金プラチナ短期相場観
世界への影響力が低下したイエレン議長は利上げ敢行で挽回へ
更新日:2015年11月6日(金)
米経済誌フォーブスの「世界で最も影響力のある人物」が発表され、ロシアのプーチン大統領が3年連続トップとなったのに対し、米オバマ大統領は昨年の2位から3位に後退しました。オバマ大統領自身の存在感が低下し、米国の世界への影響力もやや弱まっていることを象徴しているようです。
世界で最も影響力のある米国人上位のなかで、もう一人順位を下げた人がいます。FRBのイエレン議長です。昨年の6位から7位へ後退、米国人2位の座もビル・ゲイツ氏に譲って3位に後退。
世界経済を左右する米国の金融政策の舵取りを行うFRB議長が世界に及ぼす影響度合いは高く、2014年には米国の金融政策正常化、利上げに向けての動向が注目されて就任したばかりのイエレン議長への注目度も高まりました。そして、利上げ間近とされて久しい2015年も既に年末。理由はともかく利上げ先送りが続く状況で、世間への露出度合いも控えめなイエレン議長の世界への影響力が2015年に低下してしまったことは当然の流れとも言えそうです。
ここへ来て、にわかに12月利上げ観測が再燃し、市場への織り込みを促進するような発言がイエレン議長の口からも聞かれるようになり、再びその影響力を高めようとしているかのようです。
このまま市場への織り込みが浸透し、マーケットの混乱も最低限にとどめた上で利上げ敢行となれば、FRBの金融政策正常化へ向けてのスタートは成功となり、イエレン議長の存在感も再び高まることになりそうです。そして、来年に向けてのランクアップ材料に。
もし、市場の混乱を招く結果となった場合には、それはそれで影響力を示してしまった形となって、やはりランクアップにつながるのかもしれません。
なお、黒田日銀総裁も昨年の48位から50位へと順位を下げています。やはり現状維持の政策が続く状況では已む無しの結果です。ランクアップに向けては、再びサプライズの政策変更が必要となりそうです。
5日のNY金相場は0.18%の小幅安となり6日続落。6日続落となるのは今年7月の10日続落以来。この時には10日間で1160ドル台から1090ドル付近まで合計6.19%の下落となっており、現状は6日間で1170ドル台から1100ドル台まで合計6.11%下落。既に7月とほぼ同程度の下落率。ちょうど1年前にも7日続落で合計7.06%の下落というケースもあり、近年の続落での合計下落率としては7%台がMAX水準。今回も、続落7日めとなり合計下落率が7%に達したと仮定すると、その水準は1093ドル。7月安値からの上げ幅に対する76.2%戻しライン(1100.7ドル)付近で底堅さも見られる現状では、続落が続いた場合でも1090-1100ドル付近がサポート水準として作用する可能性は大。
NYプラチナ相場も金と同様に0.18%安で6日続落。やはり7月以来の続落で、プラチナの場合は最長でも9日、合計下落率では6.3%。現状6日合計5.89%の下落となり、既にMAX水準付近。6.3%まで下落した場合の水準は949ドル。10月前半の上昇幅に対する61.8%戻し(946.6ドル)から950ドル付近まででいったんサポートされる確率は、統計上ではかなり高め。
ドル円は0.16%の小幅ドル高円安で4日続伸。イエレン発言を受けた流れが欧州時間から再開したようにドル買い進行。一時122円ちょうどまで上昇するもオプションの防戦売りを突破するだけの勢いはなかった様子。新規失業保険申請件数が予想を下回ったこともあり、その後は再び121円台半ばへ。雇用統計の結果でそれなりの好調と判断できるようなら122円ラインを突破して122円台後半へ。好調度合いが強ければ123円台も。逆にネガティブな結果なら120円台半ばまでは急落しやすく、サプライズ的なネガティブなら120円割れも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/5終値とチャート
6日の国内金価格は0.13%の小幅安で7営業日続落。やはり7月以来の続落で、合計下落率は現在4.13%。国内価格の場合、稀にNY市場価格と為替が同一方向に動くケースもあり、極端な流れとなることも。2013年には8日続落で合計下落率9%台、10日続落で6%台というケースも。最近ではその傾向は非常に弱く、NY市場価格と為替の流れは逆方向となって、極端な流れは相殺されやすい状況。7月の続落合計下落率5.4%を現状に当てはめると、想定水準は4580円。雇用統計後に極端な円高、もしくはNY金が急落するようなケースとなった場合でも、早々に今年安値4578円を下抜ける確率は低そう。
週間ベースでは-124円(2.6%)となり、3週続落。
国内プラチナ価格も0.2%の小幅安となって5営業日続落。これもまた7月以来の続落。合計下落率では7月の7.2%に対して今回は3.2%と半分以下。夏場の下落基調の勢いの強さに対して、現在の下落圧力はかなり緩和されていることを示す状況。仮に、7%まで下落した場合の水準は3843円。近々に今年安値3760円付近まで下落する確率は極めて低く、目先は10月前半の上昇値幅の61.8%戻し(3934円)から3900円半ば辺りがサポートされやすい水準に。
週間ベースでは-114円(2.77%)で続落。
※参考:金プラチナ国内価格11/6とチャート
- 2015年11月6日(金)時点の相場
-
国内金 : 4,641 円 11/6(金) ▼6(0.13%) 国内プラチナ : 4,003 円 11/6(金) ▼8(0.20%) NY金 : 1,104.2 ドル 11/5(木) ▼2.0(0.18%) NYプラチナ : 953.1 ドル 11/5(木) ▼1.7(0.18%) ドル円 : 121.74 円 11/5(木) ▲0.19(0.16%)
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