金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

「実効為替レートはこれ以上円安にならない」水準で円安巻き戻し

更新日:2015年7月22日(水)

6月10日に黒田日銀総裁が「実質実効為替レートはこれ以上円安にならない」と発言した時の為替レート1ドル=124円台半ばの水準がドル円の上値抵抗水準となり、円安の流れが巻き戻されています。
当時、その2日前の8日にはオバマ大統領も「強いドルは問題」と発言したとの報道(後に否定)もあり、日米のドル高円安けん制発言と受け止められ、10日には122円台半ばまで大幅急落すると、その後も円高基調が120円台まで続くことになりました。
実質実効為替レートの長期推移では、ドル高円安基調が進行していることが確認できましたが、短期的な推移はどうなっているのでしょう。
日々の実効為替レート2015年推移 2015年7月BOE(英中銀)が公表している日々の実効為替レートで最近の動向をチェックしてみます。公開データは1990年の平均を100とした指数で表されており、これを便宜上2014年末数値を100に換算、指数化して2015年の円、ドル、ユーロの推移を比較。

一連のけん制発言のあった6月8日から10日頃は、日本円は底値の時期。歴史的円安水準にある今年のなかでも最も円安な時期でした。
黒田総裁の言う通り、あれ以上の、円安にはなっていないことがわかります。
また、7月初旬にはギリシャ懸念などを受けて、突発的に円高・ドル高・ユーロ高となっていたことも示されています。

なお、米国の景気減速の要因とされたドル高は3月から4月にかけてピークとなり、5月にはやや緩和されました。しかし、足元では再びドル高の流れが加速し、今年のピーク水準に近づいていることが示されています。

現在のドル円反落の流れは、円安懸念によるものではなく、ドル高懸念によるところが大きい状態です。この影響で金も軟調推移が続いていますが、今後は再び米国の景気減速への懸念も高まりそうです。

NY金・日足チャート 2015/6/19 - 7/2121日のNY金相場は0.3%の小幅安となって9日続落。ドル売り優勢の流れのなかでも上値は重く、昨日の急落局面からの反発高値1118ドル近辺をピークに軟調推移となり、1100ドル前後での揉み合いへ。NY金相場が大きく水準を切り下げた2013年、その下落基調が加速し始めた5月上旬には9日から17日まで7日続落で109ドル(7.4%)下落しており、昨年10月29日から11月6日までの7日続落では86.8ドル(7.06%)の下落。今回の9日続落では60ドル(5.16%)の下落にとどまっており、下落の勢いとしては過去の水準には及ばない状況。
目先は5月高値1232ドルから7月20日安値1080ドルまでの下落幅に対する23.6%戻し1116ドルから1120ドル辺りまでの水準へと反発できるかどうかが重要に。その前に、1100ドルがサポートラインとして機能するかどうかがさらに重要。

NYプラチナ・日足チャート 2015/6/19 - 7/21プラチナ相場も0.43%安となり、6日続落。5月末の7日続落、3月前半の8日続落に続き、今年3回めの6日続落以上。2014年にも3回、2013年は2回、2012年にも3回記録しており、今年も今回が最後となるかどうか。目先は970ドル台の下値目標には一度到達している状態ながら、再度この水準まで下落する可能性も残る状況。7月1日の1089ドルから今年安値946ドルまでの急落幅に対する反発値幅としては23.6%の980ドルを超えており、38.2%の1001ドルが底値脱出の目安。

ドル円・日足チャート 2015/6/22 - 7/21ドル円は0.3%の小幅反落。124円50銭手前で失速するとNY時間には株安の流れに同調して急落。123円台後半へと水準を切り下げての軟調推移状態へ。6月5日高値125円80銭台から7月8日安値120円40銭までの下落幅に対する76.4%戻しとなる124円55銭手前で反落し、61.8%戻しの123円76銭付近でいったん下げ止まるかどうかという状況に。123円前後に集中する複数のサポートラインを下抜けるようならドル高円安の流れが反転する可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/21終値とチャート

22日の国内金価格は0.51%安となり5日続落。NY金急落後の反発が限定的となるなかで円高とのダブルパンチ。今年3回めとなった5日続落以上は近年、毎年2-3回発生しており、平均的。急落→反発→急落のパターンでは、かなりの高確率で2回めの下落幅は1回めの急落と同じ値幅に。現状この末期段階で4670円近辺が下値メド。

プラチナは4日ぶりに0.46%の反発。NY金よりもプラチナの反発力のほうが若干上回ったことによる小幅高。しかし、流れとしては金と同様のパターンにあり、4080円近辺までの下落の可能性は残る状況。
※参考:金プラチナ国内価格7/22とチャート

2015年7月22日(水)時点の相場
国内金4,697 円 7/22(水) ▼24(0.51%)
国内プラチナ4,180 円 7/22(水) ▲19(0.46%)
NY金1,103.5 ドル 7/21(火) ▼3.3(0.30%)
NYプラチナ984.3 ドル 7/21(火) ▼4.3(0.43%)
ドル円123.89 円 7/21(火) ▼0.38(0.30%)

7/21(火)のその他主要マーケット指標

10日続落で5年ぶり安値水準の金相場は1000ドル割れも? 7/23(木)

「実効為替レートはこれ以上円安にならない」水準で円安巻き戻し 7/22(水)

NY金相場は1カ月で6.53%の急落、年間変動幅は適度な水準に 7/21(火)

この夏、プラチナ地金の本格的な買い場到来か 7/20(月)

5年3カ月ぶり安値となった金相場は早めの大底か早すぎる下落か 7/18(土)


短期相場観~よく読まれた記事一覧

明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想

PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン

PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン


RSS金プラ短期相場観 RSSリーダーで金プラチナ短期相場観を購読


ページの先頭へ