の消費 7/15(水)
ギリシャ問題先送りによるグレグジット回避にアグリークメント 7/14(火)
執行猶予72時間、市場期待に逆行の週明けは3週連続で終止符へ 7/13(月)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン